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短歌の講義を受けて

4月27日(土)、28日(日)と放送大学千葉学習センターで、歌人の川野里子先生の面接授業(スクーリング)「作る、知る、短歌の魅力」を受けて来ました。先生がどのような方が調べることすらせずに受講しました。NHK短歌の選者の1人で、読売文学賞を受けられている方とはつゆ知らず。

とても楽しい授業でした。そして質問の時間をしっかりと取られました。ぼくは質問魔なので、他の面接授業の時は、休み時間の度に先生に質問責めをするのですが、今回はその必要を余り感じませんでした。

他の人がした質問で、短歌作りのコツを教えて頂きたいというのがありました。それに対し先生は、短歌作りのコツは、自分が気に入っている作者の作品を溜め込んで参考にすると良いと説明されていました。ぼくは、それは一種のアダプテーションですか、と聞きました。それに対し先生は、それは良い指摘です。まさにその通りですと仰られました。

アダプテーションという概念は、人によってニュアンスが異なるので、先生はどう考えるかと聞いてみました。説明では、あまり範囲をひろげてアダプテーションを捉えると、全ての表現がアダプテーションになってしまうとのことでした。言葉に踊らされずにいた方が良いとのことでした。他の例でいうと、一時期ポスト・モダンが流行語のように使われていたけれど、モダンを理解せずに使われるケースも多かったとのこと。多分それは短歌の世界での話なのだと思います。

ぼくは、アダプテーションは再解釈と捉えています。再解釈も考えていくと中々難しいことではあるのですけれども。とりあえず原作の相対化と仮置きしておきます。小説の映画化、演劇化などは良い例です。しかしながら、再解釈というと翻訳も再解釈と思えます。また、現作品の影響が、第三者からみてありありと伺える創作もアダプテーションではないかと思います。一方誰もが影響を受けている原作を模倣することは、アダプテーションには当たらないのではないかという点が疑問として残っています。

2025年度の放送大学の卒業研究。連休明けたら、そろそろ本気モードにならなくては。6月から卒研質問箱も開設されるし。2020年度の卒研で扱ったアダプテーション論の論文を更に発展させたものにするため、今一度アダプテーションの定義、基礎概念を捉え直さなければならないだろう。その為には、2020年度の論文で取り上げた参考文献やその後に書かれている博論を中心とした文献を丁寧に読まなくては。
勿論、取り扱う原作メルヴィル『白鯨』の再読、精読も並行してやらなければ。

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