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本質的なことを再確認した3ヶ月 #1期生インタビュー

第1期生へのインタビュー!

今回は豊吹雪(ゆたか ふゆき)さんです。

ふゆきさんは長年新聞記者としてご活躍され、現在は新規事業として「大学生が安易に中退してしまう」という社会課題解決のため、教育プログラムの企画、立ち上げに奔走されています。

詳しくお話を伺っていきましょう。

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豊 吹雪(ゆたか ふゆき)
東京都出身・在住。朝日新聞社に記者として入社し、主に生活報道、特に「食」「家族問題」を中心に取材・執筆。2016年にスポーツイベントを運営する今の部署に異動し現在に至る。趣味は映画鑑賞、読書、美術館巡り。「日常から逃避したい」という欲求が年々強まっており、選ぶ作品は海外物ばかり。同居家族は、夫、娘、息子、猫2匹。

ー21世紀型教育を知りたい

ーーProject MINTへ興味を持ったきっかけは何でしょうか?

 ミネルバ大学で行われている21世紀型教育、というのがどういうものか、その一端でも知ることができれば、と思ったのがきっかけです。私自身、以前よりリベラルアーツ教育に関心を持っていましたが、実際にどういうものなのか、あまり理解できておらず、また、時代の流れの中でその内容はかなり変化しているのではないかと感じていました。また、ミネルバ大学についてもよく名前を耳にし関心がありましたが、なかなか具体的な行動につなげられずにいました。しかし、現在立ち上げている大学生の中退予防事業で今後大学へのコンサルティングなどを行っていこうと考えている中で、学生さんに自分自身を知ってもらったり、キャリアを考えてもらうにはミネルバ大学の学び方が合うのではないか、と考えるようになっていました。

ーーなるほど。現在ご自身が立ち上げられている事業で必要な学びなのではないか、と考えていたということですね。

 そうですね、その思考方法やコミュニケーションの構築の仕方を学んでみたいと考えていました。そのタイミングでProject MINTが第1期生の募集をしていることを知り、無料説明会に参加しました。その後、創設者の智恵さんとの個別相談を経て、そのお人柄に惹かれると同時に「プログラム内容も信用できるし、面白そう」と感じ参加を決めました。ミネルバ大学での学びをそっくりそのまま、とはいきませんが、エッセンスを日本語で学べ、またそれを使いながら「社会人がどうやってキャリア形成をしていくのか」について考えられるという点も大きかったです。私自身もキャリア形成は若い世代だけではなく社会人として誰でも必要だと考えていまして、また、キャリアとは職歴だけではないと考えているのでとても共感しました。


ー自己決定の必要性を痛感

ーー大学生の中退へ問題意識を持たれるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

 10年程前記者をしていたときの取材相手が、当時NPO団体主催者としてニート支援など若者の支援をされていたんですが、新たに大学生の中退予防の事業を始めるということでそれを取材したことがきっかけです。ご存じのように新聞記事は社会課題を取り上げ記事にしていまして、当時私は家族問題を扱う部署にいました。元々は虐待や女性のジェンダー問題などに関心があって取材も行っていたんですが、それらの問題は複雑で解決策がなかなか見つからないんですよね。しかし、中退予防は対策をすれば結果が出るということを知りました。「結果が出るならば、ぜひ推し進めていこう!」と考えていますので、中退予防に関して取り組みたいと思うようになりました。
 それに、この問題は取り組んでいて明るい気持ちになれるんです。一部難しい背景を抱えている場合もありますが、特にそのリスクを知らないまま、安易に大学をやめてしまう学生さんも多いです。そこは大学側が何か対策を打てば辞める学生が減りますし、大学にとっても学生が減らないことで経営課題が解決し、まさにWin-Winな関係であると分かりました。それならば対策を広めようと思うのと同時に、これは「ビジネスとしても成り立つ」と感じました。

ーーなるほど。対策を打てば解決ができる課題であるということなんですね。

 解決できて、かつ「これはきちんと事業化できる!」と確信したので、現在社内の新規事業として提案し、企画・立ち上げを行っています。会社の事業としては、単に社会課題解決というだけは受け入れてもらえませんので。

ーー新聞社の事業としても成り立つ可能性があるということなんですね。

 そうです。現在、私はオリンピック・パラリンピックに関連する部署に在籍していまして、スポーツ事業を扱っています。東京2020大会が開催されるということで再編された部署なんですが、スポーツ事業に加え新規事業を考えるミッションも課せられていました。そしてコロナウイルスの大流行でスポーツイベントがすべて中止になって、去年の春以降、新規事業立案に集中するようになりました。自身が一番扱いたいことであり、かつ現実的に事業として成り立つ中退予防は、新聞社の本業であるジャーナリズムと親和性も高く、また、会社として力を入れている教育報道にも繋がる事業だと考えています。

ーージャーナリズムと親和性も高く、解決出来る社会課題である、と。

 二人に一人が大学に進学する時代ですが、実際に入学してみて通う意味を見出せなくなって辞めてしまう学生が増えています。中退後の展望があれば良いと思います。でも、多くの場合は違うんですよね。偏差値だけで大学を決め、なんとなく入学してしまう。食べ物にも困らない豊かな時代ですし、流れに身を任せて大学までなんとなく行けてしまうんですよね。逞しさや厳しさが育たないのも納得してしまう現状です。
 最近、会社を辞める代行業があるとたまたま耳にして驚きました。「自分で言えない」というのは問題ですよね。自己決定ができない、ということだと考えています。これは、例えばいわゆるブラック企業で働いていて、搾取されていても何も言えずに心病んでしまうということにもつながりますし、正直自分のキャリアに対して考えが甘いと思います。しかし、そうやって切り捨てるのは簡単ですが、本人だけの問題ではなく時代の流れもあると感じています。やはり大人が「自分の人生を真剣に考えよう」と自己決定を促していく必要があるのではないでしょうか。不確実性がますます高まっていく中で、自己決定の必要性を痛感しています。

ーー根深い問題ですね、、、ふゆきさんはインパクトデーでは中退予防以外にも、ジェンダー問題も取り上げられていましたが、いかがでしたか?

 先程もお話したように、本当は性的に搾取されている若い女性や、行先のない方たちの支援がしたいという気持ちがあります。しかし、なかなか解決策がなく、まだまだ先が見えない複雑な問題で、私はもどかしい想いでいっぱいです。インパクトデーでお話させていただいたゲストの方々はアグレッシブな方ばかりで、ご自身が何したらいいのかをしっかりと考えていらっしゃるな、と感じました。現在立ち上げている事業もそうなんですが、ゲストの一人が実際に進められているように、教育という角度から、「一人でもこぼれないようにする」「より良い教育を受けられるようにする」というのも広い意味では支援ですよね。今困っている人にどう支援するのかという点も考えていきたいですね。
 あの日は本当にインパクトのある一日でした。世の中にこんなにパワフルな方たちがいらっしゃるんだな、と感じ、またミントを通じてではないと直接お話できない方たちとも話すことができ、大いに刺激を受けました。今立ち上げている事業に関して、いずれ具体的にお聞きたいことがあったら皆さんに直接インタビューしたいくらいです!

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(インパクトデー当日の様子)

ーー素晴らしいですね!これぞインパクトデーですね。

 リーダーという言葉の意味を捉え直すことも出来ました。それまでリーダーとは人を引っ張っていく能力のある限られた人のイメージを持っていたんですが、そうではなく、テーマごとで物事を引っ張っていく能力のことをいうんだな、と。そしてそのリーダーシップをみんなが持っていればいいのでは、と捉え直しました。色々なリーダー論がありますが、一人一人が持てる能力を把握して発揮し、その分野で一定の成果を上げられるようにするのが大事で、これがリーダーシップと言うならばとても良いことだなと感じています。これはミントに参加しなければ知ることはなかったと思います。本当に色々なことを学びました。


ー本質的なことを再確認した3ヶ月

ーーミント全体を通じて学んだこと、得たことはなんでしょうか?

 まずは、「前向きに体験してみないと何も分からない」ということです。私はもともと腰が重く沢山のことを一度にはできない性格なのですが(笑)、他の1期生のアクティブさに刺激を受けました。ミントのプログラムはアクティブラーニングで皆で学びを創っていきます。特に第1フェーズのMind hackでは、皆が自身の辛い話を最初からオープンに話していて驚きましたし、すごいと思いました。みんなピュアで真面目、素直な方達ばかりで、そのようなメンバーと一緒だからこそパーパスにも辿り着けたのだと思います。

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(共に学んできた1期生たち)

ーー学びを通して、ご自身にどんな変化がありましたか?

 より主体的に仕事に取り組もうと思えたことです。また、中退予防の事業では当然ながら収益について会社から色々と言われるんですが、その事業の本当の目的に照らし、また自身のパーパス、ミッションに立ち戻りながら、必要であれば何とか自分の信じる方向へ向かわなければという気持ちが強くなりました。パーパスやミッションがぶれたら事業としても崩壊してしまいますので、方向性の根拠を示しつつ、そこはぶれないように、と強く意識しています。

【ふゆきさんのパーパス、ビジョン】
パーパス:自由な生き方を応援する
ビジョン:誰もが学び、働ける、機会平等な社会の実現。子どもが幸せに育つ社会、愛されて育つことが保障されている社会の実現


 また、Project MINTのMind hack含めプログラム全体を通して、「目先のことだけにとらわれていては上手くいかないし、人には届かないな」と改めて感じました。そのためにパーパス、ミッション、ビジョンがあるんだな、と。現在取り組んでいる事業を沢山の方と協働して、その事業を軌道に乗せるため収益を上げたいと考えています。皆を巻き込んでいくためには、「それなら協力しよう」と思ってもらえるように「目的や方向性をしっかり共有していこう」と強く感じています。私がなぜ中退予防をやるのか、それは「未来ある子ども達の豊かなキャリアを支えたい」という想いがあるからです。それを共有するからこそ色々な方が共感して参画いただいており、とても嬉しく思っています。

ーーなるほど。パーパス、ビジョン、ミッションもぶれなくなり、それを周りにもはっきりと共有できるようになったということでしょうか。

 そうですね。ミントのプログラムで体系立てて学び、アクティブラーニングで実践したことで自分のなかでより明確になりました。今まで成功した方々は長期であれ短期であれ、言い方は違えど必ずパーパスを持っていたはずなんですよね。そこが明確だからこそ、人を巻き込んでサポーターを増やしていける、そして事業を成功させて広げていく事が出来たんだと思います。ミントはそのような本質的なことを再確認した3ヶ月でした。それに、これからも勉強しなければ、という気持ちにもなりましたね。

ーーミントでの学びを経て、これから何を目指していきたいですか?

 まずは、今手がけている中退予防事業を軌道に乗せたいです。
 4月には教育関係者が集う「中退予防」のためのコミュニティー「朝日中退予防ネットワーク」を立ち上げます。オンライン上の研究会、です。Facebookの非公開ページを使ったオンラインサロンで議論を深めたり、中退予防に繫がる研究や実践を行っている有識者の方々で委員会を組織して、委員の方々がお持ちの知見やスキルを共有したりします。2月22日(月)にこのネットワークの公式HPがオープンするので、ご関心のある方は是非、のぞいてみて下さい。(公式HPはこちらです
 この準備の中で、私も尊敬している働く女性の大先輩の方々はじめ、中退問題や若者の非正規雇用等に取り組んでいる研究者の方々は、皆純粋に、まっすぐ社会課題に向き合っていらっしゃって、日々、胸を打たれるような時があります。そういう時は、改めて自分のパーパスやビジョンに立ち返り、気持ちを改める日々です。ミントで経験した「自分探求」の時間は、非常に大きな力になっていると感じています。

Fin.

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