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【練塾ダイジェスト】脈診の利点

臨床において脈診の利点は二つあります。
ひとつ目は、問診から得た情報を確認できるということ。
ふたつ目は、問診からは得にくい情報を知ることができるということ。

問診から得にくい情報とはどういうものか。
それは、虚実や寒熱などの程度や位置です。

例えば、問診をして、患者から往来寒熱の訴えがあったとします。
往来寒熱という病症から分かることは、肝・胆経に熱が入っているということです。
これは肝実熱証でも肝虚陰虚熱証でも生じうる病症で、このままではどちらか判断ができません。

ここからが脈診の出番です。
まず、脈診で左関上を丁寧に診ることで、患者の訴え通りに肝・胆経に熱があるのかを確かめることができます。
熱があるときは、強く触れます。

そして、左関上・尺中を重按して虚ならば肝虚陰虚熱証。左関上を重按して実であれば、肝実熱証であると分かります。

さらに、脈のうち方から、肝・胆経に波及した熱の程度や深さが分かります。
熱の程度や深さが分かれば、手技、選穴もおのずと決まってくるはずです。

寒熱の程度や深さなどの情報は、鍼灸ならば手技や選穴の決定に、漢方ならば処方決定に必要なものです。
これらの情報を、問診だけでつかむのは困難です。

しかし、脈診ならば、それらを直感的に把握することができます。
こういった脈診の利点を、臨床に活かしていきましょう。

話者:大上勝行
編集:大上真悟

(2023/07/20 zoomより)


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