小腸膀胱の蔵象.002

【経絡治療の蔵象学】Pt.7 小腸膀胱の蔵象 2/4

7. 小便の生理

7-1. はじめに

*湿邪の多い日本では滲泄させる治療が大切

 「小腸」「膀胱」は小便を出すことに深く関わっています。そして私たちは日本で生活して、日本で鍼灸をして、日本人を中心に治療するわけですから、この小便をいかにして出すかが非常に重要で、治療の中心になってきます。

 なぜなら「脾胃の蔵象」においてすでに解説しましたが、日本は島国なんですね。「東・西・南・北」の四方を海に囲まれているので、どの方面から吹く風も必ず海の湿気を含んでいます。さらに日本は山脈が連なり山々に囲まれた地形になっており、それが降雨した水の蒸発を妨げます。そのため非常に湿気が多く「湿」の絡んだ病証が非常に多くなっています。日本人の難病や慢性病のほとんどにこの「湿」が絡んでいます。

 したがって、この「湿」をいかにしてとっていくかが日本人のあらゆる病気を見る上で重要になってきます。「湿」の治療は滲泄させるのが基本です。滲泄の「滲」とは「染み出す」、つまり「微に発汗させなさい」「体の中の余分な水を少し発汗させなさい」ということです。「泄」っていうのは「小便で出しなさい」「体の中の余分な水は小便を中心に出すんですよ」ということです。「小腸」「膀胱」は小便を出すことに強く関与していますので、小便がどのように出ていくのかを以下説明していきたいと思います。

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