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書評「デザイン経営」を読んでみて

書籍「デザイン経営」を読みました。その感想をnoteにまとめてみます。

「デザインとは」「デザイン思考とは」「デザイン経営とは」と順序立てて,主要な論点を概説。なぜ今デザイン思考に基づく経営が必要とされ,その定着はいかにすれば可能か。従来の考え方では行き詰まりが懸念される日本企業に,第一人者が発想の転換を促す。

どんな書籍なのか?

書籍の構成はざっくり言うと、
「デザインの定義」→「経営にデザインが必要な理由と手法」→「デザイン経営」
という流れになっています。

「デザインの定義」では、日本においてデザインの定義が狭義(見た目)に限定されている理由や、広義(ユーザー体験など)のデザインの紹介がされています。

「経営にデザインが必要な理由と手法」では、経営にデザインを取り入れる手法として【デザイン思考】をあげ、デザイン思考を取り入れたことによる効果なども定量データとともに紹介しています。
また、日本企業がデザインを軽視してきたことや、デザインの効果についても触れられています。

そして最後に「デザイン経営」の紹介がされ、デザイン経営の必要性や高度デザイン人材の育成などについて、書かれています。

書籍を読んでみて

個人的に印象深かったことが2点ありました。

1点目は、デザイン経営の浸透には、いわゆる非デザイナーの方々に「デザインの意味・意義・効果」を浸透させていく必要があるという点です。

仮に自社の経営陣のデザインに対する理解が深くなかったとしても、それを指をくわえて見ているのではなく、デザインを浸透させていくこともシニアレベル以上のデザイナーがやるべきことであると感じました。
そういった意味では「デザイン思考」「デザイン経営」「Design Sprint」という、ある種バズワードを利用してみるのも、ひとつのやり方だと思いました。

2点目は、ネットワーク効果がめちゃめちゃ効く現在において、デザイン経営が有用であるという点です。

今までの日本は「ものづくり大国」として「良いものを作れば売れる」という戦略をとっており、市場参入が遅れても技術力で差し返した歴史を繰り返していきました。
しかし現在のような先行者有利・早い者勝ちの市場においては、ユーザーのインサイトを見つけ出し、新しい技術を組み合わせて、早く市場に出す必要があります。それを実現するためには、もちろん技術力も必要ですが、デザインの力によるイノベーションやブランディングが有効であるということです。

私自身「デザイン経営」に携わりたいと思っていますが、そのためには時が来るのをただ待っていては進展はありません。「なぜ今経営にデザインが必要なのか?」を語れるようになり、デザインの良さを知ってもらう活動をすることでデザインを浸透させる必要があることを、学びました。

書籍のなかで気になったフレーズ4選

最後に、書籍のなかで特に心に残ったフレーズを4つほどピックアップさせてください。

現状のままでは、ビジネスモデルやエコシステムをデザインするという三番目の定義に到達するのは難しい。(中略)鍵を握っているのは、デザイナー以外の人材に、広義のデザイン概念を浸透させていくことだと、筆者は考えている。

(企業レベルのデザイン思考・デザイン経営の導入には)従業員一人一人がデザイン思考を導入するメリットを実感しない限り、従業員レベルにまでデザイン思考を浸透させるのは難しと思われる。

今後は一層、世界のあらゆる産業に、ネットワーク効果の働く環境が拡がっていくことが予想される。これにともなって、デザイン経営の重要性が増していくであろうことも確かなように思われる。戦後ずっと続いてきた技術開発中心の「ものづくり」重視経営が、根本的な変革を迫られているといっても、あながち大袈裟ではないのである。

「未来」かつ「想定外」のことを考えるには、多かれ少なかれ、何かを創造するという行為が必須だからである。そして、デザイナーにはこれが得意であるということが、デザイン経営の主張の根拠になっている。


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