Project U/0 #003

#003 有限の幽けき



人は死んだらどこに行くんだろう。
毎日そればかり考えている。

綾、今どうしてるの?
もう泣いてない?寂しくない?


「私は寂しくて死にそうだよ。」


もう随分、外に出ていない。
何日経ったかもわかっていない。
涙って枯れるんだね。
ずっと悲しいのに涙が出てこない。
私の綾への想いはこんなものなんだろうか。

情けなくなる。

綾はもっと苦しんでいたのかな。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
彼女は前日まで笑っていたし
放課後は一緒にパフェを食べた。


どうして、その事ばかりが脳内を埋め尽くす。


真っ暗な部屋で布団に隠れて過ごす。
この一枚が世界から自分を守ってくれる唯一の存在。
そんな気がしてベットから出られずにいる。

そっと布団から顔を出し、スマホに手を伸ばす。


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17:39
12月15日 火曜日


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ディスプレイの明るさに顔を顰める。
暗闇に慣れた目が光を嫌がっている。

そのままロックを解除して、青いアイコンを開く。

綾はずっとTwitter始めてみればいいって言ってた。
でも、興味がなくて…こんな形で始めるなんて。



「こんなことしても何にもならない。」


誰にも聞かれる事なく、非力な声が部屋に消える。


どうしたら、どうしたら綾を救えるんだろう。
私は自分のことを強いと勘違いしてた。
何にもできない、唯一の友人さえ救えないなんて…。

誰に相談したらいいかもわからない。
クラスメイトも先生もあいつらの味方をする。

もっと早くに私が綾を守るために動いていたら。
後悔ばかりが渦巻き、非力さに落胆する。

何もできない自分への失望と
綾を失った悲しみがぶり返し、枯れた涙が伝う。
目がじわじわ熱くなって呼吸が苦しい。
いくら嗚咽しても、後悔しても、綾は帰ってこない。

滲んだ視界で明るい画面を見つめる。
誰も助けてくれない。


弱音くらい許してほしい。
でも本当は君に許してほしいよ。



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誰も話を聞いてくれない。


17:43 2020/12/15
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頭の中で声がする…私を呼んでるの…?


「…レ…、きこえ…か?」


朧げな意識を携えたまま、前を向く。
私に語りかける姿が見える。


「…はかせ、?」

「レイ、気づいたか?」

「はい。」

「最近、意識を失っていることが多いな。また何かを見たのか?」

「うまく、思い出せません…ただ"リョウ"のことを、」

「リョウ?」



博士はウーレイを不思議そうに見つめる。
ウーレイは無表情のまま博士を見ている。


「何か大きなことを忘れている気がするんです…そのことだけは忘れちゃいけない気がするのに。」


ウーレイは目を閉じてもう一度思考を巡らす。


「(アレは私の過去の記憶なのだろうか…)」






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