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知らなかった私


以前に外国人支援者の方の近くで働いていた時の事を書きましたが、
「やさしい日本語」を知らなかった時の私の忘れられない若者の表情があります。

ある時、たまたま外国人支援窓口の方が誰もいない時に、一人の若者が不安そうに窓口に来ました。
私は思わずその若者に声をかけました。

「ごめんなさいね、窓口の方もうちょっとで戻ってくると思うんですけど。ちょっとそこらの椅子で待っててくれません?」
若者はぽかんとしています。椅子にも座りません。
「えー・・・あー・・・あの・・・・」
なんだか、ますます不安そう。

そこに、外国人支援窓口の方が戻ってこられました。その方は
「すみませんね、ご対応ありがとうございます」
と小声で私に謝罪してから、若者に
「ここに座ってください」
と言い、椅子を指し示しました。

若者の表情はぱっと明るくなり、
「よろしくお願いします」とその椅子に座りました。

(おお、さすが窓口の方は専門家だなあ!)と驚いたのと同時に、
(でも、何が通じなかったんだろう?窓口の人と同じこと、言ってたよね、私…)
当時、私はその違いが分かりませんでした。

今ならあの時、自分の伝え方がその若者に通じにくかったであろうことが理解できます。
ほんのちょっとした伝え方を知っているか知らないかで、
お互い気持ちいいコミュニケーションが出来るんですよね。

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