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【重賞回顧】ミルファームの光に~フェアリーS

スタートで外にヨレた。すぐ内にいたハチヤに寄られてさらに外に追いやられた。
控える競馬を指示されていたとはいっても、キタウイングと鞍上の杉原誠人はこれで本当に腹を括るしかなくなったことだろう。それでも、先行集団はかなり前にいて、一気に内ラチ沿いまで持っていけたのはプラスだったのではないか。
追走に手間取るハチヤが地方馬であることを考えれば、道中はいわば「最後方待機」。3コーナー過ぎからスルスルと内ラチ沿いを進出して、直線に向いたころには前から4、5列目までに取り付いていた。
坂の途中で逃げバテしたマイレーヌを内から交わすと、そのままゴールまで勢い衰えることなく駆け抜けた。

未勝利戦はミルファームの主戦ともいえる杉原とコンビを組んだ。しかし、連闘で新潟2歳Sに臨んだときの鞍上は戸崎圭太だった。杉原は同日、札幌メインレースのキーンランドCでビリーバーに騎乗していた。ビリーバーと杉原はその前走、アイビスSDでミルファームに重賞初勝利をもたらしていた。そして、ビリーバーは14着。かたやキタウイングは重賞初制覇。心中如何ばかりか。

阪神JFの鞍上は和田竜二。杉原は中京にいた。ちなみに、第3レースで6番人気だったミルファームのタシロを勝たせている。3戦ぶりのコンビ復活レースがフェアリーSだった。

ミルファーム軍団に杉原が乗って勝つ。これはもはや新潟千直だけの話だけではなさそうだ。キタウイングは父・ダノンバラード、母・キタノリツメイとミルファームとの縁も深い血統でもある。

決して良血とはいえない馬がひたむきに走る。こういう馬が本番直行なんて考えられないと思っていたら、やはりトライアルも走るという。この先も上位人気になることはないだろうが、馬柱にその名前は不気味に光り続けるに違いない。


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