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球速と回転数(第1回)

つい先日、千葉ロッテマリーンズの佐々木郎希投手が日本人最速タイの165km/hを更新しましたね。なぜ近年、このような球速の速い投手が増えてきたのでしょうか。様々な角度から分析していきたいと思います。

最初のトピックは球速と回転数

単純に速ければ多く回転している。ということになります。
なぜなのか?解説していきたいと思います。

Table of Contents

  • 球速と回転数の定義と重要性

  • どのように測定されるか

  • 野球において球速と回転数が重要な理由



球速と回転数の定義と重要性

投手の球速と回転数は、野球における投球の基本的な要素であり、投手の能力や投球テクニックを測るための重要な指標となります。

投手の球速は、投球時に球が手から放たれてから、打者のバットに当たるまでの速度のことを指します。球速は、マウンド上から測定され、mphまたはkm/hの単位で表されます。一般的に、プロ野球選手の場合、投手の球速は90mph(約145km/h)以上であることが求められます。MLBは2022年のデータで151km/hでした。

一方、投手の回転数は、投球時に球が軸を中心に何回転するかを表す指標であり、スピンレート(spin rate)とも呼ばれます。回転数は、投球時にボールに加えられるスピンの強さや方向によって変化し、一般的にrpm(回転数/分)の単位で表されます。スピンの方向によって回転数が変わるため、回転数を測定する場合は、通常、ボールの縫い目に対して垂直な方向を基準として測定されます。

投手の球速と回転数は、投球の能力やテクニックを測るための重要な指標であり、野球の試合において、球速や回転数の高い球を投げることが、打者を翻弄する上で重要な役割を果たします。


どのように測定されるか

  1. TrackMan(トラックマン)球場のスタンドに設置された測定器で、球が通過する際に、レーダーガンと高速度カメラを使用して、球の軌道や回転数、球速などを計測することができます。

  2. Rapsodo(ラプソード)野球において投球や打撃のデータを計測・分析するためのツールです。主にプロの野球チームや大学、高校などで使用されています。ラプソードは、高速度カメラやレーダーガンなどを使用して、ボールの球速や回転数、球の軌道、打球の飛距離や角度、打球のスピードなどの情報を取得します。取得したデータは、ラプソードのソフトウェアで分析され、選手の弱点や改善点を見つけ出すことができます。また、複数のプレイヤーのデータを比較することで、チームの強みや課題を把握することができます。

  3. Technical Pitch (テクニカルピッチ) : 1,2の方法は数十万から数百万という導入コストがかかるためハードルが高いです。個人で測定をされるならこのSSK社が販売しているテクニカルピッチがおすすめです。テクニカルピッチは、硬式野球ボールの中心部に内臓された9軸センサーより送られるデータを解析し、投手育成をサポートするトレーニングボール。球速、回転数、回転軸、各方向の変化成分などが計測可能です。また専用アプリと連携しているため、記録を保管しやすいなどの利点もあります。

  4. ハイスピードカメラ 上記のデバイスとハイスピードカメラで同時に撮影することをオススメします。ハイスピードカメラはリリース時の球の捉え方を確認することができ、現状の球速や回転数との相関の把握、改善へのヒントが隠されています。

実際の使用例(テクニカルピッチとハイスピードカメラ)

野球において球速と回転数が重要な理由
まず、球速についてです。投手が速い球を投げることで、打者が反応する時間が短くなります。つまり、速い球は打者にとって打ちにくく、投手にとっては打者を抑えるための重要な武器となります。また、球速は投球フォームや体力などによって左右されるため、球速が速いほど投手の能力が高いと評価されます。

次に、回転数についてです。回転数が多い球は、空気抵抗によって進行方向が変化しやすくなります。直球の場合、回転数が多いほど、球速が遅くてもホップするように鋭く剛速球のように振る舞うことができるため、投球の幅を広げることができます。

近年は150km/h以上の直球を投げる投手もそう珍しくないため、各球速に対しての平均的な回転数から、より多い、若しくは極端に回転数が少ない球質、が打者にとって打ちづらい直球となります。


表19 MLBの各球種の平均球速/投球割合ほか 「野球データ革命 森本崚太」 より抜粋


次回、球速と回転数に関しての相関とテクニックに関して深掘りしていきます。


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