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音が劇的に変わる!DTM初心者必見のSoundToys Decapitator徹底レビュー

ミックスを終えた楽曲を聴き返して、「何か物足りない」と感じたことはありませんか?

その理由は様々ですが、一つ考えられるのが「倍音の不足」です。特に、アナログ感のあるサウンドが求められる昨今、プロとして活躍されている方々は、この倍音の調整が絶妙だと言えます。

そんな倍音付加を簡単かつ効果的に行えるのが、SoundToys Decapitatorです。


SoundToys Decapitatorとは

Decapitatorは、SoundToysが提供するアナログ風サチュレーションエフェクターです。

SoundToys Decapitator

このプラグインは、アナログ機器の持つ独特の歪みやサチュレーションをデジタル環境で再現することを目的としています。音の厚みや温かみを増す効果があり、単なる音色加工から積極的なサウンドデザインまで、幅広く対応できるのが特徴です。

5つのサチュレーションスタイルで多彩な音色変化

Decapitatorの最大の特徴の一つは、5種類のサチュレーションスタイルを選択できる点です。これらのスタイルはそれぞれ異なるアナログ機器をシミュレートしており、音色に大きな違いをもたらします。

5種類のサチュレーションスタイル
  1. STYLE A: Ampex 350テープドライブのプリアンプをモデルにしたスタイルで、ヴィンテージテープレコーダーの温かみと滑らかなチューブディストーションが特徴です。クラシックなサウンドを求める場合に最適です。

  2. STYLE E: Chandler/EMI TGチャンネルをモデルにしたスタイルで、太く豊かな低域と、滑らかで繊細な高域を再現します。EMI/アビーロードスタジオのヴィンテージミキシングコンソールのサウンドを体感できます。

  3. STYLE N: Neve 1057インプットチャンネルをモデルにしたスタイルです。ゲルマニウムトランジスタによる独特の音色が特徴で、特にギターに適した重厚な低域とフォーカスされた中域を提供します。

  4. STYLE T: Thermionic Culture Culture Vultureのトライオード設定をモデルにしたスタイルで、偶数倍音が多く含まれた温かみのあるパンチの効いたサウンドが特徴です。ドラムやパーカッシブな楽器に適しています。

  5. STYLE P: 同じくCulture Vultureのペントード設定をモデルにしたスタイルです。奇数倍音によるエッジの効いた歪みが特徴で、トライオードとは異なる独特なサウンドを生み出します。

これらのスタイルを選択するだけで、様々なサウンドキャラクターを簡単に作り出すことができるため、初心者でも手軽に自分の求める音色を見つけることができます。

ドライブコントロールとPUNISHモードで自由自在の歪み調整

Decapitatorには、サチュレーションの強さを調整するためのDRIVEコントロールがあります。このノブを回すことで、微細な歪みから深く突っ込んだ過激な歪みまで、自由に調整可能です。

DRIVEコントロール

また、より強烈な歪みを求める場合は、PUNISHボタンを押すことで20dBのゲインブーストがかかり、強烈なサチュレーション効果を得られます。

PUNISHボタン

PUNISHモードを使用すると、通常では得られない過激な歪みを付加できるため、特にロックやエレクトロニックミュージックで大胆な音作りをしたい場合に役立ちます。

過激な歪みは、ただうるさくて耳障りになることが多い中、不思議と心地よく感じます。これは、アナログ機器を丁寧に解析し、精密にシミュレートしているからこその魅力だと感じています。

トーンコントロールで細部まで音色を調整

Decapitatorには、ローカット、ハイカット、そして音の明瞭感を調整するTONEコントロールが搭載されています。これにより、音の周波数バランスを細かく調整でき、サチュレーションによって生じる不要な低域や高域を効果的にカットすることが可能です。

トーンコントロール

トーンコントロール部は、左からローカット、TONE(音の明瞭感を調整)、ハイカットの3つに分かれています。ただし、サチュレーションによって歪んだ音に適用されるのはハイカットのみです。

ローカットとTONEは、サチュレーションの前段階で適用されるため、例えばキックの低音がブーミーになりがちなドラムでも、サチュレーションがかかる前にローカットとTONEで明瞭感を調整することで、不要なブーミー感を簡単に回避できます。

一方、ハイカットは、ドラムをサチュレーションで処理した際に、シンバルなどがキンキンしすぎる場合に、その高域をカットするのに最適です。

このように、トーンコントロールは単なる機能ではなく、サチュレーションが最適に機能するように設計されているのが特徴です。

また、SoundToysはユーザーが求める機能をしっかりと把握しています。その一例が、ローカット機能にさりげなく組み込まれたTHUMPです。

ローカットのTHUMP

このTHUMP機能は、アナログEQでカットとブーストを行った際に生じる、あの独特なレゾナンスカーブに似た効果を生み出します。

トーンコントロールについて長々と説明しましたが、実際には深く考えず、自分が求める音色に合わせて調整すればOKです。サチュレーションに最適化されたトーンコントロールのおかげで、誰でも簡単に理想のサウンドを作ることができます。

実際の使用例と応用

Decapitatorはどのようなパートにも使える万能プラグインですが、以下のように具体的な使用例を挙げてみます。

ドラムに適用

好みのサチュレーションスタイルを選びましょう。例えば、テーププリアンプをシミュレートしたSTYLE Aを選択し、軽く味付けするだけで、キックにほんのり歪みを加え、心地よいサウンドを演出できます。

ドラム使用例

もしキックが重たくなりすぎた場合は、TONEをBRIGHT方向に少し調整して、重さを軽減しましょう。その後、MIXノブを使って原音とのバランスを整えると良いです。この状態でPUNISHモードをオンにすると、ドラムが前面に押し出されるような、より存在感のあるサウンドに変化します。

ベースに適用

好みのサチュレーションスタイルを選択したら、トーンコントロールで音色を調整しましょう。低域をパラレル処理で原音メインにしたい場合は、TONEをBRIGHT方向に大きく調整して低域をスルーするのがポイントです。

ベース使用例

さらに、MIXノブを使ってパラレル処理を行い、低域を原音主体にすることで、簡単に歪んだブリブリ感を得ることができます。

ボーカルに適用

ボーカルにわずかにDecapitatorを適用すると、倍音が加わり、サウンドがより鮮明になります。特に、STYLE AやSTYLE Pを使うと、ボーカルの抜けが良くなり、ミックスの中で存在感が増します。

プリセットも充実

Decapitatorには、様々なプリセットが用意されており、初心者でも簡単にプロフェッショナルなサウンドを得ることができます。

トラック別の充実したプリセット

ドラム、ベース、ギター、ボーカル等、それぞれに特化したプリセットが揃っており、これらを使うだけで、即座に効果的なサウンドメイクが可能です。

また、プリセットを基に自分の好みに合わせて調整することで、さらに独自のサウンドを作り出すこともできます。プリセットをうまく活用して、まずは基本的な使い方を覚え、それから徐々に自分なりの使い方を見つけていくと良いでしょう。

まとめ

SoundToys Decapitatorは、アナログ機器の持つ倍音付加やサチュレーション効果をデジタルで手軽に再現できる、非常にパワフルなプラグインです。初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応しており、どんな音楽ジャンルでも活躍すること間違いなしです。

ミックスの味付けから、積極的なサウンドデザインまで、あなたの楽曲制作に新たな可能性をもたらしてくれるでしょう。ぜひ、SoundToys Decapitatorを試して、その魔法のような効果を実感してみてください。

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Yuuki-T
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