ブロックチェーンの会社で始めた社内勉強会の指針を公開してみる

はじめまして、ITエンジニアをしているkuboといいます。

僕はブロックチェーン技術を扱っているdigglueという会社で働いているのですが、digglueではエンジニアもビジデブも壁を作らずに業務解決にコミットしようという文化があります。

そのためビジデブがIoTデバイスでMockを作ったり、エンジニアがクライアントから直接課題をヒアリングして業務整理をし実装まで一気通貫で行ったりします。

このような弊社の文化を支えている一因にエンジニアとビジデブが共同で参加する社内勉強会があります。

このNoteではそんな弊社の社内勉強会の指針を共有していきます。

誰かの参考になったり、弊社に興味を持つきっかけになったりすると幸いです。


社内勉強会の指針

社内勉強会のはじまりと思い

実は気がついたら勉強会をはじめていたという感覚なのですが、思い返してみると勉強会をはじめた当初はITエンジニアとして全ての開発を担当しつつブロックチェーン調査を担当することの限界や、組織のブロックチェーンに対する知見への危機感を感じていました。このままではまずいと考え、各々が分担して学習をシェアできるようにブロックチェーン勉強会の場を作りました。

ブロックチェーン勉強会では次第にビジデブメンバーも学習をシェアするようになり、ブロックチェーンに限らずビジデブとエンジニアが共に学ぶ場へと育っていきました。これが社内勉強会のはじまりです。

自分が会社に入って一番得たいものは才気あふれるメンバーと課題に取り組み刺激を受けられる環境です。いつかそのようなメンバーで溢れる組織に育つことを願ってこの指針を記述しています。

社内勉強会の心構え

準備担当はよりよいコンテンツを目指して欲しいですが、常に質の高いコンテンツを準備するのは非常に難しいので継続を第一目標として無理のないようにしましょう。

参加は強制ではないので自分の必要性に応じて参加しましょう。

社内勉強会の目的

社内勉強会の目的は組織の競争優位性となる知見共有の場を作ることです。

競争優位性となる知見の共有の場とは

ブロックチェーン技術に限らずITを用いた課題解決には高い専門性が必要となります。特に知見の中でもインターネット上では得難い長期の実務適用から得られる知見、深い研究からしか得難い知見などがあります。これらの知見は組織としての付加価値となり競争優位性として機能します。

付加価値提供の対象

競争優位性のある知見によって得られる価値の提供先として、重要な順に以下の3つがあると考えています。

1. 顧客への価値提供
2. コミュニティーへの価値提供
3. メンバーへの価値提供

1. 顧客への価値提供

顧客への課題解決に資することが一番重要です。業務整理から見えた課題を研究チームに共有し、研究チームが解決手段を開発するなどが顧客への価値提供となる知見共有の例です。

2. コミュニティーへの価値提供

次に重要なのがコミュニティーへの価値提供です。コミュニティーとはビジネス・エンジニア・学生問わず業界の関係者全般のことを示します。研究開発や調査資料を一般向けに公開したり、技術記事を一般に公開するのがこの形式です。資料は社内で提供するでけでなく、一般への公開を意識するとよいです。

ITにおいて主要な企業はすべからず質の高いコンテンツを無料で一般公開しています。このような形でコミュニティーから評価される活動を行うことは信頼獲得につながります。

仕事の依頼先を考える時、就職先を考える時、使うサービス・プラットフォームを選ぶ時などの判断において、一般から評価される活動をどれだけ行っているかは非常に重要な指標となります。

3. メンバーへの価値提供

最後にメンバーへの価値提供です。ITコンサル・ITエンジニアと個人で活躍するのが非常に容易となった時代にそれでも会社に属する理由の大きな一つが、業務でしか得られない知見を得るためです。個人での習得が難しい知見を獲得できる場となることがメンバーのモチベーションにつながります。

学習コンテンツの質を高める基準

現在はネットで専門性の高い情報・体系的にまとまっている情報が多くあります。コンテンツを作る際は既にある情報とは違う付加価値を与えることを意識してましょう。付加価値があるコンテンツの特徴として例えば以下のようなものがあります。

- 直近の業務と技術を関連させた内容
- 業界に特化した内容
- 会社で特に特化した方がいい問題の共有
- ドメイン特有の経験の共有
- 調べる事自体が難しい情報の共有
- 専門用語が多く難解な文章のサマリの共有
- 一般に公開されていない情報
- 一般に公開されていない解釈や洞察
- 一般に公開されているが収集するのが難しい情報の編集
- 一般に公開されている情報だがユースケースベースに編集し最適化させ再利用性が高いもの
- 会社のメンバーに最適化した学習のロードマップ

良い学習コンテンツの例

◇ブロックチェーンを導入する上で障壁となる社内外の利害関係

業務に入り込むことでしか見えず、かつ顧客の価値提供に直結する内容です。

◇Cordaを本番導入する上で事前に検討すべき事項

運用を初めてみることで確認できる課題で簡単には得難い知見です。

あまりよくない学習コンテンツの例

既存のもの読めば分かるけどモチベがないから読んでないもののようなコンテンツは避けます。

◇Ethereumの設定パラメーター一覧

公式のドキュメントを読めば理解できます。勉強会としてコンテンツとして用意することでどこへの価値提供になるのかが曖昧です。

◇Webチュートリアル

1000円払えば非常によいコンテンツが手に入ります。実際につくってみて、工数がかかる割りに人数が少なすぎるのであまりインパクトはなかったように思います。

学習コンテンツのチェックリスト

◇付加価値

1. 誰に価値を提供しているか?
2. そのコンテンツの再利用性は?
3. そのコンテンツが提供しうる人数は?
4. 作成した付加価値は?

◇コンテンツ選定

1. 情報はフィルタリングしましょう
2. ネットに落ちているコンテンツは再利用しましょう

◇分かりやすさ

1. 議論の前提をクリアにしましょう
2. 論旨をクリアにしましょう
3. 論点をクリアにしましょう
4. 理解をクリアにしましょう
5. 出来るだけシンプルにしましょう

社内勉強会の活用方法

できるだけ付加価値を高めるようにコンテンツの質を考えて欲しいですが、まずはなによりも勉強会の文化を定着させ継続させることを重視して運用していきます。そのため社内外への情報共有だけでなく、「自分の学習の整理」や「自分の活動報告」などの場などとしても積極的に利用してください。

できれば一般公開を目指す

学習コンテンツは可能であれば一般公開を目指してみて欲しいです。ブログや動画など、形式は問いません。一般公開を目指すと内容を精査する意識が働き、思考が深くなります。価値を提供できる範囲を広げるためだけでなく、自分の理解を深めるためにも可能であれば一般公開できる内容のコンテンツ作成を目指してみましょう。

その他勉強会について

- ルールはありません
- 方針や判断基準はあります
- コンテンツ作成は強制じゃありません
- 勉強会への参加は強制じゃありません
- 共有必須の内容は別の機会に
- 時間が短く終わるのはいいことなので無理に尺を伸ばさなくてよいです
- ディスカッションしてもいいです
- アンケートとってもいいです
- 口頭で説明しなくてもいいです
- 動画流すだけでもいいです
- 資料おいておくだけでもいいです

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