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仮想通貨アービトラージの問題点「送金手数料」をクリアする手法①

「送金手数料」という問題点とその対策


1. 送金手数料があることで取引を連続で行えなくなり、機会損失になる


アービトラージとは取引所と取引所の間での同じ仮想通貨の価格差を利用した取引のことです。

この価格差の起き方が、A取引所の方が高くB取引所の方が安い→B取引所の方が高くA取引所の方が安い→A取引所の方が高く……と偶然交互に起きて(かつその価格差も同じくらいで推移して)くれたら、各取引所にあらかじめ預けておく日本円と仮想通貨の量は少ないまま交換的に取引が続くだけで済みます。

しかしながら、現実はどうなるかわかりません。一方的にA取引所の方が高い金額をつけ続けることもよくあるでしょう。その際には、すぐさまA取引所には売却するための仮想通貨を補填しなければいけませんし、B取引所には安くなっている仮想通貨を買い続けるために日本円を補填しなければいけません。

ほかのアービトラージではこの送金がたやすいものもあるようですが、仮想通貨取引所の多くはこの送金や仮想通貨の送付に手数料や時間がかかるケースが多く、このようにうまくはいきません。
そのため、仮想通貨アービトラージでは「いかにして価格差が生じたときの機会損失をなくして、取引を連続させられるか」という、送金手数料による問題があるのです。


2. 送金手数料を避けるために考えうる対応策・手法は3つ


送金手数料によって連続取引に弊害があることは説明しました。ではそれを解決するためにはどのような手法が考えられるでしょうか。

  1.  送金しない

  2.  日本円を経由しない

  3.  送金回数を最小限にする

考えらえるのは上記3つではないでしょうか。
このノートでは上記のうち1の「送金しない」という対応策について考えていきます。


「送金しない」方法では多額の元手が必要になる


1. 「送金しない」ことの意味


思い切って「取引所間で日本円の送金をしないで解決させる」という考え方です。送金しないとはつまり、各取引所の中に裁定取引を行うためのお金をあらかじめできるかぎり多く入れておくことを意味します。
実際に今稼働している仮想通貨アービトラージサービス『BiTAATS』では、この方式をとっています。


2. 「送金しない」時の取引の考え方


アービトラージでは、仮想通貨(暗号通貨)に価格差が生じた際に、すぐさまその価格差に乗じて、安く売っているA取引所でその通貨を買い、高く買ってくれるB取引所でその通貨を売ることで利益を得ます。
実際にはその取引を行ったことで

買うA取引所:預けていた日本円は減り、新たに仮想通貨が増える。
売るB取引所:預けていた仮想通貨が減り、新たに日本円が増える。

(ということになるわけですが、この時、差額で得をしているので、全体で減った日本円と仮想通貨の合計よりも、全体で増えた日本円と仮想通貨の合計が大きくなり、売り先のB取引所の資産がA取引所よりも若干増えたことになります。)

本来の裁定取引ではこの直後に、
買ったA取引所で減少した分の日本円を←売ったB取引所で増えた日本円から補填
することで、ほぼ最初の状態(+B取引所では差額分日本円が増えていて、これが儲けになる)に戻し、また次の裁定取引に備えることができるわけです。しかしながら仮想通貨取引所では「日本円の単純送金には手数料がかかる」ために、送金をベースにしたこの考え方では、この送金手数料がネックになるのです。

そのため、「どうせA取引所とB取引所を俯瞰で見た時の総額では、BTCの残高は同一で、日本円だけがちょっとだけ増えているだけの状態なので問題ない」ものの、価格差がこのままB取引所の方が高い、という状況が何度も続きその裁定取引を連続で行なった場合には、買うA取引所では預けた日本円が不足し、売るB取引所ではBTCが不足するという事態に陥ります。
これは、手数料をはらってどこかで日本円を移し替えるか、いつかA取引所が高くなりB取引所が安くなるタイミングで、今と逆の裁定取引が起きるのを待つことになり、機会損失となります。


3. 「送金しない」場合に必要となる元手の計算例


現時点(22年2月)では、たとえば1BTCで1万円程度の差額が生じた際には、その差額に対して1度でいくら分の取引を行うかによって利益が異なるわけですが、この送金手数料によっていくら分の一度にどの程度の取引をしなければならないのか・ひいてはそのためにどの程度のお金を取引所に入れておかなければならないのか(元手の規模)が決まるわけです。

例:1BTC=500万円(A取引所)として、1万円の価格差が生じたとする。
→A取引所で購入金額500万円の時、B取引所で売却金額501万円という状況です。

アービトラージは自動取引ですので、こうした差額チャンスが生じたときに「いくら分取引するか」を決めておく必要があります。この時、日本円を増やしていきたい(BTCの保有量は一定)ので、BTCベースで取引量を指定します。1取引あたり0.01BTC分で差額を得ていくとした場合は、A取引所で50000円払って0.01BTCを手にし、同時にB取引所で0.01BTCを売却し、50100円を得て、結果100円の利益を得るわけです。

1BTC=500万円のとき、取引単位を

0.01BTCにすると、1回の取引の利益は100円、元手は5万円必要
0.1BTCにすると、1回の取引の利益は1000円、元手は50万円必要
1BTCにすると、1回の取引の利益は10000円、元手は500万円必要

となるわけです。

※そして、この「元手」は1回の取引に必要なお金なので、前述したようにもう一度同じ状況(B取引所の方がA取引所よりも高い)が起きた際に、その裁定取引は実施できないということになります。その機会損失を防ぐために、2連続でも対応できる・3連続でも対応できる……と考えていると、単純に2倍・3倍となっていくために、膨大な元手が必要になります。

筆者がBiTAATSで実際に試してみたところ、同じ裁定取引が8連続で発生することも稀ではなかったため、1取引の10倍程度の日本円とBTCを、それぞれの取引所に預けておく必要があるかなと思います。(日本円とBTC、両取引所で対応する必要があるので、その4倍は必要になるし、取引所を増やすとその分だけさらに必要になる)


「送金しない」方法では、アービトラージとしてあまりにハイリスクローリターンすぎる!


上記の結論から、単純に送金手数料をケチって機会を待ち続けるだけでは、大量の元手が必要になるか、機会損失を起こし続けることになり、どちらも預けたお金に対してのリターンが小さすぎるのではないかと筆者は感じます。


この記事は執筆中であり、随時更新します。

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私ぷろぐら二等兵は、世の中のいろいろなことをプログラマティックに自動化することを趣味としています。仮想通貨アービトラージについての記事も日々発信していきますので、良ければフォローやスキ!をお願いします。

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