AO入試の志望動機書の書き方・#3:「一本のライン」
今回は志望動機書の大きな設計図、のような点についてです。この「設計図」において一番大事だと思う点は、一本の「ライン」を描くこと、だと思います。どういうことかというと、過去⇒今⇒大学⇒学部⇒キャリア⇒将来のラインが(もちろん現在以降の未来には別に確定してなくても仮定でもいいので)描くように気をつける、ということです。
その一本のライン・線は図にするとこんな感じになります↓
まずこの図を見てもらえればわかると思うのですが、ここで重要な部分は、「何を書くのか」ということよりかは、「何を書かないのか」、というところだと思います。この「書かない」部分、というのが、図の長方形の青く塗られていない白い部分、となります。
過去から現在までは、「経験の最大公約数」(まぁこの表現が正しいのかは分かりませんが・・・)を出していく必要があります。「一本の」線が引かれる必要があるので、どういう線が、持っている経験、希望する大学、希望する学部、卒業後に希望するキャリア、人生の大きな目標…を貫通し得るのか、ということです。
過去から現在までの部分である今までの経験(のネタ)は、例えば5個書くことはできるかも、というのがあれば、その5個全部書く必要はないということです。使えそうな経験ネタをとにかく列挙する人がいますがあれはかえって読んでる人には(何がストーリーなのか、メインラインなのか、という余分な思考を要求することになり)逆効果になります。なので例えば5つの経験があるとすると、(他の受験生を考えて)より強い・魅力のある・差異化がはかれる例えば3つをちゃんと選ぶこと。そしてその一つの経験の全部を書く(つまり一つの白い長方形全部)ということでもありません。線が重なり得る部分のところを言及するので、この一つの長方形の中でも限定して言及、描写していきます。ここが上の図の青色の部分となります。
現在から大学・学部・キャリア・将来のビジョンについては、自分は(X大学「に」行きたいという理由だけではなく)その大学「で」、その大学「を通して」何をしたいのか、を仮定としてでも考えておくことが大切です。同じ大学であってもほかの学科、学部、と比べて違うところを調べることも大切です。
このラインを描くにあたって何が1番の制限要素か、というとやはり過去の経験、となります。上の図の「高校までの経験」を見ていただくとお分かりかと思いますが、この部分の白い長方形の位置はもう過去なので変えられません。この白い部分をできるだけたくさん通った(つまり青い部分となる)ラインの種類・範囲をまずは考えてください。ここから発される線を、希望する大学、学部、専攻につなげてみます。今まで私はこういうことをしてきた、だからこの大学で、学部で、専攻でこういうことをしたい、なぜなら(今までやってきたことの延長線で)卒業後はこういうキャリアに就きたい、なぜならばこういう人生の大きな目標があるからだ、となります。その書く順番は時系列でなくてもいいです。要は読み手の頭に、その空想のラインがパッと思い浮かび上がること、が大切です。道しるべ、と一緒で文章における道しるべが志望動機書の比較的早い段階で提示されていることです。
あと受験生のほぼ8割くらいは、上にも書いたように、「なぜ私がこの大学に入りたいのか」を説明してきます。が、ここだけをどんだけ力説されても読んでる側にしてみると、「いや、そもそも希望してるから受験してんだよね?」となります。100人受験希望者がいたら100人入りたいです、という気持ちでいます(少なくとも書面では)。人気のうどん屋の前で並んでる人はみんなうどんが食べたいのであって、それは所与、つまりGiven、既に確立されているポイントです。その気持ちだけを延々と語られても、いや他のみんな全員そう思ってるけど?となります。
何が大切かというと、「で、なんで我々の大学なの?そのあなただけの特有の理由ってあるの?」となります。その根拠のサポート部分が過去から現在までに描かれる線、となります。自分の声、自分の経験でその根拠がかけていない、言えていない時、つまりウェブで取ってきた、パンフレットに書かれてあることを書いている時はそこはほぼ(少なくとも私は)読み飛ばしますし、面接でそれを言われたらあーまたか、でほぼ聞いてません。それは大多数の他の受験生と一緒で差異化がされてないからです。
一つのチェック方法として、大学、学部の志望動機の部分で、志望校・学部の名前を適当に変えてみると面白いです。このランダムに大学名を変えたのにもかかわらず志望動機の文章の意味が通ったらバツ、となります。いわゆる一般的な表現、情報ですね。(例: 国際性がある、国際色が豊か、グローバルな経験が得られる、留学ができる、留学生が多い、他の優秀な学生がいる、いろんな経験ができる、視野が広げられる……などなど)
変えてみるチェック方そのニ、とすると、思い切って受験者名(あなたの名前!)自体を変えてみてください。ランダムな人の名前に…。で、(名前が変わってるのに)文章全体に意味が通ったらこれもバツ。イコール他の人でも書き得る、ジェネリックな内容ということです。これは、あなたしか書き得ない「すごい文章」、ということではなく、あなたしか書き得ない非常にパーソナルな、そして特定的なもの、ということです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?