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事務員やイソ弁を怒鳴る

はじめに

 法曹向けメンタルヘルスケアサポートを行っているAmiです。今回は第5回目です。
 ついつい、事務所で怒鳴ってしまったという経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
 Amiが行ったアンケート調査などでも、事務員の方やイソ弁の方から、ボス弁の先生から怒鳴られた経験や、ボス弁の先生がイライラしていると話を伺うタイミングに難しさがあるなどの悩みがあげられることは少なくありませんでした。
 そうはいっても、ボス弁の先生の忙しさや責任、苦悩などもわからなくもないところです。
 今回は、そんな中で「ついつい怒鳴ってしまった」時の対処について解説していきます。

事例

以前に指摘したはずのミスをまたおかしたアソシエイト・イソ弁がいた。普段なら「直しておいて」の一言で済ませるのだが、その時は「どうしてこんな簡単なこともちゃんとできないんだ!」と怒鳴ってしまった。

Ami架空の事例

A1.まずは怒鳴ったことについては謝る

 簡単に見えて実は難しいのが、怒鳴ってしまった相手に対する謝罪です。怒るだけの理由があったとしても、それを伝えるための手段として「怒鳴る」ことを選んでしまったのは自分自身です。
  しかし「相手が同じミスをした」など、怒鳴る理由を正当化できますし、上の立場になるとなかなか相手に謝罪をすることが難しいものです。すると、同じようなことを繰り返してしまったり、それが繰り返されると相手からはハラスメントとして取られ、事務所内の関係が悪化していくことも少なくありません。
  ハラスメントと感じるかどうかについては、日頃の関係性もありますが、言いすぎてしまった時に謝れるかどうかということも非常に重要です。
  まずは、アソシエイト・イソ弁に対して、自分自身の感情をコントロールできず、相手に不快な思いをさせたことを認め、謝罪の言葉を伝えましょう。

A2.しかし、必要な指導は行う

 感情的に怒鳴ったことについて謝ることは必要ですが、業務上のミスについては再度指導を行います。ミスをした原因や、今後の改善点について共有し、一緒に改善策を考えます。
 くれぐれも感情的な指導にならないようにしましょう。そして、相手に改善してほしいことを伝える際には「これはNGなので、次はこうして欲しい」と行動にフォーカスし、具体的に伝えるようにしましょう。くれぐれも「弁護士のくせにこんなこともできないのか」「ロースクールからやり直せ」など、相手を否定するような言葉にならないように気をつけましょう。
 客観的な視点で状況を捉えて、改善点を伝えることで感情的なコミュニケーションになるのを防ぐことができます。

A3.セルフマネジメントのスキル向上

 多忙な中で緊張感を持って業務に当たっている弁護士の方も多いことかと思います。普段の自分なら怒鳴るなんてことはないのに、業務が立て込んでいたり、ストレスや緊張感が高まる場面において、自身の余裕が十分にないと、冷静に対処することが難しくなります。結果として、怒鳴ってしまったり、イライラした雰囲気で事務所内の雰囲気を悪くさせます。
  しかし、周囲からするとそんなイライラした様子に対してはなかなかものを言えないのも実情でしょう。
  なので、自身が感情に飲み込まれないように自己管理能力を向上させることが大切です。時間管理やストレス解消の方法を見つけることで、オンとオフの過ごし方を意識的に切り替えることや、業務においても冷静な判断を行うことができます。
  基本的なことですが、

  • 満足な睡眠が取れているか

  • 食事は規則正しく取れているか

  • 家事をやる余裕はあるか

  • 余暇の時間を持てているか

なども大事にしてください。これが不十分な中で心身の健康を保つのはなかなか難しいものです。

A4.コミュニケーションスキルの向上

 上記に通じますが、自分自身のコミュニケーションスキルを向上させることで、職員や同僚、部下とより良い関係を築くことも可能となります。
 感情的にならずに、相手を尊重しつつも必要なことを伝えられるような指導ができるように心がけられることもあります。
 感情的になりやすい方はアンガーマネジメントを、言葉がきつくなりがちだったり自分の要求を伝えることが中心になりがちな方はアサーショントレーニングを、自分自身の感情などをキャッチしにくい方はマインドフルネスを、気づかないうちに周囲とトラブルになりがちな人などはカウンセリングで自分を振り返るなども有効です。

終わりに

 今は中堅やベテランになった先生方も、新人の頃にはイライラしたり一方的なボス弁先生に対して不満を持つこともあったのではないでしょうか。
  しかし、経験を重ねる中で自分が「イライラする側」になってしまっている方もいるのではないでしょうか。きっとそこには新人の頃には見えなかった「イライラする側の理由」もあるかと思います。
  そのイライラする理由を正当化して、感情的なコミュニケーションや業務指示を繰り返すと、職場内の雰囲気を悪化させ、より自分の首を絞めてしまうことも少なくありません。
  なかなか多忙さは変わらなかったり、安易に案件を減らすなども難しいと思いますが、言葉や言動を別の方法に代替することは、それらに比べると決して不可能なことではないと思います。
  自分でもとめられないイライラに困る場合は、気のおけない弁護士仲間に、どんなことを気をつけているかを相談してみたり、なかなか同業者に悩みを話すのは抵抗がある方はAmiのカウンセリングなどもご利用になってみてください。

個人でのご利用

https://lawyer.ami-wellbeing.com/

事務所でのご利用

https://forfirm.ami-wellbeing.com/

また、Ami以外の相談先としては、所属弁護士会の相談窓口や知り合いから相談先の紹介を受けたり、弁護士会のカウンセリングを利用したりすることも考えられます。
1人で抱え込むよりも話すことでストレスの軽減を図り、案件の突破口になるかもしれませんので、是非「他の方へ相談すること」を頭の片隅に置いておいてください。

年末から年明けにかけてストレスマネジメントの記事を連載していきますので、ご興味あれば引き続きお読みいただけますと幸いです。

https://ami-wellbeing.com/


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