西洋版文化大革命

BLM運動がアメリカ版文化大革命だと多くの論者に指摘されている。

暴れている人々の主張は文革のスローガンの造反有理、革命無罪、四旧打破そのものだが、革命に至る経緯もよく似ている。

毛沢東思想→ポストモダン・リベラリズム

大躍進政策→グローバリゼーション、identity politics

大後退→経済格差拡大、社会の分断

実権派による軌道修正→トランプ大統領のglobalismからnationalismへ

毛沢東の巻き返し(文化大革命)→リベラルの巻き返し(BLM)

紅衛兵→Social justice warriors, Antifa

BLM運動を焚きつけていたシアトル市長が一転して排除に転じたのは、紅衛兵の下放と似ている。

11月の大統領選挙でトランプが敗れれば、西洋文革が加速することは間違いなさそうである。

マルクス主義は、自由経済と資本主義が諸悪の根元だと考え、私的所有と自由競争を禁止しさえすれば、よい社会になると考えた。
しかしそれは大きな勘違いで、経済的な「平等」を力づくで実現させようとすると、逆にむしろ強大な権力システムが必要となり、その結果として、必然的に自由が抑圧されてしまう。
この事態を目撃したポストモダン思想は、反権力という対抗思想を作りあげた。しかし、近代社会における万人の自由が、じつは人民の権力によって維持されていることを、彼らはまったく見なかった。
統治する権力がなければ、むしろ先ほども言ったように万人の万人に対する闘争にならざるを得ず、その結果として、必ず力による自由の抑圧に帰結する。このことに現代思想は無知でした。

さらに遡るとフランス革命に行き着く。BLM運動の本質は、公民権運動のような人種差別撤廃ではなく、西洋文明の伝統を解体して、"Diversity, Equity, and Inclusion"を教義とするリベラリズム=新宗教で上書きする革命である。

1793年から1794年にかけてのこの運動が目標としたのは、フランスにおいてカトリック教会が保有していた大量の土地、権力、財産の公的な接収であり、キリスト教的なさまざまな習俗および宗教としてのカトリックそのものの解消であった。
無神論的な「理性の崇拝」や理神論にもとづく「最高存在の崇拝」などといった道徳的な宗教が新たに出現し、後者に関しては、短期間ではあったが、1794年4月、政府が公式にその遵守を人びとに命じている。

マイルドな革命が20年以上続いているのが日本で、グローバル投資家と結託した新自由主義者が企業の「日本的経営」や政府の再分配・均霑化の仕組みを徹底的に解体・脱構築している。軌道修正のチャンスが2005年の郵政選挙だったが、革命に熱狂した国民によって潰されてしまった。

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