コドモノミクスは現在進行中(だが人件費はケチられる)
どうも「シルバーデモクラシーの日本では高齢者向けの社会保障給付が優先されるために、子供向けには金が回ってこない(→出生率が低くなる)」と思い込んでいる人が少なくないようだが、そうではない。
地方公共団体(以下、地方)の歳出は1990年代後半から削減・抑制が続いているが、児童福祉費は聖域扱いされている。
![](https://assets.st-note.com/img/1664190102188-B0XQf9AL99.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664190049906-01MmZwmH6v.png?width=1200)
これ👇は令和3年版地方財政白書から2009年度と2019年度を比較した記述。
市町村においては、児童福祉費が1.7倍、社会福祉費が1.4倍、老人福祉費が1.3倍、生活保護費が1.2倍となっている。これは、幼児教育・保育の無償化の実施、児童手当制度の拡充、自立支援給付費の増加等を背景に、児童福祉費及び社会福祉費に係る扶助費が、また後期高齢者医療事業会計や介護保険事業会計への繰出金の増加等を背景に、老人福祉費に係る繰出金が、それぞれ増加していること等によるものである。
太字は引用者
そのため、児童福祉費の歳出合計に占める割合と対GDP比は1990年代後半から急上昇している。
![](https://assets.st-note.com/img/1664190278522-qoSjpiJPGy.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664190061235-fxrd3e8vlT.png?width=1200)
既に日本の児童・家族関係給付費の対GDP比はOECD平均に近づいている。つまり、コドモノミクスは未実現ではなく現在進行中ということである。現状から児童福祉費を倍増させるためには約10兆円が必要で、実現すれば北欧諸国を軽く超えてしまう。
泉市長、おはようございます。昨日は、矢田わか子ともども大変お世話になりました。ありがとうございます。改めて現地を見て泉市長のビジョンと熱意に圧倒されました。私たちも子ども予算倍増、所得制限撤廃、コドモノミクスの実現に信念を持って取り組みます!泉市長、とにかく「負けないで!」(笑) https://t.co/Gj0g9YyFTn
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) September 9, 2022
同感です。子育て支援とりわけ中間層の支援は「経済対策」にもなります。これまでの低所得者支援や「施し」の発想から脱却する必要があります。経済波及効果も大きいし、納税者、消費者を生み出すことにも直結します。泉市長のおっしゃる「商売人も儲かる」政策なのです。#国民民主党 #コドモノミクス https://t.co/W0yDZvVY5D
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) September 11, 2022
![](https://assets.st-note.com/img/1664196736355-R03hXO56Kk.png?width=1200)
では、現在進行中のコドモノミクスのこれまでの成果だが、出生率を高めた形跡はない。「児童福祉費を増やしていなければもっと低下していた」「明石市の水準まで増やすと効果が出る」という解釈も可能だが、海外の研究などを踏まえると、出生率を引き上げる効果は無視できるというのが妥当である。
![](https://assets.st-note.com/img/1664191140987-MTz7a3ZNqe.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1664190833429-RMl9uTn8wi.png?width=1200)
横軸は女の出生年、縦軸は各出生年の女の各年齢までの平均出生数
この間の経済動向を振り返れば、コドモノミクスは「経済にプラス」と言うほどのものではなかったことも確実である(マイナスではないが)。
ツイッターでの紹介が遅くなりましたが、子育て日本一の兵庫県明石市の泉市長との対談の後編です。5つの無料化の1つがオムツの無料化ですが、単にオムツをタダで配っているわけではありません。その秘密を泉市長が明かしてくれています。ぜひご覧ください!#たまきチャンネルhttps://t.co/4KGi7vnZ4R pic.twitter.com/narDbzhxKX
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) September 21, 2022
![](https://assets.st-note.com/img/1664199949872-exhqjc3Ayo.png?width=1200)
一点注目されるのは、児童福祉費の大幅増額は主として扶助費に充てられ、人件費は減らされていたことである(「適正化」とされていた)。
![](https://assets.st-note.com/img/1664192081048-OWZurkm9Ok.png?width=1200)
1999年度を100とした2019年度の値は以下の通り。
名目GDP:105
地方の歳出:98
児童福祉費:236
うち扶助費:352
うち人件費:87
子育て世帯への経済支援は充実した反面、サービス提供者は我慢を強いられたようだが、このような対人サービスの賃金が抑制され続けたことの経済への悪影響は小さくないように思われる。
【コロナがあぶり出した保育士「ありえない格差」】 国の指示に従わない保育園も多数ある実態#東洋経済オンラインhttps://t.co/x2Zxpa6vcl
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) May 30, 2020
《本文は以上です。有料設定はサポート機能の補完です。》
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?