税収は過去最高でも増税が必要とされる理由
その理由は簡単で、景気の拡大期でも公債依存度が高いためである。
増税していなくても税収が増えていることは、日本は不景気ではなく景気拡大が続いていたことを示している。景気が悪くないのに悪いと感じる人が多いのは、日本経済の潜在成長率が低下したことの反映と言える(老化すると病気ではないのに「調子が良くない」と感じるようなもの)。
増税を目指すのは、足元の景気が悪くないことに加えて、税収が過去最高でも赤字国債発行額が30兆円もあるためである。
「なんで還元しない?」とあるが、社会保障関係費は四半世紀で20兆円も増えているので還元されている。還元先が老人に偏っているだけである。
未だに「土建利権のために血税が無駄遣いされている」と批判する人もいるが、土建から福祉への財政の転換は完了している。
Smart FLASHの記事にある経済記者のコメント👇だが、道路利用税は揮発油税の代替(道路コストの受益者負担)、金融所得課税の見直しは資本と労働の税負担のバランスをとるもので、それ相応の理由があるので、「どこまで国民からむしり取ろうとするのだろうか」との批判は的外れである。
政府が慢性的な大赤字体質になったのは、企業部門が1997年の金融危機後に資金余剰(黒字)に転換したことと表裏一体である。
企業の余剰資金は2000年代前半までは過剰債務の圧縮、その後は現預金と対外直接投資に向けられている。
人口減少のために国内市場の量的縮小と投資のリターンの低下が予想される状況では、
投資先を国内から海外へシフトする(G型企業)
キャッシュポジションを高める(L型企業)
ことは合理的だが、この企業の経済合理的行動が巨額の財政赤字を生み出す原因になっている。
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