反緊縮派の錯覚「政府支出と名目GDPの相関と因果」を検証

またパクリ屋のシェイブテイルとその仲間たちが元銀行アナリストのD.アトキンソンに絡んでいるので、今回はアメリカの1960~2020年の統計を用いてmythbustingする。

名目GDPと政府支出の1年前、2年前、5年前、10年前と比較した伸び率(年平均)を散布図に示す。

1年前比

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(👇世界金融危機の2009年とコロナ禍の2020年を除く)

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2年前比(2020/2018, 2018/2016, …)

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(👇世界金融危機の2009年とコロナ禍の2020年を除く)

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5年前比(2020/2015, 2015/2010, …)

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10年前比(2020/2010, 2010/2000, …)

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シェイブテイルは「任意の金額が出せる政府支出」と言っているが、平時の政府は支出額をトップダウン的に決めるのではなく、GDPや税収の予測値に基づいて予算編成する(←支出のaffordabilityは潜在GDPに依存する)。政府は「政府の大きさ」が一定の範囲に収まるように財政運営するので、景気変動が均される長期になるほど"政府支出の伸び率≒名目GDPの伸び率"となり、相関係数は1に近づく。政府支出のうち特に経常的経費は賃金や物価との連動性が強いので、名目GDPのトレンドに比例的に増加していく。

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反循環的な要素が含まれる支出よりも、収入の方が名目GDPとの相関が強いことも重要である。反緊縮派もこの相関関係から「増税すれば名目GDPを増やせる」とは主張しないだろう。

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シェイブテイルは「税収が先ならそんな対策もできなかったはずですね」と言っているが、政府には借入という資金調達手段があるのだから反論になっていない。MMTにかぶれて「税は財源ではない」と念仏を唱える反緊縮派は国庫の資金繰りの実態に無知なように見える。

補正予算を執行するには、資金調達が必要になる。
しかし、追加で国債を発行し、資金調達するには時間がかかる。3カ月先の7月以降になる見込みだった。それまでの間は、短期的な資金繰りで乗り切るしかない。
補正予算の決定後は、早急に資金が必要となったことから、特別会計(特会)に融通していた資金を返済してもらうことで約40兆円を確保した。それでも合計約57兆6,000億円の補正予算を賄うには不足するため、平成27年の発行以来、5年ぶりとなる財務省証券を6月に発行して補正予算の支出に対応した。

日本でもobviously untrue👇。

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反緊縮派は「経済成長率は政府支出次第」と言うのであれば、日本の高度成長期の「所得倍増」は政府支出を倍増させたから実現できたことを論証してみればよい。経済史を書き換える画期的研究になる。

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