「税は財源ではない」論者が知らない事実

昨日の記事の関連だが、「正しい貨幣観」を持っていると自負する論者は現実の制度運営について無知である。

実際はこの通り👇。「税は財源」は「税だけが財源」の意味ではない。

補正予算を執行するには、資金調達が必要になる。 政府の予算は、各年度の歳入と歳出を年度を通じてみれば均衡するように決定される。その歳入の財源は主に税収などや国債発行によって賄われているが、コロナ対策として歳出を増やした分については、国債発行計画を見直して国債を追加発行し、資金調達をする必要があった。
しかし、追加で国債を発行し、資金調達するには時間がかかる。3カ月先の 7月以降になる見込みだった。それまでの間は、短期的な資金繰りで乗り切るしかない。更に、コロナ対策として納税の特例猶予なども実施したため、当初想定通りの税収が入ってくることも期待できない。

補正予算の決定後は、早急に資金が必要となったことから、特別会計(特会)に融通していた資金を返済してもらうことで約40兆円を確保した。それでも合計約57兆6,000億円の補正予算を賄うには不足するため、平成27年の発行以来、5年ぶりとなる財務省証券を6月に発行して補正予算の支出に対応した。

財務省「ファイナンス」(令和2年11月号)
新型コロナに対応した資金調達と債務管理
財務省

政府が(通貨価値を損なわない範囲で)借り入れできるのは、将来の収入(多くの国では主として税収)によって返済が担保されているから。

「税金は政府の財源ではない」というのは、「売上金は企業の給与支払いの原資ではない」と言うに等しい妄言。

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