賃上げ不足と人口減少

賃上げ不足で岸田首相が責められているが、賃上げの主導権は企業にあり、政府は「お願い」しかできないのだから、ちょっと気の毒ではある。

賃上げ不足が日本経済の問題の核心であることと、政府の施策には限界があることについては、ポール・クルーグマンも1年前にこの👇ように言っていた。なお、同書では、他の三人の経済学者(ヤニス・バルファキス、ランダル・レイ、ラグラム・ラジャン)も、温度差はあるものの、賃上げ不足について言及している。

スタグフレーションを回避しスタグネーション(stagnation:景気低迷)を改善するには、やはり企業側がまず賃金を上げるしかないでしょう。政府の施策だけでこの状況を脱することは、きわめて厳しいと言わざるを得ません。
繰り返しますが、日本企業は内部留保ばかりを増やしていないで、もっと利益を従業員の賃金に回すべきです。

「常識」が通じない世界で日本人はどう生きるか』p.59

「よいインフレ」に転換するためには、まず企業側が労働者の賃金を上げることが最も重要かつ有効なのですが、日本の企業は内部留保を増やすだけで、インフレ率にマッチした賃金の引き上げを頑なに実施しません。ここで賃金を上げることができれば、理論上は好循環に転じるはずなのです。それは「よいインフレ」を生じさせるとともに、生産性を上げる健全な投資も生み出すはずです。優良な雇用は生産性を上げ、結果、さらなるイノベーションに向けた適切な投資が行われるでしょう。

p.57

企業が賃金を抑制する根底には人口減少がある(この👇辺りが関係)。

日本はバブル崩壊~人口減少への転換期にグローバル金融資本主義を導入して株主主権を強化する改革をしたことが、衰退マネジメントの失敗につながっていると言える。

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