企業が賃上げしない理由

「企業が賃上げしない理由」については河野龍太郎と見解がほぼ一致する。

将来的なマーケットの縮小も、理由の1つかもしれません。日本経済はすでに成熟しきっており、これ以上の大きな成長は望めないと皆諦めています。社会では少子高齢化が進み、人口も縮小していくと見られています。将来の見通しが暗いため、賃上げすると後々経営が苦しくなるのではないかと、企業のトップたちは考えてしまう。投資をするのも海外ばかりです。

賃金を上げない代わりに、日本企業は内部留保をひたすら増やし続けてきました。この内部留保こそ、日本経済の停滞を招いている大きな要因です。私はこの10年間、大企業経営者と話すたびに「皆さん方がため込むから経済が回復しない」と言い続けてきました。ところが新型コロナの到来で向こうは自信を持ってしまった。ある財界首脳に「河野さんの言うことを聞かなくてよかったですよ。売り上げが減っても、雇用リストラも倒産もしなくて済みましたから」と言われてしまいました(苦笑)。

ここでの内部留保とは余剰資金を指すと思われる。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」
事業所規模5人以上・就業形態計
日本銀行「資金循環」

バブル崩壊後も賃上げを続ける

1997年の金融危機後の大不況で固定費負担が重くなる

債務・設備・雇用の「三つの過剰」の解消後も賃金抑制を続ける

2008年には世界大不況(リーマンショック)

2020年には新型コロナ不況

バブル崩壊後も賃上げを続けたことが失敗体験、金融危機から20年以上賃金抑制を続けたことが成功体験として経営者が学習してしまったわけである。これと「将来的なマーケットの縮小」の見通しが企業が賃上げしない理由になっている。

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