銀行は(集めた)預金で国債を買う

《有料設定はサポート機能の補完で全部読めます》


この辺り👇の議論を整理する後編(前編関連記事)。

政府が発行した国債を銀行が購入する場合、銀行は中央銀行に設けられた準備預金を通じて購入している。その準備預金は、中央銀行から供給されたものであって、民間部門の預金を集めたものではない。すなわち、政府の財政赤字は、民間貯蓄でファイナンスされてなどいないのである。
銀行による国債購入というのは、日銀が政府から直接国債を購入して当座預金を供給すること(日銀による政府への信用創造)、いわゆる「財政ファイナンス」とほぼ同じということになります。もっとも、財政ファイナンスは、法律(財政法第五条)により原則禁止とされています。しかし、銀行による国債購入も、結局のところ、日銀が供給した当座預金を通じて行われているのですから、財政ファイナンスも同然でしょう。

中野たちの問題は、「支払に用いる」と「ファイナンスする」の混同、言い換えると、銀行の資産と負債、運用と調達の関係を理解していない点にある。

例えば、民間人が銀行からカーローンで100万円を借りる→100万円を引き出して自動車販売店で現金100万円を支払うとする。支払に用いたのは中央銀行が供給元の現金だが、自動車の購入代金をファイナンスしたのは信用供与した(預金を創造して貸し付けた)市中銀行である。銀行は引き出される預金と同額の現金(中銀当座預金を含む)を準備していればよい。

銀行が中央銀行から中銀預金を調達する手順は、担保になるeligible assets(低リスクの手形、社債、CP等)を取得→中央銀行に売る/有担保で借りる→資産に中銀預金/負債に預金が両建てで増える、となる。預金が引き出されたり他行に送金されると、資産の現金・預け金も両建てで減少する。銀行の預金集めには、その減少分を補充する意味がある。集められた現金・預け金が国債代金の支払に用いられるのだから、「銀行は(集めた)預金で国債を買っている」は勘違いではない。

カーローン&現金払いでの自動車購入が中央銀行のファイナンスではないように、銀行による国債購入は財政ファイナンス同然ではない。どちらも中央銀行ではなく市中銀行による信用創造・供与である。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?