国債が消えても世の中からおカネは消えない

国債が完済されると世の中からおカネが消える」という思い込みが正しくないことを示す。

世の中のおカネ(マネーストック)は銀行の信用供与によって生まれるが、1990年代までは民間向けが大部分を占めていた。銀行部門が保有する国債がすべて償還されても、民間向け信用供与に対応する預金は消えない。

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1990年代末から第二次安倍政権発足頃までは、民間向け信用の減少and/or政府向け信用の増加が続いたが、依然として民間向けが政府向けを上回っている。

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現代の通貨システムは「民間経済活動のために民間銀行が信用供与する」ものをベースに発展してきたものなので、国の関与は不可欠ではない。国債が消えたからと言って世の中からおカネが消えることにはならない。

「国債は銀行が買っている」という思い込みもあるようだが、日本銀行が大量に買い占めている現在でも、国債・財投債の約4割は保険・年金基金など銀行(預金取扱機関と日銀)以外が保有している。

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国債を非銀行部門が買う場合には「国債発行→財政支出」の前後でマネーストックは増えないことにも注意。政府支出によって預金が生まれるのではなく、民間銀行の信用供与によって預金が生まれるのである。

国債を個人・企業等非金融機関が引受ける場合は・・・・・・やや長目に見ればMS総量は不変。
これに対し、この国債を市中銀行が引受けた場合には、銀行の対政府信用創造が行われるわけで、・・・・・・MS総量は市中銀行の国債引受け分だけ増えることになる。これが個人・企業等非銀行による国債引受けのケースとの決定的な違い。

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