クレオパトラと歴史の上書き

簑原俊洋は戦後の日本の問題としてこの👇ように指摘しているが、

以前の自己を否定するためには、中途半端な変化ではどうも不十分みたいですね。だから完全に上書きするという意味で思いっ切り逆に振り切らないといけない。本当はバランスを取ることが大事なのに……。

「外圧」の日本史』p.335

西洋で猛威を振るうwokeismの文化大革命も、完全に上書きするという意味で思いっ切り逆に振り切っている。これ👇はその一例で、荒唐無稽な黒人中心主義がアメリカの知識層のメインストリームになってきたことを示している。

地中海・ヨーロッパ文明を剽窃する黒人中心主義はコンプレックスとルサンチマンの産物(隣国の「半万年の歴史」と同じ精神)。

テンプル大学のモレフィ・アサンテを代表的論客とするアフリカ中心論者(Afrocentrist)たちは、古代エジプトが実は高度な文明を有する黒人の国であり、ヨーロッパの白人優越主義者たちはアフリカ文明のヨーロッパへの貢献を意図的かつ組織的に人類史から葬ってきた、と主張する。

p.42-43

ジョージア州立大学の心理学者であるアサ・ヒリアードは、アフリカ中心的なプログラムを考案し、アフリカこそ西欧文明の母体であり、科学・哲学・医学・芸術の誕生の地であり、ヨーロッパはそれをアフリカから盗んだのである、と説明している。そして、コロンブスがアメリカを発見する何世紀前にアフリカ人が発見していた、と主張するのである。

p.43

アフリカ中心主義の「西欧の科学や技術文明の誕生地はアフリカである」「古代エジプトは黒人国家であった」あるいは「クレオパトラは黒人であった」などの説は極めて根拠が希薄であり、西欧文明の卓越性を否定しつつ、一方でその生みの親はアフリカ人である、と主張するのは「皮肉な自己矛盾だ」と、ハーバード大学アフロ・アメリカン研究科のヘンリー・ルイス・ゲーツ教授は反駁する。

p.43

このドキュメンタリーのディレクターはイラン人の女だが、歴史は白人によって上書き(ホワイトウォッシュ)されていると決めつけおり、それを正すという使命感と政治的意図を明確にしている。エジプト人の抗議を嘲笑うなど、かなり悪質である。

「撮影が近づくにつれ、この仕事の重要性と政治的な側面があることに気が付きました。物事を正すことは大切でしたが、人道的かつ繊細に物語を描くことも重要です。女性ということと、性的な魅力だけで力を得たというイメージを払拭する必要がありました」

While shooting, I became the target of a huge online hate campaign. Egyptians accused me of “blackwashing” and “stealing” their history. Some threatened to ruin my career — which I wanted to tell them was laughable. I was ruining it very well for myself, thank you very much! No amount of reasoning or reminders that Arab invasions had not yet happened in Cleopatra’s age seemed to stem the tide of ridiculous comments. Amir in his bedroom in Cairo wrote to me to earnestly appeal that “Cleopatra was Greek!” Oh, Lawd! Why would that be a good thing to you, Amir? You’re Egyptian.
So, was Cleopatra Black? We don’t know for sure, but we can be certain she wasn’t white like Elizabeth Taylor. We need to have a conversation with ourselves about our colorism, and the internalized white supremacy that Hollywood has indoctrinated us with.
Most of all, we need to realize that Cleopatra’s story is less about her than it is about who we are.

唯一の問題は、ネットフリックスがこのシリーズを「ドキュメンタリードラマ」に分類したことだ。この分類だと、視聴者は、可能な限り事実にもとづいて描かれた作品だと思って観ることになる。クレオパトラについてわかっていることから推測するに、彼女はマケドニア系のギリシャ人だったと考えられるので、白人の俳優が演じるほうが史実に近いということになる(つまり、アラブ人がこの役を演じても正確とは言えない)。

日本のエリートにはこの👇ような人が多いが、狂ったアングロサクソンについていっても大丈夫か冷静に考えた方が良い。

岡崎久彦という外交官兼戦略家がいて、この人は「日本はアングロサクソンについていけば間違いない」ということを口癖にしていた。

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