大韓民国全羅南道霊光郡の出生率アップ

大韓民国は現金支援で出生増に成功したとのこと。

現金支援で出産率を1.8人まで高めた全羅南道霊光郡は、韓国で最も高い出生率を誇る。霊光郡は第1子に500万ウォン、第2子は1200万ウォン、第3~第5子は3000万ウォン、第6子以上からは3500万ウォンという養育費を支給している。別途に育児用品購買金で30万ウォンを支援(3児からは50万ウォン)、妊婦には30万ウォンの交通カードを提供など子育て支援が充実している。父親にも育児休職奨励金の名目で月50万ウォンずつ6カ月を支給する。さらにこれとは別に結婚するカップルにはお祝い金として500万ウォンの支給もしている。

確かにTFRは2018年から急上昇している。2017→2022年にかけて全国は0.27ポイントの低下だが、霊光郡は0.26ポイントの上昇と対照的である。

大韓民国統計庁
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霊光郡は原子力発電所がある人口5万人強と小規模な地方自治体なので、これを全国レベルで実施しても同様の成果は見込めないと思われる。

ただ、こうした直接的な現金支援は持続可能な少子化対策にはならないことを、この20年間380兆ウォンをつぎ込んだ韓国政府が証明している。少子化の抜本的改善には労働改革、教育改革、住宅価格安定などの社会構造的変化が必ず伴わなければならないし、何よりも他人と比較する意識が強く過当競争に走りやすい社会風土が改善されなければならないというのが専門家たちの意見だ。

結局、ある程度資産を蓄積できている人ならともかく、若い人たち、青年たちは、結婚したくてもできない、家庭を持つことの難易度が高すぎる、つまり子供をつくることが「無理ゲー」に挑むような状況だから、人口が減少するしかない、というのです。

大韓民国の極低出生率は2015~16年を境に二つの期間に分けられる。TFRが1.2前後の一期目は「IMF改革→無限競争社会→恋愛・婚活・結婚する心理的ゆとりがなくなる」が主因だが、二期目はそれに加えてフェミニズムの過熱化→女の非婚化が出生率を急落させている(『82年生まれ、キム・ジヨン』の刊行は2016年10月)。

大韓民国統計庁
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霊光郡についての知識がないので完全な推測になるが、田舎ということもあってフェミニズムの影響が弱いことが出生率を維持できている理由かもしれない。

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