日本の活力低下

ヒトラーの大衆扇動術』は某市の前市長の煽動術を理解する上で非常に役立つ本だが、この👇箇所は日本経済の停滞感の説明になっている。

現代でも同様だが、若い層に人気のない集団に未来はない。これは単に、支持層が老化し、死亡して数が減っていくという問題だけではない。集団の活力の問題なのである。
人間は年をとればとるほど現実的になり、組織への忠誠度は低下して、自分の利益だけに注力するようになる。情熱的に行動することより、腕をこまねいて傍観するようになり、熱い感性より、冷たい理性が心を支配するようになる。理想のために自らを犠牲にすることはできなくなって、保身で頭がいっぱいになる。したがって、若者の心をとらえられない集団は、組織的にエネルギーの不足した集団になっていく。それは会社でも政治勢力でも同じで、より若い支持者を捉えている他の集団に行動力で劣勢にならざるを得ない。そのような集団の衰退は、決して将来の話ではなくて、今もすでに進行しているのだ。

p.189

当noteでこれまでに書いてきたことだが、日本経済の停滞感の原因は積極財政派が言うような財政赤字が少なすぎることではなく、老化(人口の高齢化)だと考えられる。日本は総人口の半分近くが50歳以上になっているので、やる気・血気・活気・活力が湧いてこなくて当然である。

実績は総務省「人口推計」
推計は国立社会保障・人口問題研究所「将来人口推計」(出生中位・死亡中位)
実績は総務省「人口推計」
推計は国立社会保障・人口問題研究所「将来人口推計」(出生中位・死亡中位)

昔、ツーカーのCMで松本人志が「日本はおじさん・おばさんだらけ/結構年を取っている」的なことを言っていたような記憶があるが、その時点からでも中位数年齢は6~7歳は上昇している。

実績は総務省, 推計は国立社会保障・人口問題研究所(出生中位・死亡中位)

若者人口がピークに向かっていた1990年代をバブルの後処理とリストラクチャリングで空費してしまったことが痛い。

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