マガジンのカバー画像

経済

469
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

トレンド成長率低下の主因

日本の1人当たり実質GDPのトレンド成長率低下の原因について検証する。消費税の影響については下の記事を参照のこと。 下のグラフは赤マーカーは 1985年9月:プラザ合意 1987年2月:公定歩合2.5%に引き下げ 1989年4月:物品税廃止・消費税導入 1990年1月:株価暴落始まる 1997年4月:消費税率3%→5% 1997年11月:金融危機発生 2008年9月:リーマンショック 2014年4月:消費税率5%→8% グラフの三本の薄緑線の傾き(トレンド成長率)は+3

土木学者のデタラメ消費税分析

土木工学が専門の藤井聡がこの番組で出鱈目だらけを喋っていたので、特に目立った点を指摘する。 経済成長率まず、この記事(⇩)の2ページ目の実質民間最終消費支出のグラフを示して、 「日本経済は2014年4月の消費税率引き上げによる落ち込みから2014年3月の水準に戻るまでに8年かかる」 「2.61%→1.14%→0.41%の三つの関係から数学的に外挿すると、2019年10月の消費税率引き上げ後の伸び率は0.21%に低下する」 「日本経済は2%落ち込むので、2019年3月の水準

消費税とデフレ

消費税率改定の物価への直接的影響を除いた消費税調整済消費者物価指数を用いて、消費税率引き上げがデフレの原因ではないことを確認する。グラフの赤マーカーは1997年4月、2014年4月、2019年10月である。 1997年4月の消費税率引き上げから消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)が下落基調に転じるまでに約2年半が経過している。 2014年4月の引き上げは消費者物価指数の上昇基調に影響を与えていない。2014年4月→2019年10月の年平均上昇率は総合が+0.

クルーグマンのピンボケ日本経済分析

焼きが回ったクルーグマンの日本経済分析を読んでみる。 低インフレ率にあえいでいるにもかかわらず、日本で大きな不満の声は上がっていません。これはとても奇妙なことです。 インフレ率を上げれば、実質金利が下がり、個人消費は喚起されるのです。 また、インフレ率の上昇は、日本の財政も改善させます。日本は約1100兆円という世界最悪の借金を抱えています。ただ、インフレ率が上がれば、貨幣の価値が下がるわけですから、実質的な債務残高は軽減されます。 一般的に、国民が望むのは物価の上昇

財政赤字は「むしろ良い」が十分ではない

現代の通貨システムは、市中のマネー(マネーストック)はまず預金取扱機関(主に民間銀行)が信用創造し、異なる預金取扱機関の預金を交換するための決済通貨(マネタリーベース)を中央銀行が信用創造する仕組みになっている。 財政赤字が民間部門にとって有害になるのは、政府の借入増によってマネーストックが増えすぎて「通貨価値の希薄化」すなわち購買力の低下につながる場合である。逆に言えば、インフレの兆候が見られない間は財政赤字は無問題ということになる。 政府向けのローンは、全てのローンと