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2021年10月の記事一覧

中野剛志の『矢野財務次官は何から何まで間違っている!』は間違いだらけ

中野剛志の根本的な誤りは、現行の通貨・財政制度の建付けを理解していないことにある。だから、素人には人気があっても、金融系の業界人には全く相手にされていない。 財政・通貨制度これ👇が中野が正しいと主張する財政・通貨制度の建付けで、市中→プール、通貨→水のアナロジーを用いると、国家は無尽蔵に水を創成してプールに注げるので、支出の財源にするために徴税や借入で取水する必要はない。ただし、注水し過ぎるとプールから水が溢れてしまう(高インフレになる)ので、適宜取水して水量を適正水準に保

消費税に関するデマ

一昨日の記事で取り上げたこのプレゼンから、今回は消費税に関する嘘について。 最も酷い取り方をされてるのが消費税。「社会保障のために消費税は必要なんです。皆さん申し訳ございません。支え合っていきましょうね。」とんだ詐欺ですよ。出鱈目ですよ。真っ赤な嘘。 「消費税が社会保障の財源になっているというのは大嘘で、大部分は法人税減税の穴埋めに使われている」という主張だが、論拠のグラフ👇が騙しである。 プレゼンではグラフの赤が法人税減税による減収分を表しているかのように語っているが

金を出せば出すほど成長するんだよ

この「金を出せば出すほど成長するんだよ」「経済成長率は財政支出によってコントロール可能」「財政支出をk%増やせば名目GDPもk%増える」という論外な主張が衆議院選挙にも使われているので再度取り上げる。 《動画は該当の発言箇所で再生される》 一般的に、国は経済規模に基づいて財政支出を決め、それに必要な租税収入を確保する(不足分は借入で賄う)。インフレand/or実質成長によって名目経済規模が拡大すれば、ほぼ比例的に支出を増やす。税収も名目GDPにほぼ比例する。 例えば、名

スイスはデフレ気味だが賃金は上がる

先日の記事に続いて、ABCテレビ『正義のミカタ』の悪質な経済解説を取り上げる。 番組ではディズニーランドの入園料や、100円ショップ、回転ずしの値段が世界でも最も安く、20年間の経済成長率が諸外国の中で唯一マイナスを記録している現状が紹介され、日本の入社1年目の平均年収が約262万円で、スイスと比較すると3分の1以下とのデータも示した。 「20年間の経済成長率が諸外国の中で唯一マイナス」は藤井お得意のデマで、2000年→2019年には15%成長している。マイナスなのはグラ

悪質極まりない『正義のミカタ』

10月9日放送のABCテレビ『正義のミカタ』が藤井聡のデマを垂れ流すとんでもない内容になっていた。 詳しくは後日の記事に回すが、デタラメの一つ目が「日本は30年以上デフレ状態にある」である。実際には、CPIが持続的に低下したのは2000~2006年と2009~2012年の期間に過ぎない。 (2021年4月の急低下は携帯電話料金の値下げによるもの) 「30年以上続く経済停滞」も誤りで、ITバブル崩壊後には戦後最悪と二番目に長い景気拡大を達成している。 人口要因を考慮する