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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2021年4月の記事一覧

国にも財政制約は存在する

「MMT・反緊縮政策」を唱える高井崇志衆議院議員(会派:国民民主党・無所属クラブ)は理論的には「国家予算に財政制約は存在しない」と考えているようだが、これはMMTerの詭弁(あるいは言葉遊び)に過ぎない。現実には存在する。 財政制約とは政府がある限度以上の金銭の支出ができなくなることだが、民間が支出できなくなるのは外部資金調達できなくなる時である。民間がdebtでファイナンスする場合は借入の限界になる。 貸し手が要求するリスクプレミアムが上昇 ↓ 借入金利が上昇 ↓ 資金

信用貨幣の「信用」とは

かなり前に書いたままお蔵入りにしていた記事を忘れないうちに公開。後日に説明を改めた記事を作成する予定。 現代貨幣理論(MMT)の流行によって、ドヤ顔で「貨幣の本質」を語る人が増えたようである。 しかし、そのような人々の多くが理解していないようなのは、信用貨幣の「信用」の意味である。 信用とは債務を履行する(借りた金を返す)ことへの信用で、貸し手の銀行が借り手の返済能力を査定した上でmoney creationして貸し出す。これは市中銀行も中央銀行も同じである。 例えば

高井議員が財務省に質問すべき内容

高井崇志衆議院議員(会派:国民民主党・無所属クラブ)の求めに応じてアドバイスしてみる。 高井議員の根本的な誤りがこれ👇である。日本国政府に通貨発行権があることは、日本国債が「借金」ではないことを意味しない。国債は国が資金調達のために発行する債務証券なのだから明明白白な「借金」である。高井議員と宇波主計局次長の議論がかみ合わないのは、この根本認識が誤っているからである。 通貨発行権のある国(政府)の負債は「借金」ではない。 高井議員が財務省に明確にさせるべきポイントは、借

MMTに抱きつくリフレ派

これほど堂々と噓八百を並べられる図太さにはある意味感心する。 先に言っておけば、欧米諸国の経学界界では、「MMT」は新たな経済理論として認識されていない。 理屈の中身はケインズ、シュンペーターらが残した標準的な経済理論を原型に、会計論など様々な理論を加味して導かれたもので、そこに何ら新鮮味はないからだ。 経済学界で新たな経済理論として認識されていないのは、標準的な経済理論が原型になっているからではなく、まともな理論とはみなされていないためである。MMTは主流派経済学と違っ

中野剛志の上野千鶴子批判

中野剛志は理解した上で方便として虚偽の説明をしているのか、それとも本当に理解していないのか分からないが、不正確な言説が多すぎる。 内閣府男女共同参画局の資料にリンクしてこのように書いているがミスリーディングである。 とりわけ、コロナ禍では、男性よりも女性の就業者数の方がはるかに大きく減少しました。 コロナ禍は、女性に対してより深刻な打撃を与えているのです。 確かに、コロナ禍の前のピークと渦中のボトムの差は男よりも女の方が大きいが、元々、女は季節変動が大きいサービス業に

原口議員、税は財源です。

反緊縮偽MMTカルトにはまってしまった原口一博議員が、MMTの「自国通貨を発行する政府は財源を自ら生み出せる故に、近代の国家においては税はもう財源確保の手段ではない」と力説している。 しかし、これは正しくない。 ①税が物納昔の租庸調のように、国は民間に税を現物(物資や労役)で納めさせて、その現物を公共サービスに充てる。徴税しなければ公共サービスを提供できないので「税は財源」になる。 ②税が金納(民間の通貨を徴収)民間部門で民間銀行が発行する通貨(private mone