マガジンのカバー画像

社会

714
主要国・地域の出生率一覧はこちらから
運営しているクリエイター

2020年11月の記事一覧

インドは日本より男女平等な国(のはず)

以前にも書いた内容だが、この記事があったので再度書く。 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数を根拠に、日本が男女不平等な国だと批判する論者が多い。 日本では9月に誕生した菅・新内閣のうち、女性は上川陽子法相と橋本聖子五輪相の2人だけ。世界経済フォーラム(WEF)が公表している「ジェンダーギャップ指数」では、2019年の日本の順位(政治分野)は144位とワースト10入りしています。 2006年には83位だったものの、日本より下位にいた国々がスコアを伸ばしたことから、相

数学の平均点が女>男の国の秘密

数学の能力は男>女ではない、という主張の根拠の一つにされているのが、OECDの生徒の学習到達度調査(PISA)の平均点で女>男の国が複数存在することである(読解力はすべての国で女>男)。2018年調査では、アイスランド、イスラエル、ノルウェー、フィンランド、リトアニア、スウェーデンの6か国が該当する。 (国の並び順は以下のグラフも同じ。) しかし、これらの国々でも、習熟度が最高のレベル6の生徒の割合は男>女である。 レベル6の生徒が男女共に多くない。 注目すべきは、こ

ポリコレ・スポーツ・男女差別

この動画が話題のようなので、関連情報を紹介する。 西洋のpolitical correctnessが常軌を逸したものであり、学者たちがカルト化していることが分かるだろう。彼らが社会のルールや常識を勝手に変えようとしていることに、一般人は危機感を持たなければならない。 Many (though not all) of these ideas can be sourced to what some call “gender ideology,” a loosely defin

高等教育の男女格差解消の意味

フェミニストが言うところの高等教育の男女格差の意味は、一般人がイメージするものとは(恐らく)異なる。 一連の研究により、女子の理数系への関心を高めるために有効なのは、女子個人への対策ではなく、学校の教育環境の変革にあることが明らかになった。・・・・・・その結果、欧米では高等教育機関の女子学生割合が1985年の46%(OECD平均)から1995年には50%へと上昇した。 Gender equalityを国是とするスウェーデンでも、医学・生物学を除く理系(主に工学や数学)では

現場の男女格差は無視する男女共同参画

昨日の記事に補足する。 このジェンダー学者はこのように主張するが、参画を求めているのは研究開発職であって現場職ではない。 日本の未来のために、科学技術分野における男女共同参画の後れは放置できない問題なのである。 昨日の記事から再掲するが、スウェーデンで女が少ない職業(数値は女の割合)の上位は理系の現場職と軍務である。 1.5% Roofers, floor layers, plumbers and pipefitters 2.1% Carpenters, brickl

理系の男女格差を縮める意味はない

またジェンダー学者が馬鹿げた主張をしている。 このように(⇩)男女には生得的な差があることを認めるのであれば、理系格差があることを否定できないはずである。 男子は競争を志向するが、女子は協力を志向する傾向があるので 理系も、医学や生物学や化学分野と工学や数学、コンピューター科学に分けて考える必要がある。両者の違いは、生命との関係の有無(濃淡)である。 米国では、1980年代には学部でも大学院でも女子学生がマジョリティとなった。ところが、理工系の女性は少なく、NSF(米

麻生財務大臣の「結婚して子供を産んだら大変だ」

これは「事実の一部だけを取り出すことによる印象操作」の典型である。 少子化の原因について「一番は、『結婚して子どもを産んだら大変だ』ばかり言っているからそうなる」などの「持論」を展開した。古本伸一郎氏(無所属)が「少子化対策のため、政府が新婚カップルを応援してはどうか」と質問したことに答えた。 古本議員の質問は、国難の少子化への対策として「結婚が出産の前提となっているのであれば、公費投入してでも徹底的に新婚さんを応援するという政治判断はできないか」というもので、それに対し

女と子猿と被害者カルチャー

Bradley CampbellとJason Manningは、人が他者から何らかの害を受けた場合の対応の違いを、honor, dignity, victimhoodの三つのmoral cultureに分類している。 Honorカルチャーでは人々は過敏で沸点が低く、自力救済を志向する(ナメられたら殺す!!)。反撃しないことや公権力に頼ることは不名誉とされる。野蛮な社会の男的な文化と言える。 Dignityカルチャーはその逆で、多少のことは受け流す寛容さが尊ばれる。重大な加

アメリカの分裂と『イージー・ライダー』

この記事👇は当noteの読者には特に目新しい内容では無いと思われるので、米民主党の変質はそれ以前から進んでいたという分析を紹介する。 なぜ、バイデンは「歴史的敗北」を喫したのか。1980年代以来、民主党は労働者階級を見捨て、むしろエリートの党として「企業政党(コーポレート・パーティ)」化していった。バイデンはその流れの中心にいた1人だからだ。 81年のレーガン政権の誕生は、民主党が存亡の危機を感じるほどの歴史的異変であった。今日でいうラストベルト一帯の白人労働者らが雪崩を打

自殺の男女別長期推移

昨日の記事では女の自殺が急増していることを取り上げたが、今回は厚生労働省「人口動態調査」から1900~2019年の長期の推移を見る。 上のグラフの女を右軸にしたもの。 男/女の比率が経済動向と密接に関連していることが見て取れる。戦争期には男が相対的に減っているが、その代わりに戦死が増えていたことに留意。 1997年までを拡大。 男の自殺が相対的に最も少なかったのが高度成長期で、最多が小泉政権期、その後も高止まりの状況にある。 自殺を「生きづらさ」の反映とするなら、男

北欧の生殖格差と経済格差の拡大

ノルウェーで無子(childless)の男が増えている件についての新たな記事を紹介する。 女2人・男2人の研究者が様々な要因を可能性として挙げているが、最後に近い「Do women dismiss "low status men"?」と「Reacting to the rhetoric」が面白い。 低学歴・低所得の男の無子率が高いことについて、男の研究者は 「女は"low-status men."(≒KKO)を好まない」可能性を指摘している。 Remaining chi

10月の自殺者数

警察庁から10月の自殺者数(速報)が公表されたのでグラフにする。 女の自殺者数が2011年3月(赤マーカー)の東日本大震災後を上回る勢いで増加している。 女の7月以降の増加が顕著である。 他者による救済を期待できない自然の脅威であることが、東日本大震災とコロナウィルスの共通点である。自然は男女平等なので、経済苦からの救済には効果のある女の性的価値が通用しない。そのため、女の脅威に対する心理的抵抗力の弱さが自殺者急増として表れているのではないかと考えられる。

アメリカ版文化大革命が始まる

大統領選挙でのバイデン&ハリスの勝利(まだ未確定だが)は、アメリカ版の文化大革命の始まりを予感させる。メインストリーム・メディアと新興のネットメディアが現職大統領を袋叩きにしていたことがその前兆と言える(メディアの政治介入は"Tomorrow Never Dies"を想起させる)。 大躍進政策→グローバリゼーション 実権派→ドナルド・トランプ 毛沢東→急進派リベラル(Progressive) Social justice warrior→紅衛兵 BLMの暴動化→造反有理・反

産んでから殺すか、産む前に殺してもらうか

この供述の通りだとすれば、女の社会進出のために嬰児が殺されたことになる。 男女平等最先進地域の北欧では、女の社会進出と胎児殺しは不可分と認識されている。女の社会進出(家庭外労働)の価値は生まれてくる命より重いからである。 女性が政界入りし、社会を変えていくことが可能だと証明して見せた事項が、例えば人工妊娠中絶の取り組みである。どの国も中絶の権利は、女性の政治参加に非常に大事であったが、例えばノルウェーでは、20世紀初頭から中絶の権利について真剣に話し合われるようになった。