新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。 No.9
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。 No.9

東京で急速に感染者数が増え始めている。大阪でも兆しがある。危機感が募る。ニューヨークの病院の惨状が脳裏に浮かぶ。再三述べているように、国民ひとりひとりの手洗い消毒や3密回避、あるいは今の状況であれば不要不急の外出をやめることで、感染爆発は阻止できる。今が踏ん張りどころである。

恐らく今国民は、COVID-19に対して意識の高い層とそうでない層に分かれている。私のnoteを読まれる方は前者であろう。その方達に口酸っぱく手を洗えと言う必要はもうなかろう。むしろ、出口の見えないトンネルにいるような不安と疲弊を緩和するような材料が欲しいところである。

そこで、もしかしたら、という希望がごく最近見いだされたのでお伝えしたい。

BCG接種がSARS-CoV-2感染に対し抵抗性を付与している可能性である。これはブリスベン在住の日本人Jun Satoさんが気付いた。この方は疫学者でもウイルス学者でも無く経営コンサルタントだそうで、私は驚愕してしまった。なぜなら極めて緻密な科学的論考をされている。
(元サイトはこちら: https://l.facebook.com/l.php?u=https%3A%2F%2Fwww.jsatonotes.com%2F2020%2F03%2Fif-i-were-north-americaneuropeanaustral.html%3Ffbclid%3DIwAR1gWD0Mwdsw5wkpqEPakVYWdS3nEpzzqMX6ub7O8cGkCkhtTMLzv8kN5eY&h=AT2J73RpjSBcjlozCPl-KvbFTx1X_9wswYq_qbjPJ8HOrm-0xcvU2MJ4E4eENyoYsLvL4CrJXk0frvOrQZFTr1u9j2AEoEsqoVLkYFzDs00geaZD_1joB_uRB6ODH8jKNJ-RbCDkCoi97AKWE_95ZI5of4hw7Y0nrXAP5cY )

Satoさんは、感染者及び死亡者の数とBCG接種に地域的な相関があることに気付いた。BCG接種国であるロシア、東ヨーロッパ、武漢以外の日本を含むアジアで感染者の数が少ない。また、BCG非接種国であるアメリカなどでは若者にも感染者が多い。

相関を強く示唆するのが近接する地域間の比較である。イタリア対クロアチア、スペイン対ポルトガル、イギリス対アイルランド、スウェーデン対ノルウェー、旧西ドイツ対旧東ドイツの全てについてBCG非接種の前者が接種の後者より感染者・死亡者数が多い。

しかもBCGの種類(菌株の違い)によって効果が違うようだ。例えばイランは独自株を接種、イラクは日本株を接種しているが、前者の感染者・死亡者が圧倒的に多い。どうやら古いタイプのロシア/日本株が、新しいタイプのヨーロッパ株より抵抗性が強いようだ。なお中国は独自株、韓国はヨーロッパ株や日本株、台湾と日本は日本株を使用している。

BCGもワクチンであるが病原性を失った結核菌であり、結核菌はウイルスとは全く異なる生物種なので結核菌に対する抗体がSARS-CoV-2に対して効くとは考え辛い。しかし以前からBCG接種により乳幼児の死亡率が低下することや肺炎に対する抵抗性がつくことが知られていた。

そのメカニズムは永く不明だったが、今年になってBCG接種が抗体とはまた別の自然免疫と呼ばれるシステムを活性化するという論文が発表された。抗体などを介する免疫システムは獲得免疫と呼ばれ、一度感染した病原体を記憶していて次に感染したときにその病原体に対する抗体を産生することができる。これを免疫記憶と呼ぶ。

一方自然免疫はマクロファージ(貪食細胞)が病原体を食い殺したりするやり方を取るシステムだ(アニメの「働く細胞」を見ている方はマクロファージをご存じかも知れない)。こちらには免疫記憶はないのだが、最近になって訓練免疫と名付けられた現象があることが知られるようになってきた。

この訓練免疫は、免疫記憶と異なり特定の病原体を記憶するものでは無く、もっと漠然と感染全般に対して抵抗性を高めるもののようだ。従ってBCG接種によって、SARS-CoV-2感染に対する抵抗性が上がっている可能性は十分にあり得る。

既に述べてたように、人類が初めて遭遇し誰も免疫記憶を持っていないSARS-CoV-2感染が収束するには、多くの人が感染し集団免疫が成立する必要がある。英国の首相はそのための閾値が60%と想定した。この集団免疫閾値が正しく、かつ何の対処もしなかった場合、日本では70万〜250万人が死亡すると計算される。

しかし、もしBCG接種によって日本人に訓練免疫ができていると、この集団免疫閾値は下がる可能性がある。そうなると重症者や死亡者の数はアメリカやイタリアのようにはならないかもしれない。もちろん、上記はまだ仮説に過ぎない。しかし学術的にみて信憑性は高い。早急な科学的裏付けが望まれる。対ウイルス戦争下における一筋の光明になるかもしれないのだ。

この仮説が立証されたら、発見者のJun Satoさんはノーベル平和賞に値する。ただし、仮説が正しくてもBCG接種でCOVID-19発症を完全に抑制できるわけでは全く無いので、感染爆発阻止のための努力を怠ることはできない。

BCGとの関係についてより詳しくは、大阪大学元総長で世界的な免疫学者である平野俊夫先生の投稿を参照されたい。訓練免疫については先生からのご教示で知った。https://www.facebook.com/toshio.hirano.79/posts/2817509081662367

追記:Jun Satoさんの発見を統計学的に裏付ける学術論文も公表された。まだ審査前なので内容の吟味はこれから行われるが、もし信頼できるものであれば、BCG接種の有効性はかなり確実となる。https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.24.20042937v1?fbclid=IwAR3HfM62fG-Y3M5l53NbjbTPT2rq_R7NVRJVt_y1fXXoAnH2-nrROs77NM0


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大阪大学・生命機能研究科/医学系研究科教授。生命科学者。専門は細胞生物学。オートファジーの研究をしている。トレイルランニング、ラバーダック蒐集など趣味多数。https://www.facebook.com/tamotsu.yoshimori