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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。 No.2

注:この記事は2月26日にFBにアップしたものである。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関する政府の基本方針が発表された。概ね妥当だと思われるが、抽象的でもある。影響の大きさからあまり踏み込んだことが言えないのかもしれないが、一般の人は、自分がどうしたらいいのか戸惑うのではなかろうか。
そこで、先に投稿した内容と重複するが、この感染症に対処するためのポイントをもう一度まとめたい。なお、これは医学部に所属するもののウイルスや感染については専門外の人間の私見であることに留意されたい。私のFBの投稿を見たテレビ局2社から出演・コメントの依頼があったが、専門家ではないのでお断りした。


1.最も重要なことは何か。
以下のハイリスクの人々への感染を防ぐこと。
A. 高齢者
B. 基礎疾患がある。心血管疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、高血圧、癌など。
C. 医療関係者。
上記以外の人は感染しても多くは風邪程度の症状で終わる。現在は国内感染期の第一波にあり、潜在的な感染者数は公表されているよりずっと多いだろうし、これからどんどん増える。少々の対策では阻止はできない。従って感染はあるものと考え、ハイリスクの人にうつさないことに全力をあげるべきである。特に医療機関が機能しなくなり重症者の処置ができなくなる医療崩壊が最大の懸念となる。軽症者は医療機関に行かない方が良い(行っても何もしてもらえない)。
追記:若くて健康でも重症化する例が報告されているので、病状の進行に注意は必要である。


2.今PCR検査を受けに行くべきか。
症状が出た時に自分が感染しているのかどうか知りたいと思うのは自然なことである。しかし現在の我が国の状況では、軽症の人が検査を受けに行くことに残念ながらメリットは少ない。まず、現在我が国の検査体制が極めて不十分なため、検査を受けに行っても拒絶されたり待たされる。また偽陰性、つまり感染しているのに陰性と出ることもかなりあり一度の検査では信頼性が低い。PCR自体は極めて確度の高い手法だが、サンプリングのさいにウイルスを逃している可能性があるためだ。さらに現在COVID-19に特異的な治療法がないことも検査のメリットを減じている。陽性が確認されても軽傷の場合は特別な処置はない。不安に駆られて病院に行っても仕方が無いのである。逆に感染の可能性がある。
従って現状では、症状が軽ければ自宅にいる方が良いだろう。そしてCOVID-19か風邪なのか不明でも、他人にうつさないよう行動するしかない。
この現状を改善するために、大規模検査体制の確立は急務だ。医療機関に検査希望者が殺到して混乱することを避けるために、韓国のように医療機関以外の場所に臨時検査場を設けて希望者をどんどん検査する体制が欲しい。陰性なら不安が解消され(ただし偽陰性の可能性は残る)陽性なら急な悪化に備えたりハイリスクの人達にうつさないための対応ができる。そして有効な治療法が開発された時点で検査は当然極めて重要になる。現在の日本の検査体制はお粗末すぎる。


3.防御対策はどうすればよいか。
米国CDC(疾病対策センター)の指針が妥当だと思える。つまり
自分の目、鼻、口を触らない。
頻回に手洗いをする。特にトイレの後、食べる前、鼻をかんだ後、咳やくしゃみをした後。70%エタノールも有効。
上気道症状がある場合や医療従事者はマスクをする。なおCDCは元気な人がマスクをすることを推奨していない。
など。
ウイルスは粘膜から感染する、ということを常に念頭におくことが大事。
おそらく手洗いが最重要であろう。もちろん感染の可能性のある人の多い場所に行かない方が良いだろう。しかし過度に集会などを避ける必要もないと思う。特に50歳以下で健康なら。ある程度の感染拡大は避けられないし、社会の停滞のほうが大きな問題である。感染者がひとりでたため休校にした学校が保護者説明会を開いていたが、本末転倒である。


4.流行は収束するのか。
今回のSARS-CoV-2は人類が初めて遭遇するウイルスである。そのため誰も免疫を持っておらず、理論的には日本国民全員が感染する可能性がある。しかし免疫を持つ既感染者が増えると免疫を持たない人の周りに免疫を持つ人の壁ができ感染しなくなる、いわゆる集団免疫が作動し流行は収束していくであろう。2回感染した人がいるとの情報があるが、回復したときの検査が偽陰性だった可能性があるので、SARS-CoV-2には免疫が成立しないとするのは早計である。かなりの確率で集団免疫が働き流行はいったん収束すると私は考える。
SARS-CoV-2の仲間であるSARS-CoVの時は流行が約6ヶ月で終息したことから、今回も同様の経過を辿る可能性が高い。またある一定の気温以上で感染力が低下するという報告もあり、これもまだ検証が必要だが、もしかしたら夏には感染率は低下するかも知れない。
しかしSARS-CoV-2は未知のウイルスであるため、予想外の展開もあり得る。それを忘れてはならない。世界各地における研究の進展に期待したい。


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