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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。 No.11

緊急事態宣言がようやく発令された。
欧米のような外出禁止令を伴う都市封鎖とは大きく異なり、自粛要請が主体の穏やかなものなので実効性を疑問視する向きもあるが、私はそれでもかなり有効だと考える。

日本人の国民性から、要請であっても宣言を重く受け止めて自発的に行動を変える人は多いと思うのだ。政府が宣言したことで、元々このままではまずいぞと感じ始めていた人々の背中を押すことになると期待したい。

また日本に独特の横並びを良しとする文化も今回に限っては良い方向に働きそうだ。みんなそうしているからと言う心理で、他人との接触が減れば結構なことだ。常日頃、横並び文化は才能の芽を摘んでしまうなどの様々な弊害があると思っているが、感染拡大抑止には役だって欲しい。

要は、施策が緩やかか強いかでは無く、結果として感染抑制に繋がるかどうかだ。強力な外出禁止令を出しても外をうろつく人がいなくはならない国々を見ていると、個人が必要性を自覚して実践する方が遙かに意味があると思える。緊急事態宣言はそのために役立つだろう。経済的補償の問題が深刻ではあるが。

先はまだ見えていないし、一旦収束しても再び感染拡大があるかも知れない。そのような状況で精神的に参ってしまわないためにも、個人個人の工夫が大事であろう。これは私の個人的な意見だが、感染拡大抑制のための最大のポイントは「人との接触を8割減らす(専門家有志の会の提言)」ことであって、家から一歩も出てはいけない、家族以外絶対誰にも会ってはいけない、ということではない。

ひとけのあまりないところで散歩したりジョギングしたりすることは構わないだろうし、他人と出会っても1.5m以上離れていれば問題は無い。友達と戸外で会って、少し離れてマスク越しに会話するのも良いのでは無いか。他の地方への遠出は、その地方にウイルスを拡散することに繋がるのでNGだが、地域内なら3密を回避できていれば移動しても良いと思う。適度にリラックスし心の余裕を持たなければ、SARS-CoV-2に対する闘いを継続できない。

緊急事態宣言を受けて、私が研究科長を務める大学院研究科では研究室への立ち入りを極力控えるように要請した。学生は登校禁止だ。これは研究の停滞を意味し大きな痛手であるが、人命には代えられない。私たちはSARS-CoV-2に負けるわけにはいかない。必ず挽回してみせる。

以下は研究科長の私から研究科構成員に宛てたメッセージだが、広く一般の皆さんにも呼びかけたい内容である。

生命機能研究科の皆さんへ、

昨日の緊急事態宣言発令を受けて、大阪大学の対応を踏まえた本研究科の対応を皆さんにさきほど通知しました。これにより皆さんの研究が大きな打撃を受けることとなります。しかし、今は人の命がかかっています。COVID-19による死亡者の増加をできる限り抑制するために、私たちひとりひとりの行動が必要です。ここは我慢のしどころと考えて、自分、家族、友人、知人、医療関係者そして全ての人々の命を守るために動きましょう。

研究のモチベーションが下がらぬよう、また無気力や抑うつ状態に陥らないように各自が工夫しましょう。研究は必ず再開でき、挽回可能です。前向きに考えましょう。スタッフは、大学院生のメンタルケアにも務めて下さい。夜明けは必ず来ます。頑張りましょう。

大学院生命機能研究科長
吉森 保

下記リンクは専門家有志の会からのメッセージである。
https://note.stopcovid19.jp/n/n2da73404eee6

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