あたらしいポートレイト

岡野昭仁さん、というひとの、全然知らない角度から撮った写真を見せてもらったみたいなアルバムだ。
確かに知っているのに、全然知らない昭仁さんがそこにいる。
Walkn' with a song、昭仁さんのソロアルバムを最初に聞いたときに思ったことだ。
ポルノグラフィティのときとは違う昭仁さんがそこにいて、でもそれは他の誰でもない昭仁さんそのものだった。
アルバムを取り憑かれたようにもう何回も何回も繰り返して聞いて思うことは、昭仁さん、とても信頼されているんだな、ということ。ひとつの曲を除いて、詞曲を制作したのが昭仁さん本人ではないということももちろんあると思うけれど、ひとつひとつの楽曲ごとに、世界観やテンポが全然違っていて、でもその全部が全部、昭仁さんそのものだった。聞けば聞くほど曲ごとの違いに気付かされるし、なんでだろう?と思う。(昭仁さんの歌唱力と表現力のなせる技だ、ということは大前提として)作品として立体的、ということだろうか?あちこち、色んな面があって見る場所によって全然違ってみえるけど、ちゃんと『ひとつの作品だ』とわかるような。
曲のタイプは多種多様だけれど、みんな昭仁さんに歌ってほしいものの核はもしかして同じだったりするのだろうか?だから全然ちぐはぐに聞こえたりしないんだろうか?

タイトルや歌詞の中に『光』(Shaft of Light・光あれ・GLORY・その光の先へ)や『歌』(MELODY・歌を抱えて)にちなんだものが多いのも、とても、昭仁さん、という感じがするしそれ以外のものも歌詞の内容はこちらに寄り添ってくれるものだったり、聞いているうちに自然と前を向けるような気持ちにしてくれるものばかりで、聞いているとささくれだった気持ちが落ち着いたり、ふっと体から余分な力が抜けていくのが分かるときがある。それはどの曲を聴いていても感じることで、そういったこと(作用?)を曲を提供してくれたアーティストの人たちは昭仁さんや昭仁さんの歌に見出していたのかな、と思ったりする。
昭仁さんの心の原風景をのぞかせてもらっているような『インスタント』、昭仁さんの歌唱力をフルに展開している『ハイファイ浪漫』、コラボとしては初めて新しい昭仁さんの姿を見ることができた(とわたしは思っている)『Shaft of Light』、曲のもつ真っ直ぐさと昭仁さんの真っ直ぐさが重なり合っている『指針』、力強さのなかにも軽やかさを感じる『芽吹け』、『光』をテーマにしているけれどただ明るいだけの光ではなくて、罪や郷愁、あとほんの少しの後悔を全部優しく包み込んでくれるような光が描かれている『光あれ』『GLORY』『その光の先へ』(『光三部作』と勝手に呼んでいる)、もう言わずもがだけれど、それぞれの歌声の相乗効果が素晴らしい『MELODY』、そして最後に昭仁さんがつくった『歌を抱えて』、『インスタント』で昭仁さんの心の原風景を見せてもらった、と言ったけれど、『歌を抱えて』は昭仁さんの記憶そのものに違いなくて、それはきっと昭仁さんの大切な大切なものだ。だからそれを『抱えて』いくことを、それを歌にして、わたしたちに見せてくれたこと、そのことに、この曲の最後のフレーズに胸がぎゅっとなる。曲の系統がたくさんあるから、アルバムの曲順をあまり気にはしていなかったんだけど、今はもうこの順番しか考えられない。
ポルノグラフィティじゃない、昭仁さんだけのソロアルバム、発売が発表されたときからとても楽しみだった。先行配信の曲を聞くたびに他にはどんな曲があるんだろう?とまた楽しみになった。アルバムが発売になって、1曲ずつ聞き進めるほどに、もっともっと好きが増していった。
またひとつ、好きなもの、大事にしたいものが増えた。
わたしもこのアルバムの曲たちをずっと大切に抱えていきたいな、と思う。

昭仁さん、素敵なアルバムをありがとう、そしてお誕生日おめでとうございます。昭仁さんにとって良いことが盛りだくさんな1年になりますように、大好きです。

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