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21世紀の格差社会に挑むこと

「データは石油」
「データプラットフォーマーになれば企業は安泰する」

データビジネスに参入する大企業が口をそろえる。

資産家が用意した工場で労働者が働く構造は産業革命の時代から続いており、この資本の格差はインターネット空間にも広がっているとさまざまな専門家が語る。

そのなかで、私は「データを搾取する企業と搾取されるユーザー」という構造を解決したいと思っている。

プライバシーが失われた生活

日本において、プライバシーがなんたるかを理解し、ビジネスに実装している企業は多くない。

これまでのマーケティング手法を変えること、部門をまたぐ施策が必要になること、適切な予算配分ができないなど。課題はたくさんある。

企業の中には、データセンターを国内に移管したり、プライバシーポリシーを分かりやすくしたり、尽力している企業もある。ただ、彼らはスタートアップであることが多く、スマートシティという大きなプロジェクトが蠢いている日本社会でのインパクトは限られる。

人々のプライバシーを失わせるデータビジネスの潮流はすでに生活を蝕んでいる。

ビジネスサイドの驕り

一般的にデータは企業の手にわたり、そこから価値が生まれる。ここで重要なのは、その価値がデータ提供者である市民の手に還元されることである。もしくは市民の意思によって、次世代のために使われることもあろう。

企業と市民の間に相互扶助の共創関係が作られることは、ビジネスの経済圏を築くことにも資する。

プライバシー問題は、長期的にデータを供給してもらうために企業が向き合うべき問題である。

市民の弱さ

他方で、プライバシーを失った生活が始まっているなか、声をあげない市民側にも問題があると言われる。

メディア美学者の武邑光裕氏はこれを「プライバシー・パラドックス」といい、インターネット空間の負の側面に気づけない人類の姿を露呈する。

プライバシーがないとどのような生活が訪れるのか、プライバシーがある暮らしはなにが大切にされているのか。こうしたことを想像する機会提供は欠かせない。

プライバシーのある暮らしを想像できるように

プライバシーの大切さを想像する機会によって全てが解決するわけではない。

私個人は、ユーザー中心に組織が設計され、人間性を尊重し合うサービスを増やすためのプライバシーバイデザインの実装を進める。そして微力ながら情報発信を通して、プライバシーのある暮らしを想像してもらおうと願いを込めて。

プライバシーと暮らしのメディア「Your Privacy」創刊に添えて。