見出し画像

デジタルの日に添えて

2021年から10月10日が「デジタルの日」となりました。「デジタルの日」ホームページには、この記念日に込めたメッセージが掲載されています。

デジタルの日は、デジタルに触れ、
使い方や楽しみ方を見つける日。
年に一度の、デジタルの記念日です。
(中略)
馴染みのないデジタルを知り、触れる機会を、
あなたの周りの大切な人と作りませんか。
もっと楽しいかも。より便利になるかも。
そんなみんなのアクションが、
日本の「人に優しいデジタル社会」を進めていく
きっかけになることを願っています。

デジタルが暮らしを豊かにするために

豊かな暮らしにデジタルが寄り添う。そうした未来を実現するには、避けて通れない問題があります。

データプライバシー問題です。

読者の皆さんは、ご自身がプライバシー権という権利を持つことをご存知でしょうか。もしくは、自宅の部屋で過ごすときと公共空間で過ごすときの振る舞いの違いや、仕事の同僚とする会話と親密なパートナーとする会話が異なることを思い出してください。

私たちは、プライバシーを大切にして暮らしてきました。

しかし、デジタルの普及とともに、個人の行動や思考があらゆるところに筒抜けになっています。そして筒抜けになった行動や思考のデータが売買されたり、望まない結果を招いたりする問題があります。データプライバシー問題は、一人ひとりの暮らしに影響します。

そこで、#Privacy28 プロジェクトを立ち上げました。

毎月28日にプライバシーを考える #Privacy28  

私たちは毎日、様々なデータサービスを利用して暮らしています。そのサービスがどんなデータを記録し、収集し、なにに用いているかをまず知る。そのために毎月28日にプライバシーポリシーを読み、違和感や疑問を #Privacy28 のハッシュタグをつけて発信する呼びかけを始めました。

プライバシーポリシーを読むと、色々な発見があります。

・文字化けしていて読めない!
・内容が難しすぎて読めない
・自分が望まない利用目的がたくさんある
・いつデータを取られているかが分からない…
・データがいつまで保存されるのか書かれていない
・データの開示請求の方法が面倒くさい

プライバシーを守るには、こうした違和感や疑問に気づくことがスタートです。サービスに提供しているデータと、サービスがデータを利用する目的を照らし合わせてみてください。意に沿わない内容、もしくは書かれていなくて分からない箇所が見つかります。

こうして "プライバシーアウェアネス" を高めることが、「人に優しいデジタル社会」に近づくために必要です。

なぜ28日なのか

プライバシーを大切にする取り組みは、実はこれまで何十年と続いてきました。その中に、大切な記念日が二つあります。

9月28日 日本のプライバシーデー   
1月28日 世界のデータプライバシーデー

9月28日 日本でプライバシー権が認められた日

三島由紀夫の長編小説『宴のあと』。高級料亭「般若苑」の女将・畔上輝井と、元外務大臣・東京都知事候補の有田八郎をモデルにした作品です。登場人物のモデルとされた有田氏が三島氏と新潮社を訴え、日本で初めてプライバシーと表現の自由が法廷で争われました。

東京地方裁判所がプライバシー権の侵害の判決を下したのが、1964年9月28日。日本で初めてプライバシー権が認められ、「私生活をみだりに公開されないという法的保証ないし権利」と表現されました。その後も、プライバシー権の定義は専門家の間で様々に議論されています。

1月28日 欧州でデータ保護の署名が始まった日

2006年4月26日、欧州評議会(Council of Europe)の閣僚委員会は、毎年1月28日を「Data Protection Day」(データ保護の日)としました。

当時から遡ること25年前、1981年1月28日は欧州評議会「個人データの自動処理に係る個人の保護に関する条約第108号」の署名が開始されました。この条約は、その後40年にわたり、欧州をはじめとするデータ保護の礎となりました。個人情報保護委員会の2017年の発表によると、欧州評議会全加盟国、モーリシャス、セネガル及びウルグアイの全50か国が批准。諮問委員会には条約批准国のほか、米国、カナダ、豪州、韓国等がオブザーバーとして参加しています。

欧州以外では「Privacy Day」と呼ばれ、世界各国でデータ保護のイベントが催されています。

あなたのプライバシーを大切に

プライバシーポリシーに対する違和感や疑問を発信しても、すぐには問題は解決しません。けれども、まず、あなた自身のプライバシーを大切にする時間を持つきっかけになればと願います。 #Privacy28 。それは必ず、人に優しいデジタルが普及するために欠かせない声となるでしょう。

日本で初めてのデジタルの日、2021年10月10日に添えて。