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「イオンに行きたい」

先日、馴染みの居酒屋で50過ぎのおじさんに出逢った。
子供の話になり、おじさんは22歳の娘がいるとのこと。
「僕の子供は9歳と5歳なんですよ」と言うと。
「今が一番楽しいぞ!もう中学いったら遊んでくれないからさ!」と語気を強めた。「小学生までは毎週公園行ったり、イオン行ったりできたのに中学から全くだよ!!!」
その後も子供トークと孫トークが止まらない。
おじさんの愛くるしさを感じながら子離れ親離れの瞬間を垣間見れたきに
鼻がツーンとした。
その時のおじさんの思いをここに記します。
おじさんに届きますように・・・

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「イオンに行きたい」

娘が小学生のとき、
いつも休みの日はイオンに行っていた。
無邪気に遊ぶ娘が今でも目に焼き付いている。
大好きなマックのハッピーセットを頼み
私は決まってホットコーヒーを。

中学生になり、
娘に「明日イオン行こう〜」と言うと。
「部活だから無理」と冷たくあしらわれた。
私が誘う、その一言は数か月を過ぎたときから言わなくなった。


大学生から東京で一人暮らし。
年に数回しか会えない娘との距離感は開くばかり。
帰ってきても地元の友達と遊びに行ってしまう。


社会人になり、久しぶりに我が家に帰ってきたと思ったら、
数年後に旦那になる人を連れてきた。


無口は僕と義理の息子。


その後見事ゴールイン。
想像通りの結婚式をやり、父親の役目も終えた気持ちと、その距離感で涙がこぼれた。


2年後初孫が生まれた。

孫と義理の息子がゲームセンターで遊んでいる間、
数十年ぶりに娘と2人きりでマックのコーヒーを飲んでいた。

すると娘が

「パパとイオンに来るのが楽しみだったよ。」と遠い眼差しで言った。

何かを隠すようにコーヒーを飲み干した。


私は娘と

「イオンに行きたい」

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#エッセイ #詩 #しあわせだなぁ

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