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同性カップルの破局率は高い? 真相と背景について考えてみました(後半)

「同性カップルの破局率は高い」説、「破局」の認識が人によって違うので信憑性は低いのではないか、とまとめた前回(こちら)に続き、改めて「同性カップルは本当に破局率が高いのか?」を考えてみます。

1.「3組に1組が離婚する」は本当?

まずは異性カップルの離婚率を見てみましょう。

しばしば「3組に一組が離婚する時代」と言われますが、「法律婚したカップルが必ず3組に1組が離婚する」という意味ではないようです。離婚弁護士マップ(こちら)によると、離婚率とは人口1,000人あたりの離婚件数を指すそうです。結婚してから離婚するまでの年数はカップルによって違いますし、その時々の人口も異なります。ですので厳密に「3組に1組が離婚する」とは言えないとのこと。しかし数十年のスパンで見ると、離婚率はじわじわと上昇傾向にあります。

2.結婚する理由、離婚する理由は?

昭和の時代、企業は自社の男性社員のお嫁さん候補に相応しいかどうかで女性を選考する、と言われていました。「結婚したんだから、当然仕事を辞めるでしょう?」と言われないために、学校教員や自治体職員など公務員を目指した人も身近にいます。「どうして仕事を辞めたくなかったの?」と聞くと「服の一枚を買うのに、いちいち夫にお伺いを立てないといけない生活なんてしたくない」と言った人もいました。

法律事務所の記事(こちら)によると、男女で離婚理由が異なることがわかります。女性からは「性格が合わない(性格の不一致)」に次いで「生活費を渡さない」ことが理由になっています。夫婦間で経済力のバランスに偏りがあることが、離婚の大きな理由になっているようです。

この経済力のバランスの偏りは、現在でも問題視されています。男性と比べたときの女性の平均年収の低さ、非性雇用率の高さは言うまでもありません。そんな環境の女性が生活の安定を求めるなら、男性と結婚することが一番手っ取り早いリスク回避になります。男性にとっては「自分が経済的に家族を支えている」あるいは「自分の経済力がないと妻はやっていけない」と感じられる面は、女性にとって「自分の生活を保障してくれる」「夫の経済力がないと自分はやっていけない」の表裏一体なんですね。

3.同性カップルと比較できそうなのは?

さて、法律婚する異性カップルと法的な保障のない同性カップルを同列に並べることはできません。何とか同性カップルと並べられそうなのは、同棲する異性カップルでしょうか。

「同棲する異性カップルの破局率」については、さまざまな記事でさまざまな数字が語られています。50%から80%までと幅広く、どの記事もどこまで信じたものやら判断が付きません。

とは言え、法律婚するカップルは約95%が妻が夫の姓に変えていますし(こちら)、それに伴う免許証や健康保険証などの各種書類と銀行口座の名称変更、扶養控除や家族手当の申請、住民票の移動等々の手続き、結婚式を行う場合はその準備や親戚への挨拶など、各種イベントの手間を考えると、それだけでめまいがします。あの膨大な労力を考慮してもなお、離婚する異性カップルがこれだけいるのなら、まだ手続きや人間関係の縛りが緩い同棲する異性カップルの破局率は、それよりも高くなるだろうと想像します。

同性カップルと同棲する異性カップルを並べると、できない/していない点は大きく違いますが、法律婚の枠に入っていない、という点は同じ。そして同棲する異性カップルの破局率が法律婚する異性カップルより高いなら、同性カップルの破局率も同じくらい高くなる、と推察できるのではないでしょうか?

4.破局しないことは良いこと?

さらに言うと、法律婚が経済的なリスクヘッジとして機能する社会において、法律婚したカップルはそうそう離婚することができません。人生を掛けた保険なんですから。そうした男女の経済力のアンバランスさを前提に設計された婚姻制度の中で、破局しないことが素晴らしいとは一概に言えません。もし同性カップルの破局率が異性カップルより高いとしたら、それは経済的に平等な関係であるからこそ、付き合うことも別れることも選べると言えるのではないでしょうか。

一対一の関係性を志向する人を「モノアモリー」と呼びます。「人生のパートナーは唯一絶対のたった一人でなければいけない」と考える人を「シリアルモノアモリー」と呼んだりもします。モノアモリーと婚姻制度と異性愛主義の相性の良さも、私が興味深いと思う点です。「唯一絶対のたった一人の異性と結婚して一生を共にする」と言葉にするとロマンチックに見えますが、言い方を変えると「男性は生涯に渡り稼ぎ手として労働を期待され、女性は生涯に渡り経済力を奪われる仕組み」が制度として成り立ってきたのです。

5.新しい時代の、自分だけの生き方を

しかし時代は21世紀の4分の1を迎える頃です。女性は男性に依存しない人生があることを知り、男性も経済力だけが自分の人生ではないことを知っています。私たちは人生にはさまざまな選択肢があることを知り、自分の人生に合った選択肢を掴み取る時代に入っています。

「同性カップルの破局率は高い(だから安心して物件を貸せない)」などと言っている場合ではありません。どんな人間関係を選んでも、私たちは自分の人生を生きていけますし、そんな時代に合わせて企業も個人も変化を求められています。この変化に付いて行くだけではなく、先取りしていく。そんな欲張りなスタンスで自分の人生を楽しむことができる。私たちには豊かな力があると信じて、未来に向かって進んで行きましょう。

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