謡の間にて 舞って紅 第十三話
アカは、安行に連れられて、一つ手前の間、と言われた部屋に向かった。先程の作業部屋から、廊下を戻ること、ものの五分だが、建物の中の五分というのは、アカにとっては、とても離れている気がした。普通の貴族の部屋は、大きく間仕切りで、その役割を分けているが、その小さな部屋というのは、そもそも、物入れのような役割をしている場所らしい。
まあ、貴族の御屋敷というのは、得てして、こんなものだとは、アカも経験的に解っていたが。多分、ここと、あちらを行き来するのだろう・・・なのが、安行なの