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帰ってきたデッキ構築劇場"セフィロト"

ご挨拶

皆さん大変ご無沙汰しております。シミチンです。恐らく知らない方の方が多いと思うので簡単に自己紹介をすると、2000年代後半から2010年代前半くらいまでにかけてプロツアーサンデーを経験したり、子育てとマジックの両立について語ってみたりしてきた青緑大好きエンジョイ勢です。いわゆる環境デッキを使うのがとにかく嫌いで、オリジナルのデッキで奇襲することを得意としてきたので、一時期はMTGJPのサイトで「デッキ構築劇場」という連載もさせてもらっていました。
ただ最近はただでさえ忙しい中に某ウィルスの拡大も相まって全く紙に触れなくなり、MTGAの方もずーっとリミテッドだけちょっと触ってブロンズ放置という日々が続いていました。

で、何故急にこんなnoteを書くに至ったかと言うと、青春を彩った(笑)神河再訪にテンションが上がり、久々にデッキ作ってみたくなり、久々に力試しがしたくなり、なんとか2月連続でミシックまでは達成できたので、久々に長文書いてみたくなったから、というとても適当な経緯です。読みにくいところも多いかもしれませんが、デッキをイチから考える楽しさが少しでも伝われば嬉しいです。

そんな目的ですので、よくあるデッキガイドとはちょっと異なるかもしれません。具体的には、サイドボードガイドとかはありません。何しろ、自分自身が明確にサイドインアウトを決めていないので書けませんw あくまでエンジョイ向けだけどそこそこ勝てるかもよ、というレベルでお考えください。

で、今回ご紹介のデッキがこちら。

”セフィロト”

どんなデッキ?

  • 《耐え抜くもの、母性樹》を始めとした、神河の魂力伝説土地を《大スライム、スローグルク》で使い回し、相手の特殊地形・エンチャント・アーティファクトを根絶やしにするデッキ

伝説なので魂力も軽くなるよ
  • 《樹海の幻想家、しげ樹》《巨大な空亀》のコンボで無限のアドバンテージを手にするデッキ

墓地のカードが(伝説以外は)何でも使えるようになります
  • 《セレスタス》に援護された《トヴォラーの猟匠》が無双するデッキ(超レアパターン)

ワオーン

着想

神河発表時から誰もが注目していた《母性樹》ですが、基本的にモダン以下の環境で使われるのが前提であったかと思います。ただカードパワー自体は非常に高いのは明らかなので、何とかうまく使う方法はないかということで《スローグルク》にたどり着きます。

ぼく悪いスライムじゃないよ

ただ、いわゆるフェッチランドが存在しない(《進化する未開地》のことは忘れて!)スタンダードでは、あまり能動的に土地を墓地に落とす手段が他には《廃墟の地》くらいしかなく、《スローグルク》は《母性樹》を引けないとイマイチ、という評価でした。

しかしながら、同じ神河には《しげ樹》がいます。このカードは能力でマナを伸ばしつつ、余剰な土地を墓地に送ることもできるため《スローグルク》との相性は良好です。更に、自身は伝説のクリーチャーなので《母性樹》等の伝説魂力土地との相性も良いときています。基本的にこうしたシナジーが3種類~4種類くらいのカードで繋がってくると、プレイしていて楽しいギミックになることが多いので、これらのカードを軸にデッキの構築がスタートしました。

残念ながら神河には《直樹》はいなかった・・・

合わせて《しげ樹》の相方として有力なのが《巨大な空亀》です。リミテッドでこのコンボを決めたり決められたりして大変なことになった方は少なくないかと思いますが、この組み合わせは墓地対策がない限り打ち消し呪文でも止められないという点で極めて強烈です。このコンボを搭載しているだけで、墓地対策のない長期戦デッキにはほとんど負けない、と言っても過言ではありません。《巨大な空亀》はバウンスの能力も序盤のシノギにも有効に使えるので、まさしくこのデッキのためのカードと言って良いでしょう。

たまに素出しして殴ります。かわいい。

この着想でデッキ構築を始めたので、当初は青緑の2色で色々と試していたのですが、大きな問題にぶち当たります。
青緑では相手のカードを除去できないのです(当然)

そのため、ゲームを長引かせて《しげ樹》《空亀》が完成して《消えゆく希望》とかで相手のクリーチャーを全部バウンスして、ほぼ勝ち確となった盤面でも、ワンミスすると即死といったようなヒリつく展開になってしまう、時間もかかる、という結果になってしまいました。

問題解決

こうした問題の解決に有効だったのが除去のために黒を足すことです。シンプル。
赤でも良かったのですが、黒の圧倒的なメリットがありました。《竹沼》です。

…最初3枚切削する、を見落としていました(汗

これと《スローグルク》が揃うと、能力で土地を落として《スローグルク》を大きくしながら《しげ樹》《空亀》といったコンボにつながるクリーチャーを拾ったり、《竹沼》を使用して《スローグルク》を拾って出せば、《スローグルク》を除去されても《竹沼》が帰ってくるので永久機関になります。

色を足した結果、様々な除去呪文が使えるようになったので《しげ樹》での使い回しが単純に1対X交換になり枚数勝負ができるようになりました。相手のクリーチャーを全部除去してしまえばよいので、多少のミスも許容されるようになりました。 

黒を足したメリットとして、《古き神々への拘束》が使えるというのも大きいです。除去しながら《しげ樹》魂力用のマナを加速することができ、更に第三章誘発後は墓地に落ちるのでこれまた《しげ樹》での能力で回収できる、と至れり尽くせりです。地味に《大田原》で回収して使い回すこともできます。誘発型能力による除去なので対処できなかった《黄金架のドラゴン》を除去するときも宝物が出ません。いい事づくしですね!

除去!マナ加速!しげ樹!

さらなる問題とその解決

除去呪文が使えるようになったのは良かったのですが、今度はトークン戦術に頭を悩ませることになりました。特に《放浪皇》《蜘蛛の女王、ロルス》あたりは厄介です。

たぶん環境最強のPW2枚

《食肉鉤殺害事件》で解決することも考えたのですが墓地にも落ちないため《空亀》での再利用ができず、そもそも黒のダブルシンボルを確保することが容易ではないということで他の良い対処手段を探す必要が出てきました。
そこで白羽の矢が立ったのが《選別の儀式》です。

最初は半信半疑でした

流行しているアグロデッキの殆どが2マナ以下のカード+トークンを中心に構成しており、大体最低でも1対3交換くらいになります。ナヤルーンを相手にした場合、出してくるオーラごと根こそぎ破壊していくため、これを唱えた後マナが急に増えるということも少なくありません。多少3マナ以上のカードを撃ち漏らしてもそこにピン除去を使えば問題になりません。多くのパターンは小型のクリーチャーを薙ぎ払った後に、《儀式》で生み出されるマナを使って《古き神々の拘束》を出して残ったパーマネント(だいたい《ロルス》《放浪皇》)も撃墜する、といった感じです。一番これが突き刺さるのは赤黒サクリファイスで、ほぼ全部のパーマネントが吹き飛ぶ上、血トークンも巻き添えにするため凄いマナが出ます(語彙力)。続けて《トヴォラーの猟匠》というパターンも少なくありません。

サイドボードには《領界喰らい、サルーフ》を加えています。追加の《選別の儀式》のように働きますが、こちらは追放することができるのでナヤルーンが出してくる《無常の神》に耐性があります。たまに3マナのパーマネントを対処することもあります。多色なので《消失の詩句》が当たらないということもあり、白系相手には意外に生き残ります。また、1つでもカウンターが置かれていれば能力が誘発するので、解決する前に《母性樹》を放つことで取り除くカウンターを増やし、除去の範囲を広げる小技があるので覚えておくとお得です。

もちろん《母性樹》との相性は抜群

プレイガイド

よくマッチアップする相手に対するゲームプランについて、記載しておきます。大枠の方針がわかっていれば全然違う相手に当たったときもうまく対応ができるかと思うので、このデッキを使うにあたっては頭に入れておくとより楽しいかと思います。

白系アグロ
目標:
8マナくらい出るようになるまでなんとか生き残って《しげ樹》《空亀》で除去を回してぺんぺん草も生えない状況にするまで除去り散らかすこと。

負けパターン:
飛行クリーチャー(主に《精鋭呪文縛り》)を《光輝王の野心家》や《放浪皇》で強化されたまま除去れずに止まらないこと。

白単で一番危険なカード

プレイ指針:
とにかく序盤は除去呪文を多少勿体なくても打つこと。特に《光輝王の野心家》は2マナなので《選別の儀式》で巻き込みたくなるが、《空亀》のバウンス魂力での対処(アド損だが)を優先すべきようなことも多い。《スローグルク》が2枚以上手札にあるようなときは3ターン目にぶっ放してブロックに回すことも多い。中盤以降は《放浪皇》にうっかり引っかからないように注意。もちろん敢えて出させて《古き神々の拘束》を返すというテクもある。
たまに《傑士の神、レーデイン》で何もできなくなって死ぬことがあるので注意。

天使ではないのでパワー・ワード・キルは通ります

デッキ相性:ちょっと不利。ただサイド後は《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》とか《サルーフ》が加えられるのでかなり戦いやすくなりますが、《ガーディアン・オヴ・フェイス》には要注意。《選別の儀式》を躱されると涙で前も見えなくなります(実際食らった)

白黒
目標:
8マナくらい出るようになるまでなんとか生き残って《しげ樹》《空亀》で除去を回してエンチャントも含めてぺんぺん草も生えない状況にするまで除去り散らかすこと。
(要は対白アグロと一緒)

負けパターン:
・《スローグルク》を《忘却の儀式》できっちり対処され、《ロルス》や《不笑のソリン》が止められなくなること
・序盤に詰められたライフを《食肉鉤虐殺事件》とクリーチャーの自滅で削りきられること(実質火力的な動き)

プレイ指針:
白単ほどの速度はないことが多いので《光輝王の野心家》にさえ気をつけていれば生き残ること自体は難しくありませんが、中盤以降カードパワーの高いプレインズウォーカーを連打してくるのでその対処がきっちり追いつかないと簡単に負けます。理想は《ロルス》を出されてもすぐに倒せるよう《スローグルク》を定着させておくことです。トランプルがあるため《ロルス》+蜘蛛トークン2体という組み合わせでは止められません。
《詩句》が当たらないので、定着自体は難しくありませんが《忘却の儀式》で追放されてしまうと墓地から拾えなくなって詰むことがあるためできるだけ+1カウンターを3つ確保できる状況にしておくことが望ましいです。
他のデッキで手を焼くことが多いと思われる《婚礼の発表》や《魅せられた花婿、エドガー(の棺)》は《母性樹》で大体対処できるのであまり大きな問題にはなりません。
サイドボード後は《真っ白》や《告別》でこちらの戦術自体を否定される可能性があるのできっちり《否認》を入れておくことは忘れずに。特に《告別》が通ってしまうとリカバリーは大変です。

うっかり通ると大変なことに

デッキ相性:五分五分くらい。

青赤系
目標:
《黄金架のドラゴン》を定着させないこと。ゲームが長引けば《しげ樹》《空亀》で勝手に勝つのでとにかくドラゴンに殴らせないことが大事。

負けパターン:
・ぶっ放された《黄金架のドラゴン》が止まらないこと

5ターン目に適当に出されるのが一番キツい

プレイ指針:
気をつけるべきカードが《黄金架のドラゴン》しかありません。特にメインで《パワー・ワード・キル》を2枚採っているこのリストでは厳しいカードになります。ただ、《空亀》や《大田原》のバウンス魂力で手札に戻してしまえば宝物を出されずに済みますし、最悪1回殴られた程度なら《古き神々の拘束》で対処することもできます。《レンと七番》のトークンはとても有効ですが、《消えゆく希望》されて即死、ということも少なくないので過信は禁物。サイドボード後は相手方が大したカードがない一方でこちらは《否認》に加えて《空の粉砕》がとても心強いのでかなり楽なゲームになります。

デッキ相性:ちょっと有利。

ナヤルーン

目標:
・《選別の儀式》で場を綺麗にした後《スローグルク》等で殴り勝つこと
・CR《スカルドの決戦》の連チャンをとにかく防ぐこと。
・《母性樹》で相手のマナベースを破壊し尽くすこと

負けパターン:
・CR《スカルドの決戦》が連チャンすること

体感の継続率81%くらい

プレイ指針:
とにかくワンパターンなゲーム展開(クリーチャーでかくして殴ってくる→除去が追いつくか追いつかないか)になります。たくさん貼られた《ルーン》を逆手に取って《選別の儀式》で吹き飛ばす展開がわかりやすい勝ちパターンになりますが、逆に《スカルドの決戦》に対する有効な対処手段が少なく、うっかり連チャンするとたとえ《しげ樹》《空亀》が揃っていたとしても一瞬で負けるので運ゲーになりがちです。どうしてもこれに負けたくないのであれば《トヴォラーの猟匠》に代えて《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》を使うと完全に沈黙するのでオススメです。
なお、3色デッキで基本土地が少ないので《母性樹》でマナベースを攻めるのは有効です。2枚以上引いているようなときはかなり現実味があるので狙ってみてください。

英雄譚も+1カウンターも止まります

上でも書いている通り、この相手には《サルーフ》の追放能力がとても頼もしいので頼っていきましょう。クリーチャー除去が薄い相手なのできっちり働いてくれます。

デッキ相性:五分五分くらい。

赤黒サクリファイス
目標:
・《選別の儀式》を唱える
・《サルーフ》を定着させる

負けパターン:
・《税血の収穫者》あたりのコスパが良い生物を除去れなくて殴り切られる
・死ぬまで《選別の儀式》《サルーフ》を引かない

プレイ指針:
《選別の儀式》にたどり着きさえすればだいたい勝つので、切削して墓地に落としてから拾うということも含めてとにかくそこまで耐えましょう。血トークンを増やされますが《税血の収穫者》を《空亀》でバウンスすることも多いです。
《選別の儀式》さえ撃てればほぼ相手の場には何も残りません。あとは適当に《しげ樹》とかで回していると相手の心が折れるはずです。《鬼の金床》は危険ですが《母性樹》でも《ウィザーブルームの命令》でも対処できるので、あまり欲張りすぎずにさっさと割っておくほうが得策です。

デッキ相性:良好

3色以上のミッドレンジ・コントロール
目標:
・《母性樹》で相手のマナベースを破壊し尽くすこと

負けパターン:
・事故&マナフラッド

プレイ指針:
とにかく《母性樹》を回す事を考えましょう。
事故ってこちら側が何もできない、というようなケースやメインから墓地対策が採用されていた!ちくしょーなんでだー!みたいなケース以外ではほぼ負けません。サイド後も《否認》で大体危険なものは対処できるのでまぁ勝ちます。

デッキ相性:超有利

ミラーマッチ
考えたくもない。マッチングした瞬間に時間切れまたは互いにマナベースを壊し合うクソ展開を覚悟せよ。

デッキ名は”セフィロト”

こうしてデッキとして形になったところで、ランクは無事にMythicに到達しました。2月はブロンズからスタートしたということもあり到達が遅く%勢から抜けられませんでしたが、3月はちゃんと数字がついたので安心していますw 
最近全く見なくなりましたが、自分は作ったデッキには中2病的な名前をつける主義なので、このデッキを"ユグドラシル二世"と名付けました。母性樹が世界樹みたいだからです。”二世”なのは過去に”ユグドラシル”を使ったからです。
…と思ったらカルドハイムにそもそも《世界樹》がありました。でもこのデッキには入ってません。だめじゃん。

というわけでデッキ名変更。《樹》つながりで、”セフィロト”です。アダムとイブが食べちゃった知恵の実の樹の横に生えてた命の樹だそうです。(Wikipedia調べ)なんか母性樹っぽい。すっきりしました。
ちなみに英語で書くとSephirothになるので、某国民的RPGの第7作目のラスボスです。ここから由来してたんですね。

某アニメ、このへんからわけわからんくなるよね

どうでもいい段落だったかもしれませんがデッキ名は大事です。製作者の愛がつまっています。このデッキをスゥルタイコントロールとか呼ぶことは許しませんw 皆もデッキを作ったらちゃんとオリジナルなデッキ名つけましょう。どこかで広まった時に自分のつけたデッキ名が生きていると結構感動しますよ。

最近はインターネットやSNSの発達によって自分でデッキを作ってみよう、という文化が以前にも増して廃れてきた印象がありますが、実際にやってみると今は特に自由度が高いスタンダード環境なので、楽しいものです。まだまだ神河には試せていないカードがたくさんありますし、最近はアルケミーなんかも出てきたので、自分も更に新しいデッキを試してみたいと思っています。

今回久しぶりに長文を書いてみましたが、ぶっちゃけ続くかどうかはわかりませんw もし好評だったら次回があるかもしれませんし、色々周りの環境的に厳しかったらやれないかもしれません。このnoteが面白かった、”セフィロト”で勝てた、採用されてないけど〇〇を入れてみたら強かったといったフィードバックは大変励みになるのでコメント等々頂けたら嬉しいです!もちろんサポート等頂けてしまったら泣いて喜びます。

それでは 久しぶりに…

Decks, be Ambitious!!

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