VRChatイベント運営論

画像11

はじめましての方ははじめまして。

やぐりゅー(Twitter ID:@LYU_0509)と申します。

VRSNS"VRChat(以下VRC)"上にて『メンヘラアバター集会』をはじめ『ゆめかわアバター集会』『ゴシックアバター集会』『サブカルファッションアバター集会』といった定期イベントの運営や、これら4つのイベントを統括したサブカル系ファッションアバター集会運営団体『Meg.(メグ)』(Twitter ID:@VRC_Meg)の運営、その他『VRC千葉県民集会』『VRC発狂集会』等の不定期開催イベントの運営を行っております。

この度【VRCイベント運営論】というnoteの執筆に至った経緯について

・VRC上のイベント運営に興味を持ちつつ、やり方がわからないという理由で諦めてしまう人を何人か見て勿体ないと感じたため

・インターネット上においてVRC上でのイベント運営の手法を記したサイトや記事が私の知る限りどこにも存在しない

・とにかくイベント運営はいいぞ!!!!!!!ということを伝えたい

等があります。

約半年間に渡るVRC上のイベント運営の経験で培ったノウハウや失敗談、注意点や留意点ややりがい等を3万字以上に渡ってすべて書き尽くすつもりでいるので、読むのは自由ですがかなり長文なのでそれなりの覚悟を持って読み進めてください(笑)

また、読んでいてよくわからない点や疑問に思った点などございましたらお気軽に筆者までDM等の連絡いただければ真摯に返答させていただきます。

(当記事はVRC上での基本操作等ができる方を前提として作成しておりますので、"join" "friend" "invite"等の基本用語の解説は省略させていただきます、予めご了承ください。)

これをすべて読み終えた方がいつかVRC上で私とお会いし、何らかの形で共にイベントを作り上げられるような日が来ることを楽しみにしています。


※当noteはあくまで私個人のVRC上のイベント運営に対するやり方や考え方を綴ったものであり、これがVRCイベント運営全体においての正解だとか基準だとか言うつもりはございません。その旨を予め念頭に置いたうえでお読み頂けると幸いです。

※このnoteに対するお気持ち文を書いて頂いても一向に構いませんが、豆腐メンタルにつき何卒お手柔らかな感じで批評&批判して頂けますと幸いです。幸いではありません。


【VRCイベント運営論】

①イベント運営のメリット

②イベントの種類…マーケット型・店舗型・横並び型

③イベント運営の3ステップその1…企画【目的・内容・時間・場所・人・流れ】

④イベント運営の3ステップその2…告知【VRChatイベントカレンダー・Twitter・discordの活用とポスター制作】

⑤イベント運営の3ステップその3…運営【イベント開催直前・イベント開催中・イベント終了時】

⑥アフターフォロー,第2回開催に向けて

⑦その他注意点など【荒らし対策・イベント用Twitterアカウントの運営・失敗談・その他】

⑧未来への展望(イベントのコラボ,協賛開催等)

⑨終わりに

➉編集後記



①イベント運営のメリット

冒頭部分でも書きましたが、とにかくVRCイベント運営はいいぞ!!!!!

ということで今までの経験で感じたメリットを列挙し、一つ一つ解説させていただきます。


・コミュニケーションが苦手&受け身気味でも"friend"も"友達"も"仲間"もできる

極論、どんなにコミュニケーションが苦手だったり受け身がちだったりしても、イベンターになってしまえば勝手に自分の周りに人が集まってくるようになります(ついでにコミュ力も多少向上する気がします)。

イベンターは通例としてjoin先になりがちなので、イベントの告知をしていると何もせずとも自然に参加者の方からjoinするためのfriend requestが飛んできます。

つまり、イベントを開けば開くほど"friend"が勝手に増えていくということです。

「とりあえず友達100人ほしい!」という方はイベンターになればあっさり達成できると思います(笑)

一方で「でも友達って数じゃなくない…?」という意見もあると思います。

ご安心ください。ちゃんと"友達"もできます。

自分の好きなことや趣味、属性にまつわるイベントを開いた場合、たいていの場合同じような趣味趣向や属性を持った人が集まってきます。類は友を呼ぶってやつですね。

趣味趣向や属性の似ている人は親近感が湧きやすいので、自然と仲良くなることができます。

"友達"の定義は各々にお任せしますが、"好き"を共有できる相手は私個人としては"友達"だと思っております。友達最高。

そして、数としての"friend"、好きを共有する"友達"のほかに、目的を共有でする"仲間"ができます。

後述しますが、自身の存在にイベンターとしてのタグが付くので、類友理論で同じようなイベンターの方と知り合うことができます。

イベンターは往々にしてそれぞれ目的を持ってイベントを運営しており(ex:人々に愛や癒しを与えたい、ふざけたことを真剣にやりたい、特定ジャンルのアバターの居場所を作りたい、etc...)、自分のそれと一致する方と出会えれば意気投合し、イベントの協力や共同開催等より大きな規模でのイベントをすることだってできます。

また、イベンターに限らずクリエイターやVtuber等とも関わる機会があり、自身のイベントとコラボしたグッズを製作・配布していただけたり、YouTubeで取材レポートという形で自身のイベントを紹介していただけたりします(この場合クリエイター様は自ブランドおよび作品の宣伝、VTuber様は再生数やチャンネル登録者数の増加、イベンター自身はイベントのより広い周知…とそれぞれの目的は異なれどwin-winな関係になります)。

そういった"仲間"ができるのもイベント運営の一つの魅力です。

そしてあれこれしているうちにイベントの存在と共に自身の存在もどんどん知れ渡っていくので、特段VRC上の友達作りに一生懸命にならなくても自然に人脈や交友関係が広がっていきます。

(Publicで積極的に人に声かけるとかできないよ…)(いろんなVRC初心者向けのイベント行ったけど結局誰とも仲良くできなかったなぁ…)という方は、自分の好きなものや個性をさらけ出してそれにまつわるイベントなどを開いてみてはいかがでしょうか。

きっと一か月もしたら素敵な人たちに囲まれているはずです。


・誰かとやりたいことを、思い付きで自分が中心となってすぐに実行できる

画面外の交友関係を思い浮かべてみてください。

例えば、あなたは突然「みんなで発狂しながら走り回りたいな」という衝動に駆られたとします。駆られたことにしてください。

画面外の友達に「ねぇねぇ!3日後の木曜の夜みんなで発狂して走り回ろうよ!」と言ったとして、果たして何人の友達が話に乗ってくれるでしょうか?

万が一話に乗ってくれたとして、果たして3日後までに警察に通報されることなく安全に発狂して走り回れるような場所を見つけられるでしょうか?

そもそも友達の木曜日の夜は空いているんでしょうか?

時間や空間の制約がほとんど排除されたVRCの世界において、VRCのイベントはそのような非現実的なことを現実にしてくれます(実際にこの例え話に沿って生まれたのが「VRC発狂集会」になります)。

「このゆびと~まれっ!!」が可能な世界なのです。

VRCの世界は広いので、マイナーコンテンツのヲタク談義であれマイブームなバンドのライブ映像をただ観るだけの会であれ、指さえ立てれば誰かしらは集まってくれます。

もちろん何をやってもいいという訳ではないので、その立てた指の向かう方向がVRCの規約に引っ掛かりそうなものや社会通念上首を傾げるようなものだったりすると陰でいろいろ言われたりもしますが、基本的にはやった者勝ちの世界です(ここ拾われてお気持ち文書かれそう)。

また、案外指さえ立ててしまえば自分より詳しい有識者の方が現れて色々教えてくれたり軌道修正をしてくれたりするので、不安や失敗を恐れて指をひっこめるより、一旦指を立ててしまって後から不安要素をつぶすなり失敗から学んだりした方が今後の生き方としても成長できて良いと思います。

自分から声を上げ、その声に賛同した共通の趣味趣向や目的を持った人が現れた時の喜びは体験しないとわかりませんし、知っている人ならよくわかるはずです。

しがらみから解放された世界で、今まで立てられずにいたその指を立ててみませんか。

自分が中心となって物事を動かすの、結構楽しいですよ。


・自身の存在に箔がつく、"何者か"になれる

結論から言えば、名前や存在を覚えてもらいやすくなります。

これ以降は気にしていない人にとっては大したことではないので読み飛ばしてしまっても構わないのですが、簡単に自分と他人を比較できてしまう現代の情報社会において

「何者かにならなければならない」

「歴史に名を残すような偉業を成し遂げなければならない」

といった強迫観念の中で日々を送っている人は少なからず見受けられますし、現にTwitterやYouTube、イベント等で簡単に他人のことが知れてしまうVRCの世界も例外ではないようです(むしろクリエイターやVTuber、その他最先端を生きる新しい物を好む敏腕技術者達などが多くいる世界なだけにVRCの世界の方がそのような傾向にあるとも言えます)。

「何者かにならなくては」と思うことが良いか悪いかはさておき、イベンターになればとりあえず"何者か"にはなることができます。

イベンターは大抵自身の運営するイベントが自身の存在のタグになりますので、私の場合だと「あ!メンヘラアバター集会の人だ!」といった具合になります。

これが仮にかっぱえびせんを食べる会とかだったら「あ!かっぱえびせんの人だ!」と、ロードローラーを投げる会とかだったら「あ!ロードローラーの人だ!」といった具合です(こういったものは大抵自分から名乗らなくても人から言われるようになります)。

このように自身の存在に二つ名がつくと「何者かにならなくては」みたいな気持ちはだいぶ薄れると思います。

また、VRCには"Visitor"~"Trusted User "といった5段階のユーザーランクが存在し、ユーザーランクを上げる要素の一つはfriend数であると言われています。

イベンターを続けていれば自然とfriendが増えるため、私や私のイベンター仲間も比較的にTrusted Userに達するまでの期間が短めでした。

語弊を恐れずにざっくり言ってしまえば、さくっとイベンターになっちゃってTrusted Userになって二つ名までゲットしちゃったらもうそれは「何者かになった」と言えるのではないでしょうか。知らんけど。

※これは余談ですが、「何者かにならなくては」という気持ちに苛まれている人は身近な家族や友人や恋人などの関係を見つめなおし、(この相手は世間にとっては特別じゃないし極端な話他界して100年後には地球上の誰も覚えてないのだろうけど、自分にとってはかけがえのない世界でたった一人の特別な存在なんだよな)と認識することで、自分も相手からそう思われている(=かけがえのない世界でたった一人の特別な存在)こと、既に"何者か"になっていること、これからも"何者か"で在り続けることに気づいてくれればと思います。画面の向こうの有名人より隣で一緒に笑っている〇〇(この〇〇にはあなたの身近な人の名前が入ります)です。


・人に「ありがとう」と言ってもらえる、感謝をされる

これはだいぶ大きいです。

VRCの世界には、それはもうたくさんのコンテンツが存在し、今日も続々と増え続けています。

それらを作っている人は企業の団体や法人とかではなく、大抵は我々と同じように日々を生きている個人だったりします。

その個人が貴重なプライベートの時間を割いて何かを作り上げ、見返りとして報酬を払われても良いようなクオリティの完成物を無償でアップロードしたり配布したりする…

これってとてもありがたいことだと思いませんか…?(クリエイターの地位が~といった類の話は一旦置いておきます)

これはイベント運営にも同じことが言えます。

イベントを起案し関係者にお声がけし告知のポスターを作りTwitterで宣伝しスケジュールを組みイベント会場となるワールドを探しイベントカレンダーを更新し当日には会場でイベントを仕切り…(この過程におけるワールド製作者様やイベントカレンダー運営者様への感謝も忘れてはいけない)

趣味でやるとはいえ、結構大変だったりもします。

そんな中で「イベント開いてくれてありがとう!」「本当にこのイベントが生きがいです!」「居心地がとても良い!」などのお言葉を頂いたりする訳ですね。

うわ…ありがてぇ…染みる………

ってなります。本当に。

別に感謝されたくてイベント運営をしている訳ではないですし、これを読んでいるイベント運営に興味のある皆様や既にイベンターの皆様もきっとそうだと思うのですが、とはいえいざ感謝されるとやはり嬉しいものがあります。

あなたがやりたいイベントをやることで、それをありがたく思う人も必ずいます(私のメンヘラアバター集会の例を挙げると、今までそのようなイベントがあったらいいなと思いつつ、いざ運営して"本物のメンヘラ"が来たら怖いから諦めていた参加者の方が多かったので運営してくれてとても有難いという声が少なくなかったです)。

一歩踏み出せずに居た人達が、あなたの一歩を待っています。


②イベントの種類

VRC上のイベントは本当に多種多様な物があり、カテゴライズするのもナンセンスだと思いますが、運営のしやすさ等も考慮して便宜上大まかに3つに分けます。

・マーケット型イベント

ex:バーチャルマーケット、作品展

主に複数名のクリエイターさんの作品をイベント専用ワールドの作成によって展示し、参加者にウォークスルーで楽しんでもらうタイプのイベントです。

複数人での共働や専用ワールドの作成等があり運営に多くのコストを要する一方、大規模でたくさんの人を巻き込んで楽しむことができるという特徴があります。

・店舗型イベント

ex:○○喫茶・カフェ、DJイベント

主にロールプレイング等で主催陣がキャスト、参加者陣がお客さんとなり主催陣が参加者陣をもてなすような形で行われるイベントになります。

マーケット型ほど運営側に人が居なくても比較的運営しやすく、なおかつそれなりの規模である程度大人数の参加者に楽しんでもらえるという特徴があります。

・横並び型イベント

ex:動画の同時視聴会、アバター集会、ワールド巡り、〇〇同好会等

主催陣と参加者陣の立場に差が無くor少なく、誰もが主役となって楽しむことができます。

一人でも運営が可能であり、少人数の参加者を楽しませることができるという特徴があります。

※「〇〇喫茶・カフェもinvite onlyにすれば一人で運営できるぞ!」「DJイベントは割と横並び」等々の意見もあると思いますが、一旦感覚的にこのように振り分けてみました。

結論から言えば、初めてイベント運営をするなら『横並び型イベント』から始めるのがおススメです。

・一人でも比較的簡単&手軽に運営でき、関係者とやりとりを行う手間がないor少ない

・参加者と立場がそこまで変わらないため、果たすべき運営者としての役目が少ない

・イベント経験の浅いうちに大人数を巻き込んだ大規模なイベントを作り上げようとするのはリスクがある(ex:必要な報連相の不足によって関係者に迷惑をかけてしまう、わからないことだらけでキャパオーバーになる、イベント運営の責任が大きくなる等)

というのが主な理由です。

また、イベント運営経験のある人にコンタクトを取り一緒に運営するとより確実・安全なイベント運営が可能になるのでお勧めです(同時にイベントのより広い周知にも繋がります)。


③イベント運営の3ステップその1…企画【目的・内容・時間・場所・人・流れ】

※以降は「横並び型イベント」「店舗型イベント」を想定して記述しております。「マーケット型イベント」ついては、基本的なフローは一致すると思いますが、当方はマーケット型イベントの運営経験が無いためあくまで参考程度にお考え下さい。

イベント運営のフローは大きく【企画】【告知】【運営】の3つの段階に分けることができます。

これからこの3つの段階に沿ってイベント運営のフローを説明します。

※イメージをしやすくするため、要所要所で例として私の運営する「ゆめかわアバター集会」を挙げます。

まずは【企画】についてです。

企画はいわゆる5W1H『Why(目的)、What(内容)、When(時間)、Where(場所)、Who(人)、How(流れ)』のフレームに分けられます。


★Why(目的)

イベントの開催目的にあたります。

そのイベントを通じて何を果たしたいのか、どうなるのが理想かというイベントの基盤となるイメージです。

ゆめかわアバター集会の場合、「ゆめかわ系ファッションを着たアバターを見て楽しみたい」といった具合。

最重要事項ですので、ここははっきりと明確にしておくと吉でしょう。


★What(内容)

イベントの具体的な内容になります。

イベントの開催目的に沿っている必要があり、開催目的を達成できるようなものにします。

ゆめかわアバター集会の場合「ゆめかわ系ファッションのアバターで一ヶ所に集まり、褒め合ったり写真を撮り合ったりする」といった具合。


★When(時間)

イベントの開催時間になります。

体感ではありますが、基本的にVRCは仕事や学業等が落ち着いた20時から人が入り始める傾向にあるため、20時〜24時の間で開催すると多くの参加者を集めやすいです。

また、これは個人的にTwitterで取ったアンケートになりますが

画像1

という結果が出たため、個人的には22:00〜23:00開催をオススメします(総投票数が少なめなのであくまで参考程度に)。

ただこれもイベントの目的や内容によって変わるので、一日の終わりに来て欲しいようなコンセプトのイベントなら23時以降の開催、今夜のVRCライフの始まりを告げるようなコンセプトのイベントやイベント時刻終了後の余韻・雰囲気、交流等をメインとしたいなら20時開催にするなど、各自のイベントに合わせたものにするのが吉です。

また、イベント自体の長さにおいてもイベントの目的・内容に合わせたものにする必要があります。

やることだけささっとやって終わるようなイベント、体力や集中力が過度に要求されるようなイベント等は、短時間の開催(5分〜15分)にするとイベントの中だるみや参加者の疲れ・飽きもなく締まりの良いイベントになるでしょう。退出者が少ないのも短時間開催のイベントの特徴です。

反対に、交流がメインのイベントや音楽系イベント等長時間かけて楽しみたいようなイベントは、中〜長時間の開催(1時間以上)にすると参加者が余裕を持って楽しめます。長時間開催のイベントはjoinできる時間も長いので人を集めやすいというメリットがあります。

あくまで上記のイベント例とそれに対応したイベントの時間は目安なので、各個人のイベント目的・内容で調整して下さい。

ちなみに開催する曜日について、イベントカレンダーを見る限りVRC上で開催されているイベントは曜日として「月〜木」に比べて「金〜日」が比較的多めであるため、「金〜日」開催のイベントは参加者が他のイベントに分散しやすい特徴があります(その分VRCに入る人が多いのも体感「金〜日」が多かったりしますが)。

イベント開催は競争ではありませんが、他のイベントに参加者が流れていく不安のある人は開催を平日の夜にしておくと安心かもしれません。

ゆめかわアバター集会の場合、交流がメインであることからイベント時間を1時間と長めに設定し、開催時刻もアンケートの結果上一番参加者の集まりやすい22:00〜23:00に設定しています。水曜日開催なのは「平日の折り返し地点に生き甲斐が欲しいから」という主催者の個人的な理由です。

イベント開催時刻や日時、頻度等についてはLAMBsun様(@LAMBsunsun)の調査・執筆なさったnote『VRChatイベントの傾向2018-2021』が大変参考になりますので、ぜひご一読下さい。


★Where(場所)

イベントを開催する場所、すなわちWorldやインスタンスの話になります。

ここでは『Worldの種別』『Worldのキャパシティ』『Worldの負荷』『World製作者との連絡』『イベント用Worldの自力での準備』の5つについてお話します。

◎『Worldの種別』

スクリーンショット (119)_LI

基本的に「PCオンリーWorld」or「Quest対応World」のどちらかになります。

この選択によって、イベントがPCVR勢とデスクトップ勢のみが参加可能なイベントになるか、前者に加えてQuest単機勢も参加可能なイベントになるかが決まります。

・PCオンリーWorld

メリット…ビデオプレイヤーや配信用ツール等多種多様な機能

デメリット…Quest単機勢が入れない

・Quest対応World

メリット…Quest単機勢が入れる

デメリット…グラフィックの表現やWorld内の機能が制限される

この要素は割と重要で、単純に多くの参加者を呼び込みたいのであればQuest対応のWorldを使用すれば良いのですが、PCユーザーとQuestユーザーとで見え方が異なるVRC上において、イベント内容が映像鑑賞会やアバター集会、DJイベント等「参加者同士で共通の物を見たり聞いたりして楽しむ」というものの場合は一概にQuest対応Worldで開催すれば良いという訳ではないのが現状です。

Questユーザーが参加しても楽しめなかったり、Questユーザーが参加することで逆にPCユーザーが楽しめなかったりする場合もあるので、イベントの目的に応じて各自会場として使用する予定のワールドの種別を検討する必要があります。

例外的に、運営側のみが工夫や努力をしてQuestユーザーも楽しめるような改変・仕組み作りをするのであれば、PCオンリー向けのイベントをQuest対応向けのイベントにすることもできます(PCユーザーの参加者にもその努力を強いてしまうとどうしても参加者は少なくなりがちです)。

ゆめかわアバター集会の例ですが、高グラフィックなWorldを背景にしてアバターの写真を撮って楽しむことが多い点や、Questユーザー対応の開催にするとPCユーザーにも各自のアバターをQuest対応して貰わなければならなくなり参加のハードルが上がる点からPCオンリーWorldでの開催にしています。

◎『Worldのキャパシティ』

スクリーンショット (120)_LI

Worldのキャパシティは基本的にWorld説明画面に表示された上限値の2倍になります。

使い分け方については

・キャパシティの小さいWorld

→少人数でこじんまり楽しみたい場合、運営陣の人数が少ない場合、インスタンス内の人数増加によるグラフィック負荷を回避したい場合等

・キャパシティの大きいWorld

→大人数でワイワイ楽しみたい場合、運営陣の人数が多い場合、インスタンスを増やさず一括管理したい場合等

というようにイベント目的に合ったものを選択すると良いでしょう。

ちなみにこれを見誤った場合、イベント内で複数のグループができてしまい進行が難しくなったり、グラフィック負荷が重く運営中にVRCから落ちてしまったり、すぐインスタンスfullになってしまい参加希望者がインスタンスに入れず溢れてしまう等の弊害を起こし得る可能性があります。

◎『Worldの負荷』

スクリーンショット (124)_LI

Worldを構成する一つ一つの要素により、PCへの負荷が変化します。

高グラフィックWorldや多機能World、その他軽量化されていないWorld等を会場にすると、参加者が参加した際にWorldの高い負荷によりスムーズに動けず視界がカクカク・ガビガビになったり、場合によってはVRCから落ちてしまったりすることもあります。

また、イベントの負荷(サイズ)が大きければ大きいほどロード時間も長くかかるので、参加者がロード中に萎えてしまったりjoin戦争(イベントに参加するため、参加希望者達がイベント開催時間になった瞬間にjoinしようと殺到すること)においてインターネット環境の有利な人しか参加できなくしてしまう等の弊害もあります。

World巡りのイベントやアバター集会等においては舞台や背景となるWorldのグラフィックは高ければ高いほど良いと考えますが、参加しやすさや参加した後の動きやすさ等も考慮すると過度に高負荷とならないようなWorldを会場として選択するのが無難であると言えます。

◎『World製作者との連絡』

イベンター初心者の皆様の中には(イベントとしてAさんの制作したWorldを使用するのなら、Aさんに一声連絡すべきなのか)という真面目な考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。

結論から言いますと、少なくとも私の考えでは、そういった連絡は不要だと考えます。

理由としては

・publicとしてWorldをアップロードしている以上、使用方法はどんな目的であれ(利用規約や公序良俗に著しく接触するようなものでなければ)ユーザーの自由である

・連絡を取ることでイベント運営のフローが滞りやすく、臨機応変な対応がしにくくなる

・イベント目的や内容、イベントの出来不出来によってWorld製作者とのトラブル・関係の悪化に繋がりかねない

等があげられます。

これらの理由については私の実体験を元に感じ考えた物なので、それこそ冒頭でも念押ししたように全てのイベンターがそう考えている訳ではありませんが、個人的にはこれまでのイベント運営の経験上連絡を取るメリットよりも連絡を取ったことによるデメリットの方がはるかに大きかったです。

またWorld製作者からしても、正直連絡を取られることで「知らない人からいきなりWorld使用についての連絡が来た」「しかもよく分からないイベントで使用するために」「連絡取るってことは告知等協力してほしいってことなの?」等精神的負担が大きくなると思いますし、OKを出すにせよNGを出すにせよそのやりとり自体も手間になるものと考えます。

語弊のある言い方をしますが、他者イベンター様のイベント用に作られたWorld等でない限り、(利用規約や公序良俗に著しく接触するような目的で開催されるイベントでなければ)黙って使用しても問題は無く、万が一何かあれば後から説明・弁明をするというスタンスで差し支えないと考えます。

もしこのスタンスで実際にイベントを運営して何か問題が起こった際は、当noteや私の名前を出して頂いても構いません。

◎『イベント用Worldの自力での準備』

ここまで『Worldの種別』『Worldのキャパシティ』『Worldの負荷』『World製作者との連絡』と説明してきましたが、これらの要素を自分で自由にカスタマイズしたいという方や、色々気にせずに済むようなWorldで自由にイベントをやりたいという方もいると思います。

そこでオススメなのが「自分用のイベントワールドを準備する」というものです。

World製作の方法やQuest対応に向けた軽量化・最適化等のお話はあまりに膨大になるのでここでは解説しませんが、Googleで「vrc world 製作」「vrc world 軽量化」等で検索すると様々な結果が出てきますので興味のある方は各自調べてみてください。

また、作成済のWorldがbooth等で販売しているケースもあるので、製作の手間を省略・簡略化したい方はそれらを購入してみても良いでしょう。


★Who(人)

イベントの「運営者」と「参加者」についてのお話です。

◎運営者について

イベンターはイベントの目的や参加予定の人数に応じて運営側の人数を調整する必要があります。

一人で運営できるようなイベントであればそれで大丈夫ですが、比較的フォーマルなイベント、大人数の参加を想定するイベントの場合は多めのスタッフ・協力者が必要です。

その際に予めスタッフ・協力者にイベントの目的や趣旨を伝え共感してもらうことが大切だったりします(主催とスタッフ間での意見・方針の相違等によるトラブルを防ぐため)。

また、スタッフ・協力者がどんな方かというのも把握できていると担ってもらう役割と適性とをマッチさせやすくなるのでベターです。

参加可能な日時等も聞いておくと良いでしょう。

(ここまでストイックにやる必要はないと思いますが、突き詰めるとこうなるかもしれません…個人的にはスタッフ・協力者を抱え過ぎるとイベント運営そのものよりそちらの方々に対してのフォローやケアに思考のリソースが割かれてしまう気がするので、できるだけ一人or少人数で運営可能なイベントばかり開いています)

◎参加者について

基本的にはイベントを楽しみに来てくれる人ならどなたでも参加可能ですが、イベントにコンセプトがある場合(ex:アバター集会、ロールプレイング系集会)はコンセプトに沿ったアバターや振る舞いをしてもらう必要があるので、その旨を事前に周知させる必要があります。

また、荒らし・晒し対策等の治安維持(参加者の質)を徹底したい方は、告知媒体に事前に治安維持のための注意事項を明記し従えない場合にはkick,ブロック等の処置を行う旨を記載する、イベント参加のためのフレンド申請の際に事前にTwitterの主催者宛のDMにてアカウント名を申告してもらう等の対策が有効です。

これらに伴う告知ポスターの作成やイベントカレンダー更新等については後述します。

加えて、イベント会場となるworldのインスタンスを建てる際、インスタンスにはそれぞれpublic, friend+, friend, invite+, inviteといったインスタンスの公開範囲があります。

スクリーンショット (123)

イベント会場としてインスタンスを建てる際、オススメ度としては

public…×〜△。イベントとは無関係な人が多く居るためイベントのコンセプトが崩れやすく、治安維持も難しい。荒らし・利用規約違反行為に巻き込まれないためにpublicを避けているユーザーもいる等、集客力も微妙。統一感の無さからイベントと呼べるかどうかも少々疑問。

friend+…△〜○。イベント中と知らずにjoinしてくる人が多いためイベントのコンセプトが崩れやすいが、friendのfriendが集まる仕様のため治安維持はpublicほど難しくはない。集客力は高め。

friend…○〜◎。イベントに来るためにjoinしてくる人が殆どなので真の意味での集"客"力が高く、イベントのコンセプトも崩れにくく、治安維持もjoinerがfriendのみなので比較的容易。

Invite+…△〜○。運営陣から参加者を招待する形式なので、イベントのコンセプトは崩れにくく治安維持もかなり容易である反面、一人一人にinviteを送らなくてはならないので集客力はまずまず。

Invite…×〜△。主催者(ある一人)のみが参加者を招待する形式なので、イベントのコンセプトは崩れにくく治安維持もかなり容易である反面、主催が一人一人にinviteを送らなくてはならないので集客力は微妙。強い内輪感と不透明さからイベントと呼べるかどうかも少々疑問(ホームパーティーや個人経営のバーのような感覚に近い)。

と言った具合です。

もちろんこれもイベントの目的毎に異なるので、各自適切な公開範囲を設定しましょう。

個人的には高い集客力とコンセプトの維持を両立できるfriend onlyのインスタンスがイベント運営において最もオススメです。


★How(流れ)

イベント運営中の流れになります。

具体的には参加者が入ってきた時の導線になります。

主に

・joinerに対してイベントの趣旨を説明し、後は自由に過ごしてもらう「放任タイプ」

・joinerに対してイベントの趣旨を説明し、以降も適度に声掛けをする「様子見タイプ」

・joinerに対してイベントの趣旨を説明し、以降も常時付き添う「つきっきりタイプ」

があります。自由度に関しては「放任タイプ>様子見タイプ>つきっきりタイプ」、寂しくない度に関しては「つきっきりタイプ>様子見タイプ>放任タイプ」になります。

イベントのコンセプトに沿い、参加者にどのような形で楽しんでもらうのかによって適切なタイプを選びましょう。

この辺りについては後の【運営】の段階で詳しく記述します。


④イベント運営の3ステップその2…告知【VRChatイベントカレンダー・Twitter・discordの活用とポスター制作】

ある程度【企画】が固まったら、イベント参加者を募るべく【告知】の段階に移ります。

ここでは『VRCイベントカレンダー』『Twitter』『discord』の3つのメディアによる告知の方法の紹介に加え、告知ポスターについてのお話をします。

★VRChatイベントカレンダー

VRChat上で開催されるイベント情報をまとめた「VRChatイベントカレンダー」というサイトがあります。

このサイトを見て遊びに行くイベントを決める人が多くいます。

サイトを開くと、様々なイベントが開催日時順に並んでいるのがわかります。

それでは開催イベントのVRChatイベントカレンダーへの登録方法について順を追って説明します。

サイト右上にあるオレンジ色の「登録」ボタンをクリックすると、以下のような画面が出てきます。

1ページ目

画像9

2ページ目

画像10

特筆する点は以下の3点です。

・Quest対応可否
⇒イベントがQuest対応か否かについてチェックを入れます。対応しているとイベント名の頭に自動的に「【Quest対応】」の文字が付与され、Quest対応向けVRCイベントカレンダー(ここでは割愛)に載るようになります。イベント会場となるWorldがQuest対応している必要があります。

・参加方法
⇒通例では「○○にfriend request & join」と自分の名前を書いてそこにフレリクを送ってもらう&joinしてもらうことが多いです。

・備考
⇒告知ポスターを作って事前にTwitter等で告知しておくと、そのツイートのリンクをこの欄に貼ることでさらなる拡散・周知が期待できます。マストではないので各々のお好みに合わせて…という感じです。

画像10

これらの項目に合わせて入力していき、2ページ目の右下「送信」をクリックするとこのような形で登録されます(第16回メンヘラアバター集会の例)。

これでVRChatイベントカレンダーへの登録は完了です。

これにより直接このサイトを見に来た人の目に留まるだけでなく、world上にあるVRChatイベントカレンダーを表示するアイテム上に表示されたり、VRChatイベント情報(@vrcevent_info)によって開催時刻30分前になったイベントが告知される&備考欄に掲載したツイートが引用RTされるなど人の目に留まる機会が格段に増えます。

経験談ですが、以前私の運営するサブカルファッションアバター集会において、一度だけイベントカレンダーの登録を忘れてしまった回がありましたが、普段は参加者が20人前後だったにもかかわらずその回の参加者だけは最大でも8人程度だったことがあります。

このことからも、VRChatイベントカレンダーの告知の重要性がお分かりいただけたかと思います。

ちなみにVRChatイベントカレンダーはカッコウ様(@nest_cuckoo_)管理の下有志の支援によって運営されていますので、いつもお世話になっている方やこれからお世話になる予定の方は、余力があれば支援の方もご検討してみてはいかがでしょうか。
https://vrceve.com/supporters/?s=06


★Twitter

データがある訳では無いので根拠は提示できませんが、VRCユーザーの多くはVRC用のTwitterアカウントを持っています。

Twitter上で「#VRC」「#VRChat」タグで検索をすればそれが実感できるかと思います。

これを今読んでいる人はVRC用のTwitterアカウントを持っているという前提で話を進めますが、告知文やイベント詳細を書き綴り、告知ポスターを添えてツイートすると心優しいフォロワーさんからいいねやRT等によってイベントを宣伝することができます。

画像2

これは第2回VRC発狂集会の開催告知ツイートの例です。

うまくいけばこのように100件以上RTして頂けることもあり、イベント開催3日前の告知であったにもかかわらず当日は20人近くもの方にご来場頂きました。

また、告知ツイートだけでなく、Twitter上でのユーザー名の後ろにイベント名と日付を書いたり(ex:やぐりゅー@12/2発狂集会)、来て欲しい人に直接DMでお誘いしたりするとより多くの人の目に留まりやすくなるのでオススメです。

ツイートの文字数に余裕があれば、後々参加者がイベントを振り返りやすいようにイベント用のハッシュタグを作っておくのも良いかもしれません。

告知はイベント開催日の一週間前、遅くても3日前までには行っておくと良いでしょう。


★discord

少し上級編ですが、discordでの自分用のイベントサーバーを作り、そこにfriendやTwitterのフォロワーを招待するというやり方もあります。

この方法は予め仲の良いfriendやフォロワー、ファン等を作っておく必要がありますが、告知ツイートがタイムラインの彼方に流れてしまうTwitterでの告知に比べてより確実に見て貰える可能性が高くなるのが特徴です。

ただ、discordサーバーに入らないと見られないという不透明性さから内輪感・仲良しグループ感が生まれるという特徴もあるので、イベントの目的に合わせて利用するのが吉です。


★告知ポスターについて

ここでは告知ポスターの作り方や内容について簡単にお話します。

告知ポスターに必要な情報は

・イベント名…イベントのタイトル。そのまま。

・開催日時…日付、曜日、開催期間

・イベント内容…イベントの内容。そのまま。

・Join先…イベント参加に伴うjoin先となるVRCアカウント名

の4つを抑えていれば大丈夫です。

余力があれば

・Quest対応のアピール…Quest対応イベントの場合、告知ポスターにその旨記載しておくとQuest単機勢の興味を惹くことができます。

・注意事項…イベント参加に伴う注意事項。参加条件の記載、使用アバターの制限、迷惑行為の禁止、迷惑行為に対するkick,block等の対応、見学の可or不可、録画や撮影の可or不可等

の2つも記載しておくと良いでしょう。

注意事項に関してはあまり冗長に書くとイベントに対しお堅い・厳しい印象を与えてしまう他、情報量が多くなり複雑になってしまうというデメリットもあるので、簡潔にまとめて書くか、VRCイベントカレンダーの備考欄への記載や告知ツイートにリプライという形で追記する等の工夫が必要になります。

告知ポスターに盛り込むべき内容を抑えたところで肝心のポスターの作り方ですが、著作権フリーの無料ソフト・アプリを使用して作ることをオススメします。

こちらについては使用機材にデフォルトで入っている画像加工ソフトでも十分できるので、敢えてこのアプリが〜…操作方法は〜…と一つ一つ紹介するのは控えますが、LINEやInstagram等の身近なアプリでも簡単に作成することが出来るので実際に手を動かして一枚作ってみるのが1番早いと思います。

画像3
画像4

(Instagramのストーリー機能で5〜10分で作成した架空イベントの告知ポスター例。作ってみてよく分からない点があれば直接連絡下さい!)

ひとまず先述した4つの点さえ抑えていれば告知ポスターとしては100点です。

背景となる写真はVRC上で撮影するのも良いですし、いらすとや等フリー素材を使用するのもアリでしょう。

また、第2回目以降の開催となるイベントの際はポスターに過去のイベント内で撮影した写真を使用するとイベントの雰囲気が分かりやすくより印象的なアピールになりますし、被写体となって頂いた参加者の方に喜んで貰えることもあります。

イベントの看板となるような素敵なポスターを作りましょう。


⑤イベント運営の3ステップその3…運営【イベント開催直前・イベント開催中・イベント終了時】

いよいよ運営段階に進みます!緊張しますね。

「イベント開催直前」「イベント参加中」「イベント終了時」の3つに分けて順を追って説明します。


★イベント開催直前

イベント開催時刻5〜10分前にはVRCにinし、social欄のメッセージを「イベント名 00:00〜00:00」というように変更した上でステータスをask me(オレンジ)にしてイベント会場のインスタンスを開き、待機しておきましょう。

※DJイベント等準備に長い時間やリハーサルを要するイベントはより余裕を持って早めに集まっておく必要があります。

画像5

開催時刻までにスタッフをinviteして挨拶したり、参加者が入ってきた後の流れを軽くシミュレーションしたり、会場内のミラーやペンの位置やビデオプレイヤーの設定を確認したり(予めイベント開催当日までに下見しておくのがベストです)しましょう。

そして開催時刻を迎えたら、socialの状態をjoin me(青)かonline(緑)にして参加者を待ちます。


★イベント開催中

参加者がjoinしてきたら、とりあえず挨拶とイベント内容の説明をしましょう。

説明が終われば後は第3章のHow(流れ)で説明した「放任タイプ」「様子見タイプ」「つきっきりタイプ」に沿って参加者をリードします。

その際、個人的に大切だと考えていることは「参加者を過度に放置しない」「参加者を過度に束縛しない」の2つになります。

具体的に、「放任タイプ」は参加者に積極的に楽しむ姿勢、「つきっきりタイプ」は参加者に受け身で楽しんでもらう姿勢を求めますが、いずれも過度に突き詰めてしまうと、前者は人見知りさんや初見さんを、後者は双方向のやり取りを求める人を居心地の悪い気持ちにさせてしまいます。

実際にいくつかのイベントに参加していると実体験として分かるようになりますが、放任タイプorつきっきりタイプのどちらかに過度にふりきったイベントに参加した場合、極端な言い方をすれば前者の参加者は「自分なんか居なくてもいいや…」と、後者の参加者は「運営陣のエゴに付き合わされてダルいな…」という心境になります。

放任タイプやつきっきりタイプが悪いという意味では全くありませんが、どちらかのタイプで参加者をリードする予定の主催者はその点を意識しておくとより良いイベント運営になるかと思います。

ということで適度に参加者に構いつつ自由にさせつつ…といった流れでイベントを運営していきましょう。

また、イベント内の文化や雰囲気は主催や運営陣の振る舞いで概ね決まるので、特に横並び型イベントの場合は「参加者としてこんな感じで楽しんでほしいなぁ」という見本を自ら示していくことで自然と参加者もその通りの振る舞いで楽しんでくれるようになります。

理想的な参加者像を、まずは自分から演じていきましょう。

ゆめかわアバター集会の場合、「アバターを褒め合う」「写真を撮り合う」というコンセプトがあるため、joinしてきた参加者に対して改変ポイントを褒めたり感想を述べたり、写真を撮らせて頂いたりツーショットをお願いしたり、派生して改編の話や連想される作品の話をしたり…といった姿勢を主催者として心がけ交流した結果、参加者にも似たような形で他の参加者に交流してもらえるようになりとても平和なイベントにすることができました。

(別に私が運営しているメンヘラアバター集会の例ですが、イベント運営経験が浅かったこともありアバター集会であるにも関わらずメンヘラ風のロールプレイングに熱中してしまったり、メンヘラあるあるトークをしまくったりしてしまった結果、イベントのメインがアバターなのかメンヘラなのか分からなくなってしまった経緯があり少し反省をしています(笑)一度イベント内の文化や雰囲気が醸成されてしまうと簡単には覆せないのも特徴です)


★イベント終了時

結論から言えば

集合写真→主催挨拶&告知→閉会

という流れになります。

◎集合写真

いくつかのイベントに参加した方ならご経験があるかと思いますが、イベント終了時に参加者と共に1ヶ所に集まって集合写真を撮ることがあります。

これは単純に記念としての意味合いもありますし、共通の目的の元で共に時間を過ごしたという思い出を形に残すおめでたい幸せな営みでもあり、イベント終了後の報告ツイートや第2回開催のイベント告知に使用できる打算的な素材収集でもあります。

とにかく撮っておいて損は無いので、参加者に声をかけて撮ってもらいましょう。

そのまま流れで主催からの挨拶に繋げられるというメリットもあります。

画像6


素敵な集合写真が撮れましたね!

◎主催挨拶&告知

イベント会場内の参加者に対して一度に声をかけられる機会です。

私の場合は

①参加者・スタッフ・関係者への感謝

②次回イベントや所属イベント運営団体の告知

③スタッフ・関係者からの告知

という流れでやっています。

あまり長い時間ここで拘束してしまうのもせっかくのイベントの盛り上がりが冷めてしまうので、手短にかつ簡潔にお話しましょう。

◎閉会

簡潔に

「改めまして第n回○○集会でした!本日はご参加頂き誠にありがとうございました!後は自由解散になりま〜す!」

といった具合に簡潔に締めくくりましょう。

この閉会の一言を無事に言い終えられたなら、あなたも晴れてVRCイベンターの仲間入りです。

お疲れ様でした!

イベントが閉会することで、トークテーマや振る舞いがフリーになったり余韻が生まれたりすることから、案外イベント開催中よりイベント終了後からの方が参加者同士の交流が盛り上がることも多くあります。

その盛り上がりと共に、人生初のVRCイベント運営の達成感を存分に味わってみて下さい。

ちなみにイベント終了後は主催者としての責任から解放され肩の荷が下りるので、参加者と改めて腹を割って話せたり参加者の立場からイベントの余韻を楽しめたりします(笑)

人生初のVRC上でのイベント運営が成功に終われど失敗に終われど、きっとその経験はいろんな意味で思い出にも糧にも人生経験にもなることでしょう。


⑥アフターフォロー,第2回開催に向けて

第1回イベント運営を終えて、「第2回も開催したいな」という気持ちが芽生えてくるかと思います。

また、イベント運営直後はそう思わない方も、後々しばらく時間が経ってから「あのイベント楽しかったな…もう1回やろう」と思うこともあるかもしれません。

そうなった時のために、第1回イベントの振り返り及び第2回開催に向けた準備をしていきましょう。

…とは言っても、この2つは実は同義です。

第1回イベント開催の振り返りをすることは、そのまま第2回イベント開催への布石になります。

第1回イベント開催の振り返りとして

◎イベントにて撮影した集合写真をハッシュタグと共にツイート

画像16

※あくまで例です。

意外とよくあるのが、イベント終了後に集合写真をツイートすると「こんな面白い集会あったの!?知らなかった!行きたかった〜」といった形で第1回に参加できなかった方からのリアクションが返ってくることです。

また、第1回の告知時点ではあまり広がらなかったイベントも、参加者を集めた後では参加者からの口コミやRTがあるのでイベントの存在が開催前よりも増して周知されることがあります。

イベントはやりっ放しにして終えるのではなく、ハッシュタグを付け、参加者・スタッフ・関係者への感謝や集合写真・イベント中の様子を撮影した写真を添えてツイートすることで既存ファンのみならず新規ファンの獲得も狙えます。

楽しそうなイベントであることをアピールできるのは、真の意味で第1回イベントが終わってからと言えますね。

(予め集合写真撮影時の段階で参加者に写真を使用した告知ツイートの許可を取っておくとトラブル防止になります)

ハッシュタグの検索や自分のユーザーネームのエゴサで参加者によるイベントの感想ツイートを見つけ、拡散したり反応したりすることも第2回イベント開催へ繋がる1歩になります。

◎スタッフ・関係者への改めての挨拶・感謝

初めから終わりまで一人でやりきったイベントなら別ですが、基本的には関わった方にはきちんとお礼をしましょう。

感謝された側も「手伝って良かったな」という気持ちになり、また協力したいという考えになります。

◎イベント参加者への感想の聞き込み

主催者と参加者ではどうしてもイベントに対する見え方が異なりますので、主催の立場では思いもしなかったような改善点や課題が見つかることもよくあります。

イベント終了直後でもいいので、仲良くなった参加者さんにイベントの感想を聞いてみましょう。

メンヘラアバター集会を例にすると「仲良しグループが既にできていて話に混ざりづらかった」「初対面で相手のアバターを褒めるのは緊張する」「メンヘラアバターの定義が難しい」等々主催者側の立場から走りえなかった様々な意見を得ることができました。

全てに対して一つ一つ真摯に対応して解決する必要はありませんが、貴重な一つの意見として受けとめ、問題だと思うところはできるだけ改善していきましょう。

また、Twitter上においても検索の仕方によってはイベントに対しての強めな意見(お気持ち?)を目にすることもあります。

それはもういろんな意見を目にすることもありますが、自分の中で譲れない点と改善したい点をはっきりさせ、前者は揺らがず後者は柔軟に…とうまくやっていきましょう。

意見があるということは「より楽しいイベントになってもらいたい」「より過ごしやすいイベントになってほしい」という気持ちの表れでもあります(大抵の場合強めのお気持ちを書く人に限って実際にイベントに遊びに来ることはなく、何なら一度も参加されたことのないエアプ勢の方の場合が多いですが…)。

蔑ろにせず、かといって全部飲み込んで塞ぎ込むこともなく、繰り返しになりますがうまくやっていきましょう。

◎運営体制の増強

場合によりますが、もし満員御礼のイベントになって首が回らない経験をした場合、運営陣の人数を増やす必要があります。

インスタンスの人数が多くなればなるほどインスタンス内での挙動が重くなったり、参加者一人一人に目を向けることが難しくなったりと弊害が多くなりキャパオーバーを起こしてしまうからです。

キャパオーバーを起こせばまともに運営が出来なくなり、まともに運営が出来なくなれば参加者の不満が募り、参加者の不満が募れば主催が気負いしてまたキャパオーバーになり…と悪循環のループに入りますので、実際の運営のお手伝い係のみならずメンタルケア要員としてでもいいので頼れる人をできるだけ多く作っておきましょう。

無理して手に余る規模のイベントを一人で運営しようとすると、結果的に関係者皆が不幸になりかねませんので。


⑦その他注意点など【荒らし対策・イベント用Twitterアカウントの運営・失敗談・その他】

ここまで色々なイベント運営に関するノウハウを記述しましたが、第1章〜第6章までに書ききれなかった・該当しなかった物についてここでお話ししていきます。

★荒らし対策

VRChat上には他ユーザーのアバターのリッピング(盗む)や高負荷をかけることによるインスタンスの強制終了等を行う荒らしが存在します。

publicのインスタンスには経験上よく現れますが、主催や参加者とのフレンド周りしかjoinできないとはいえ、イベントのインスタンスも例外とは言いきれません。

荒らしの存在に対するお気持ちはさておき、とりあえず「イベント開催前」と「イベント開催中」の2つに分けた対策を記します。 

これから書くことには賛否両論あるかもしれませんが、イベント主催者として「イベント主催者はイベント参加者を安心して楽しませる責任がある」という考えの元に書かせて頂きます。

◎イベント開催前

Twitterや某大型ネット掲示板等で「VRC 荒らし」と検索すると、それらしきユーザーのハンドルネームが晒されていたりします(晒し行為自体もVRCの規約に接触するので何とも言えませんが)。

それらを鵜呑みにしろとは言いませんが、複数箇所からそのような情報が出現しており、しっかりとした裏が取れた場合、そういったユーザーを予めブロックしておくことが大切です。

また、イベント主催者の知り合いができた際は、ブラックリスト的な存在について直接聞いてみると良いでしょう。

その際荒らしのTwitterのアカウントを特定してブロックするようなことは、相手を刺激して火に油を注ぐような行為になってしまうので、あくまでブロックしていることがバレないVRC上のみでのブロックに留めましょう。

加えて、荒らしからfriend requestが来た際にうっかり承認してしまわぬよう、friend requestを送ってきたユーザー名をTwitterの検索欄に入れて検索し、どんな人物かを把握しておくことも有効な対策と言えます。

さらに、friendインスタンス(通称フレオン)でも技術次第で自分のフレンドでない人物がjoinできてしまうことがあり、それが荒らしであったりする可能性も充分有り得ます(実際に有りました)。

そうならないように、予めイベント告知の段階で「主催者(もしくは運営陣)とフレンドでない方が何らかの技術でjoinしてきた場合は、即座にkick致します」という一文をポスターや備考欄に付け加えておくと有効です。

Kickしたことを後でチクチク言われた際にこの一文(のみならず迷惑行為者に対するkick予告)があるのとないので大分変わります。

◎イベント開催中

上記の対策を施しても、荒らしが来るイベントを100%防げるとは言い切れません。

基本的に荒らしは複数人でjoinしてきます。

同一アバターで複数人で現れ明らかに参加者に暴言を吐いているタイプの荒らしは、"間違って言っちゃった"とかでなく明確な意志を持ってイベントを荒らしに来ているので一言理由を添えて即刻kickしましょう。

そういった荒らしの中には荒らし慣れしている人も多く、joinして真っ先に主催者やスタッフをブロックしてくることで自分の姿を隠し、運営陣から見えない形で周囲を荒らすという姑息な手段に出るケースもあります。

スクリーンショット (123)_LI

もし相手にブロックされた場合でも、落ち着いてquick menu(ユーザーにビームを当てると出てくるやつ)を開き、"Next"を地道に押していくことで主催者をブロックしているユーザーも見つけることができる仕様なので、quick menuから落ち着いてkickしましょう。

余力があれば、自分をブロックしているユーザーがインスタンス内にいないか定期的にquick menuから確認しても良いかと思われます。

ちなみに所謂kick投票は意思決定に時間がかかりすぎる他、他の参加者に不安や混乱を与えてしまうためスピード重視で対応する必要のある本件においてはあまりオススメできません。

また、荒らしと呼ぶには語弊がありますがちょっと空気を読むのが著しく苦手な人(ex:アバター集会に明らかに関係の無いアバターで来ている、会話の中ですぐ相手を否定し空気を悪くする、イベントとは著しく無関係な自分語りを延々とし続ける)もjoinしてきたりします。

故意的に荒らしている訳ではないため扱いが難しいところではありますが、一度注意をし、それでもダメなら丁寧に理由を説明した上で申し訳無さそうにkickしましょう。

いずれの場合にせよ、Kickすることで恨みを買うことを恐れてはいけません。

あくまで主催者であるあなたがルールですし、「イベント主催者はイベント参加者を安心して楽しませる責任がある」ということを忘れないで下さい。

なお、意外と荒らしも身近に居たりエゴサをしていたりするので、イベントを荒らされたからといってうかつにpublicでその旨を愚痴ったりTwitterで名指しで批判したりすると、荒らしグループに目をつけられてアバターをリッピングされたりTwitterアカウントを特定されたりして袋叩きに遭うこともある(経験談)ので基本的には黙って対処するのが一番になります。

イベンターには煽り耐性も必要です。

★Twitterにおけるイベント専用アカウントの作成

これはある程度の回数イベント運営を行ってイベントが人気になり、なおかつ自分個人用のTwitterアカウント上での告知が難しくなった(イベント目当ての人達にフォローされてうかつに変なツイートできなくなった、自分のツイートが多過ぎてすぐに告知ツイートがTLの彼方に消えて行く等)際に有効な手段です。

悲しいことに「イベントは好きだけど主催者のツイートは苦手なので見たくない…」みたいな事案は0ではありませんし、そういった理由でイベント参加の機会を逃されてしまうのはイベント主催者としてはそれ以上に悲しいことだと思います。

イベント用のTwitterアカウントを作成してしまえば、先述したイベントの告知だけは見逃したくない方へのフォローになりますし、その他複数個のイベントの一括した告知、純粋なイベント自体のブランディングや宣伝、参加者によるイベント終了後のハッシュタグ付ツイートの気兼ねないRT等イベントの告知関連の活動をより活発に行うことができます。

画像7

(私の運営するイベント告知用アカウント『Meg.(メグ)』の例です。サブカルアバター集会、メンヘラアバター集会、ゆめかわアバター集会、ゴシックアバター集会の告知をこのアカウントで一括で行っています)


★失敗談

せっかくここまでお読み頂いたので、あまり大きい声で言えないようなイベント経験上の失敗談を3つほどご紹介しようと思います(他言無用でお願いしますね…)

◎報連相不足によるworld製作者様&大型イベント運営団体との関係悪化

おおまかな流れは以下の通りです。

イベント会場として使用できるworldを探していた際、worldAを発見

→worldAの製作者であり大型イベントを運営する団体でもある某団体に連絡(ここで私としては単純に使用許可を取る目的で連絡したものの、相手方としてはイベントの告知や運営のお手伝いをする目的で連絡してきたと解釈し、ここで認識の齟齬が発生)

→後日イベント共演者と下見して話し合った結果、イベントのコンセプトに合わないとして使用するworldをworldBを変更(ここで私はworldAの製作者様にその旨の報告をしなかった)

→イベント終了後、worldAの製作者様から「イベントの件どうなりました?」と聞かれ、もうworldBで既に開催したことを告げたところ、私のイベントのためにworldAの改変作業やイベント運営団体の人員の確保・スケジュール調整等をして頂いていたらしく、その旨を微塵も知らなかった私は長文お気持ちDMを頂くことになる

○教訓

・報連相は些細な事でもきちんと行う

・報連相ができないのなら他者様に協力を仰ぐべきではない

・worldのイベント使用に逐一製作者様の許可を取る必要は無い(別件でも使用許可を取ったことがありますが、やはり第2章のWhere(場所)でお話しした通り製作者様に不要な負担やプレッシャーをかけてしまい、結果的に関係の悪化に繋がりました)

・イベント経験の浅いうちにVRC上において存在感のある人や団体にイベント運営の協力を仰ぐことは、未熟さや至らなさによって相手に迷惑をかけ、今後のイベント主催者としての活動やVRCそのものをやりづらくするリスクがある


◎攻め過ぎたイベント内容・タイトルでのイベント開催による炎上

おおまかな流れは以下の通りです。

Just(VRC上での性行為)に関する思い出話やエモい話を参加者と語り合いたいと思い「Justを語る」というコンセプトでイベントを企画

→インパクトや話題性を重視し「Just集会【Justを語る会】」というタイトルでイベントを告知

→攻め過ぎたイベントタイトルから「集団でJustするのか…???」という憶測を呼ぶ、Just自体がVRC上での利用規約の違反行為に接触するため「グレーゾーン行為をイベントにするとは何事だ」というお気持ちが飛び交う、それに対する「いいじゃんやっちゃえよ」等の反発がぶつかる、VRCに関する某ネット掲示板上のスレッドでJust集会が悪い意味で話題に上がる、Just集会に関する私のツイート一つ一つにFF外の鍵垢から常時5件ほど引用RTされる等々とんでもなく炎上する

→イベント当日も少なく見積っても50名以上もの参加者が殺到し、イベントとして破綻する

○教訓

・イベント名はイベントのコンセプトが明確に伝わるようなタイトルにする(Just集会の場合、Justに関する思い出話やエモい話をしたいという目的で開催しましたが、実際に来た方はJustの技術的な話をしに来た方やJust相手を探しに来た方、Justとは何か聞きに来た方等々コンセプトと大きく異なるタイプの参加者を多く集めてしまいました)

・イベントのコンセプトはVRCの規約に違反しないようなものにする、開催するにしてもイベント専用discordサーバー内での告知に留める等公の場に出ないように開催する

・多くの参加者が殺到することが予想される、多くの集客を見込んで告知をする場合、予めスタッフを集める等運営陣の増強をしておく


◎当事者と見学者を一緒くたに参加させたことによる当事者の居づらさ

おおまかな流れは以下の通りです。

Just集会を開いた際、「語る会」として開いたものの、参加条件を絞らなかったために「Justって何?聞きた〜い」という層も参加してくる

→聞き専の見学者としての参加者が多く、常に監視されているような状態で当事者と会話する場面が続く

→外部に吹聴される可能性や単純に話を聞かれているというプレッシャーもあり当事者は思っていることを話しづらく、主催者としても見学者の扱いがよく分からず微妙な空気が流れたり当たり障りの無い無難な交流に終わったりしてしまう

○教訓

・イベントのコンセプトに応じて、当事者と見学者は分けて配置するか、初めから参加者を当事者のみに限定する旨を告知文に記載する(個人的な比喩ですが、見学者の参加をOKするイベントは食べ専の参加をOKするお料理サークルのようなものなので、ちゃんと場所を分けないとメインコンテンツを楽しみに来た当事者の参加者達の邪魔になります)

・"当事者になりたい人"と見学者との区別をつけ、前者にはできる限り初めは主催・運営陣から声をかけてあげる(完全に受け身な見学者は別として、"当事者になりたい"という目的で来ている非当事者の参加者もいらっしゃいます。その場合はまず運営陣が話を聞いたり質問に答えたりしてあげて、興味を持った別の当事者の参加者が居ればそちらに繋ぐのがベターだと思います。初めから非当事者の参加者→当事者の参加者という流れを踏むと当事者の参加者はどうしてもボランティア的な質疑応答タイムにならざるを得ず、イベントを楽しみにくいです)


これらの失敗談を読まれた方の中には「そんなこともわからなかったのかお前は…」と私に対して憤りや呆れを感じた方も居らっしゃるかと思います。

語弊のある言い方をしますが、私はどう思われても良いのですが、これらの失敗談をお読みになった皆様にはぜひ私を反面教師として私と同じ失敗をしないようにして頂ければ幸いです。

『できるだけ敵を作らないようにする』

VRCにおいてイベント運営を長く続けるための秘訣の1つです。


★その他

◎無言勢が参加した時のことを考えておこう

→無言勢の参加者に考慮し、トーク系イベントやアバター集会等コミュニケーションが核となるイベントにおいてはペンのあるworldを会場として選択・作成すると良いでしょう。

どうしても無言勢だと楽しむのが難しいイベントの場合は、初めから「無言勢の方はごめんなさい!」等告知文に一言書いておくのお互いのためになります。

◎使用するworldに使われているオブジェクトの版権に気をつけよう

→これはどういうことかというと、イベントの様子や集合写真等を撮影してツイートする際、極端な話違法なペデスタル(有料販売しているアバターを規約に反して無料で配布している)や版権物(某アニメや某マンガ、某ゲームのキャラクター)が映り込んでいると場合によっては良くない事態が起こる可能性があるからです。

そういった事例は私の知る限りでは聞いたことがありませんが、イベントのイメージを下げることにも繋がりかねないので念の為その辺も気をつけておくことをオススメします。

◎ネット回線は出来るだけ早くて強いものを使おう

→主催者や運営陣が度々落ちたりフリーズしたりしてしまうと、参加者に不安を与えたりイベントの運営に支障が出る。

◎マイクの状態や声の大きさ、トーン、話す速さには気を付けよう

→主催者としてなるべく存在感を出しつつ、失礼のないようにしましょう。

◎挨拶は大事

→これ本当に大事。言葉で理解するよりも経験として理解するのが理想です。

…等々。

「他にもあるやろがい!」という方はDMにて教えて頂ければ幸いです。


⑧未来への展望(イベントのコラボ,協賛開催等)

ある程度イベント運営に慣れてきたら、他のイベンターやクリエイターに声をかけてイベントのコラボ・協賛開催を行ってみても良いでしょう。

新たな化学反応や交流・チャンスが生まれるかもしれません。

お互いに同一インスタンスでイベント開始時刻まで待機するというケースの場合、単純にイベント開催時のjoin先が増え参加者も増えるというだけでなく、お互いのフレンド同士の交流も新たに生まれるのでより多くの人に出会い新たなアイデアや知見を得ることも可能です。

イベントの規模は大きくなればなるほど責任も大きくなってきますが、その分幸せに出来る人数や与える幸せの大きさ自体も大きくなると信じています。

第1章でもお話しましたが、何度もイベント運営を行っていくうちに目をつけて協力してくれるようになる人が必ず現れます。

あなたが何を目指してどこに向かっているかはわかりませんが、とりあえずその差し伸べられた手を取ってみてください。

いつか必ず、自分にとっても相手にとっても「手を取って良かったな」と思える日が来ます。

初めから多くの人を巻き込んだイベントを行うのは(VRC外でのイベント開催経験が豊富である場合は別ですが)熟練度や視野の問題から難しいですが、自分が今手を広げられる範囲での目の前の事一つ一つにコツコツ取り組んでいけば自然と手に負えるイベントの範囲も大きくなっていきます。 

焦らず競わず、自分のペースで楽しくやっていきましょう。


⑨終わりに

イベント運営を雑に説明すれば

①イベントカレンダーに登録

②時間になったらインスタンスを開く

の2つで十分なのですが、そこまでに至るまでの過程やその2つ自体、2つをやり終えた後にも様々な奥深いノウハウがあります。

イベント運営のノウハウに関する私の知っていることは全て当noteに書き尽くしたつもりでいるので、これを読み終えたあなたはスタートラインどころか私と同じラインに立っています(もしかしたら書き忘れたことがあるかもしれないけれど…)。

あとは、実際にやってみるだけです。

あなたの胸の中にあるVRC上のイベントにおいて実現したいこと、叶えたいことを全力で応援致します。

いずれ壁にぶち当たったり転んだりしたりバッシングを受けたりすることもあるかと思いますが、それはあなたが前に進んでいるからです。

何もしないで「面倒だから…」「やり方がわからないから…」と諦めてしまうのは本当に勿体無いですし、後者の言い訳を潰すためにこのnoteを作成したつもりではいるので、繰り返しになりますがわからないことがあれば本当に気軽に私のTwitterアカウントまで連絡頂ければ対応致します。

これを読み終わった方がどんなイベントを開いてどのようにVRCのイベント文化を盛り上げどんな世界を作り上げていくのかがとても楽しみです。

個人的に好きなバンド「Acid Black Cherry」の好きな曲「20+∞Century Boys」の歌詞

「夢を持たない事より夢のために泣いて傷つく方がイイって…そう思うんだよ」

を引用(隙あらば推し語り)してVRCイベント運営論を締めくくりたいと思います。

お読み頂き誠にありがとうございました。

JUST DO IT!


当記事の作成に伴い、note『VRChatイベントの傾向2018-2021』の紹介を承諾して頂きましたLAMBsun様(@LAMBsunsun)、VRChatイベントカレンダーの紹介を承諾して頂きましたカッコウ様(@nest_cuckoo_)、その他執筆を応援してくださった皆様に心から感謝申し上げます。

やぐりゅー


#VRC #VRChat #メタバース #Metaverse #oculus #Meta #イベント #運営 #VRCイベント #VRChatイベント











➉編集後記

※ここから先はイベント運営にある程度慣れた人達向けのイベント運営文化に対するお気持ち文のようなものになりますので、読むことで記事の読後感・後味が大きく変わります。イベント運営初心者の方はその情熱が冷めぬよう、即座に今ここでページを閉じて早速第1回イベント開催に向けた準備を始めることを強くオススメします。JUST DO IT。

※ここから先は読まなくても大してイベント運営に支障の無いものになります。もし当noteを読んで気に入って頂けた方は、チップ的なノリでご購読頂けましたら幸いです。


















(以下の文章は元々有料ノートであった当noteの無料公開(2022/3/13)以前に書いたものです。)


当記事の作成に当たり、本記事冒頭でも書きましたが、「インターネット上においてVRC上でのイベント運営の手法を記したサイトや記事が私の知る限りどこにも存在しない」というのが作成の一番の理由です。

有料にした理由は本記事冒頭で書いたものの他に、「金銭の発生する所に責任が生まれるのならば、責任が生まれる所に金銭が発生してもいいのではないか」という閃きです。

どういうことかというと、例えばアバターやそれらの衣装等の製作者は金銭を頂く代わりにそれに見合うだけの商品を購入者に提供します。

一方、ワールド製作者やイベンターは、あらゆる方面からバッシングを受けたり責任を求められたりしている(ワールドなら某日本人向け集会所や某room、イベントなら荒らし発生時の参加者の保護や運営方針に対する外部からの意見やお気持ち文が良い例)にも関わらず、その実利的な見返りが何もありません。

初めから見返りを求めてワールド作成&VRCへのアップロードやイベント運営をしている人は恐らくほとんどいらっしゃらないかと思いますが、経験者なら(どうしてこんなに利用者や参加者、その他外部から辛い思いをさせられながら苦労しているのだろう)と考えたことがあるかと思います。

その結果、せっかくアップロードして長い間愛されていたワールドがある日突然削除されたり、素敵なイベントが突如終わりを迎えたりしてしまうのです。

責任に対しての見返りが他者からの承認や感謝の言葉だけでは限界があると考えます。

人間は良い記憶よりも悪い記憶に、幸福よりも不幸に目が行くという傾向があるという何かの研究データを見かけたことがあります。

一言の「ありがとう」と一言の「やめちまえ」、どちらが心に刺さるでしょうか。

「辛くて苦しくて辞めたくなった時、責任を負わされていることに対する実利的な見返りがあれば、そういった人々が踏みとどまれたのかもしれない」という考えが芽生えたのは、実際に私が同じような思いになったときです。

少し話を脱線させますが、現在私は新卒一年目の社会人として働いています。

金銭的にはとても恵まれ福利厚生も厚い状態で仕事をしていますが、基本的にやりがいもなければ感謝されることもなく、人の役に立っている実感も持てないためいつ辞めようか毎日考えてながら生きています。

それでも時々、社内の上司に感謝をされたりすると、あと少しだけ頑張ってみようかなという気持ちになります。

話を戻しますが、人間は(少なくとも私は)責任の伴う行動において、実利的な見返りと精神的な見返りの両方があってはじめて頑張れる、責任を果たせるものだと考えます。

VRC上において大型イベントや人気イベントを運営している友人(敢えてそう呼びますね)は、大抵疲弊しています。

何なら私も、時々今運営しているイベントをすべて放棄して投げ出したくなります。

それでもそうしないのは何故でしょう。

それは「参加者が自分の主催するイベントを楽しみに、何なら生き甲斐にして遊びに来てくれる」という事実を知っていて、同時にそれに対して報いなければならないという責任感が芽生えるからです。

責任を果たすということはプレッシャーのあることで、とてもやりがいや感謝だけではやっていけませんし、やっていけるのは本当に一部の聖人君主ぐらいだと思います。

少なくとも私は聖人君主にはなれないし、聖人君主風に見えるあの人も裏でとても苦労しているのを知っています。

そんなイベンターの皆様(できればワールド製作者様にも)に対して「何とかして実利的な見返りが生まれるようなシステムや手段を提示できないか?」「何とかしてリターンを得られるような文化の第一歩を作れないか?」という思いで当有料noteを製作するという試みに至りました。

Amazonのほしいものリストを開示するという方法もありますが、どうしてもいきなり口を開けて見返り頂戴ポーズになってしまう印象があり個人的には抵抗感があったので、あくまで「約半年間のイベント運営で培ったノウハウを体系化して提供する代わりに見返りを頂く」という体裁を取りました。

有料部分ということで公にならない部分なので言ってしまいますが、当noteを製作していることを公表した際に「趣味でやっているくせに金稼ごうとか大丈夫か?」「金稼げるような大したことしてないだろ」という意見を頂くこともありましたが、同じことをアバター等の製作者とか駆け出しのイラストレーターにも平気で言うのでしょうかね、そう思うのはあなたが大した責任感もなくfriend+で当事者も非当事者もイベント中と知ってjoinしてきた人もそうでない人も一緒くたにして荒らし対策もせずイベント運営してるからじゃないですかねと言いたくなる気持ちになりました(ここお気持ちポイント)。

まあここ読んだ人の一部も「クリエイターへのコンプレックスすごいですね~笑」とか曲解してそうで怖いですけどね…メンヘラ特有の被害妄想が止まりません。

とまあ蛇足&駄文を付け足してしまいましたが、今回私が本noteを執筆した理由については十分に説明できたと思いますし、同時にここに記されている通りに行動すれば誰でもイベント運営ができるような完成度になったと自負しております(この一文を無料部分に書いてしまうとそれこそ「この情報商材屋め」「メタバース便乗したビジネスマンがよ」とか叩かれそうなので怖い生きづらい世知辛いのじゃ~って感じ)。

他人様に直接迷惑かけてる訳じゃないんだからもう少し色々ゆるくてもいいと思うんですけどね。

メタバースも結局相互監視下におかれて委縮しながら摩耗していくリアルと大差ないのかも…ぴえん。

それはさておき、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

感想文でもお気持ち文でも自由にお書き頂ければと思います。

メタバース内の第三次産業にも日に日にスポットライトや市民権が得られますように…。

それでは、またどこかで。

やぐりゅー





少しでも役に立った・タメになった方、今後の私の執筆活動及びVRChat上での活動を応援したい方は何卒サポートよろしくお願いいたします! 頂いたお気持ちはイベント運営に伴うWorldやアバターの購入・改変費用、必要なソフト・アプリケーションの購入等に役立てます。