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秋に立つ瀬

青空の下
ベンチに腰掛けて語り合う
将来のこと

どんな夢を持ち
その具現化のため
どれほどの努力をすればいいのか
といった内容のあるものではなく
漠然とした将来に不安を感じた末の
なんともなしな話を
つまりは逃避行動を
君は行っていた

そんな君に僕ができることと言えば
ただ相槌をうつのみで
逆の立場に立って考えもせず
空っぽの頭はやはり空っぽで
思考は停滞していた

時たま
心地よい風が吹く

二人の間をすり抜けた風が
雑踏に消えていく

君は空を見上げたまま
ぽつりと
何かを呟いた

何を言ったのか聞きとれなかった僕は
聞き返そうと君を見る

横には
僕の知らない君の顔があり
とても眩しく見えた

何も起こらない
ゆるやかに流れる時の中で
僕に迫る分岐点が
そこにはあった

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