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見たい

転身の果てに
見つけた場所は焼け野原

ここに住むのかと問えば
誰も答えず
焦げ付いた匂いをまとった風と
カラスの鳴き声が
ここぞとばかりに啼きたてる

泣けばよい
風と共に
カラスと共に

疲れ果て
その場から動けず
顔を上げることもままならず
重い瞼を上げては閉じてを繰り替えす

そうしてそれすら面倒になった後
見えるのは一面の花畑
聞こえるは川のせせらぎ
凪いで包み込むような風の音

一歩踏み出そうとするその時に
思い出す
既視感
それに気づいたとき
一面の花畑は腐り落ち
元の姿に戻る

また気づいてしまったと
後悔しても始まらず
後悔しきる気力すらない現状では
気づかないことが一番の幸せであり
気づいてしまうことが
地獄への一歩を踏み出すことと
気づいてしまってはもう遅い

そうして転身する
焼け野原からの脱却を目指し
転身しては絶望し
転身しては涙を呑んで
繰り返し繰り返し
その行動に
意味を持たせようとも意味などなく
ただ転身し打ち砕かれて
その先に何があるのかも見えず
ひたすらに繰り返す

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