2024/04/27 無責任かもしれない3つの考え

はじめに

 連続投稿27日目です。タイトルだけでは何が言いたいのかわからないかもしれないので、下にリンクを貼る昨日の記事の続きであることを示しておきます:

タイトル通り「無責任かもしれない3つの考え」について、もっと具体的には「こういうのは無視したい」と思う問題の特徴について3つ説明したと思います。



① いたずらな難問=解説する必要がない

 難問対策とは「諦める」か「自力で何とかする」かの二択

 「入試問題は無駄に複雑なだけで、役にも立たないことへの過剰な訓練を要求している」と勘違いしている方をよく見ます。ひどい場合は「学校の勉強なんてのは役に立たない」と大きい主語を持ち出す人もいますね。いつまでたっても古典は世間の嫌われ者であり、政治家は三角関数を否定しておけば主張が通ると勘違いしています。入試問題に対する批判の90%は、ただ単に勉強が上手くできなかった人の逆恨みに過ぎません。

 しかし、そういう多数の愚痴の中にもごくまれに、東大理三や京大医学部をお受けになる、非常に優秀な方による御提言が混じっている場合もあります。念のため補足しておきますが、東大の中でも理科三類(実質的にはほぼ医学部)、京大の中でも医学部医学科の入試難易度は別格で、東大京大の他の学部学科なら余裕で合格できる点数を取っていても、これらだけには届いていない、なんていうことがザラにあります。他の学科を受けていながら「理科三類の合格点も超えている」ということをステータスにしている人がたまにいるくらいです。そういうところに合格しようと思えば、普通の東大生京大生が頭を悩ませるような難問もクリアしなければなりませんので、過剰な訓練が求められている、という彼らの指摘はごもっともではあります。

 それでも私は、そういう「正論」に対して「そんな難しい大学を受けるのが悪い」という「暴論」を投げようと思います。第一、そもそも東大理三や京大医学部への進学は医者になるための単なる手段の一つに過ぎません。受験への過剰な訓練をやりたくないなら他の大学に進学すればいいだけの話であって、難しい問題をいとも簡単にこなす人だけが理三や京医に行けばいいのです。我らがジェイラボ所長の動画のリンクも貼っておきましょう:

 例えば、大学院に入るためにも入試がありますが、そのための訓練をサポートする機関は必要でしょうか。どうやら存在はしているようですが、大きな市場を形成するほどではありません。こういう類のものがあまり蔓延っていないのは、需要が少なく商業的な見込みがないこともそうですが「そんなものが必要な人は行かなくていい」という共通了解があるからではないでしょうか。すべての大学に丁寧な赤本が用意されているわけでないのも同じ理由です。基本的な知識・技術・姿勢が身についていれば合格点は取れるはずだ、と考えているからこそ、それ以上の余計な干渉を誰もしないのです。「すべてが対策されるべきであり、すべてに対策ができるはずだ」と考えるのは大きな間違いです。

 また、高校生が数学を勉強する目的を受験に限らなくとも、身の丈に応じてできる範囲で手を動かすことが最重要課題であると考えていますので、多くの子の身の丈から外れるような問題には興味がありません。そういうのは好きな人がやればいいと思います。

 

②まともでないと感じる問題=批判したい

 先ほど述べた単なる僕の理想論とは異なり、実際には「なんでこんなのを出すんだろう」と思わざるを得ないような悪問もたびたび出題されます。同志社大学の問題を解説したときに1問だけ気になる問題がありましたが、あれは高校数学の慣習に沿うかぎりはおかしいとも言い切れません(第1問の⑷です)。

ここでいう「まともでない」とは、

  • 重箱の隅をつつくような些末な知識を問う問題。

  • 大学以降の学習内容を知っていることで有利になってしまう問題(先のことを知っているのは悪いことではないとは思う)。

  • 想定される母集団のレベルに比して難度が適切でなさすぎる問題。

  • 「そんなことを聞いてどうするのか?」という問題。

  • 不備がある問題(いわゆる出題ミス)。

等のことをいいます。大学教授たちが入試問題の作成に大量の時間を投下するわけにもいかないので、良問ばかりで構成しろというのは無理な話だというのもわかっています。そういう事情を踏まえたとしても看過できない変な問題というのがたまにあるので、それは指摘してみたいということですね。

③私立大学や単科医科大学の問題=食わず嫌い

 先に謝っておきます。これは単なる僕の偏見です。私自身、私立大学の入試を受けたことが一度もなく、昔バイトで塾講師をしていたときに教え子の志望大学の入試問題に目を通したくらいの経験しかありません。そのときには「変な問題を出すなぁ」とか「記述式を課さないのはどうなのかなぁ」とか思っていたのですが、それから5年近く経っているので、せっかくですから心境に変化がないかを確かめてみたいと思っています。嫌になったら理由をつけてサボるかもしれませんが…

 一応念のために補足しておくと、AO入試・指定校推薦といった受験制度や、5教科7科目を経ることなく合格できる大学一般をバカにしているわけではありません。先ほども言ったように、避けられる苦労を避けることは何も悪いことではないですし「受験を経ていない=勉強していない」というわけではありません。何より入ってから一生懸命やりたいことをやればいいと思います。

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