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今一度「治療費単価」って誰のためのものか考えてみる

ネットを徘徊していますと、たまにこういったところは実態とそぐわない医療従事者サイドの考え方だよな・・・という文言に遭遇したりもします。

皆さんにとってみれば、交通事故の患者さんを扱うということは、保険会社との対応がそれなりに厄介であるというような認識は、共通であると思われます。


「厄介な対応をしているのであるならば、自由診療で高単価なのは当然だろう」・・・そんな医療従事者の考え方が伝わってそうではありますが、何度も出していることではありますが、交通事故損害賠償である交通事故の治療・施術の料金においては、そういった医療従事者向けの感覚で設定しているわけではありません。

しかしながら、なぜそのような設定になっているか?これを説明せずに自由診療というところだけが一人歩きをしていることから、「交通事故の取り扱いはこういったものであろう」という、根拠が曖昧なままの対応方法がデフォルトになってしまっているというのが実情であります。

そういった中、今回取り上げたいと思うのが
『保険会社から料金の提示されたとしても、一切NGとして受け付けず、こちらの方で料金を請求する』
といった文言があったので今回の記事にしたいと思います。

①そもそもの料金の考え方と「日医基準」「目安料金」をもう一回復習してみる

②採用しないとどうなる?

③最終的にそのツケは当然ながら・・・


の3点でお送りします。


①そもそもの料金の考え方と「日医基準」「目安料金」をもう一回復習してみる


何度もこのマガジンでもお伝えしておりますが、日医基準や目安料金を設定しているのは、独占禁止法の回避です。

これはものすごく簡単に説明すれば、立場的優位な人間が一方的に料金を決めることはできないという公平性を維持するための法律になるわけですが・・・
損害賠償において支払う側が「払って欲しければこっちの言うことを聞け」といった独占状態にならないために、この点を回避しなくてはならないからです。

「そんなこと言ったって保険会社は、威圧的にいろんなことをやってくるじゃないか!」

そんな声が聞こえてきそうですが、彼らもバカではないので、それに抵触しない、かつほかの制度や法律にも問題がない形のギリギリを突いてくるわけです。

それで今の交通事故損害賠償は、枠決めをすることができないので「自由診療」という形を選択せざるを得ないわけです。

ただし、その自由診療という言葉を受け止めた医療従事者が、医療従事者側の自由によって色々決められると、解釈を間違えているケースもあって高単価な請求が一人歩きしているのが実情です。

そうなると、保険会社との示談・・・の場を超えて、司法判断によって解決しようとした時に、裁判官から
「なんでこんなに治療費かかっているの?健康保険と比べても、かなり高額じゃね?ちょっとそんなの公序良俗から逸脱しているから、認められないから目安は決めようよ・・・」
これが「日医基準」「目安料金」の始まりな訳です。

で、これを基準として逸脱していれば、余程の理由がない限りは基準を逸脱していれば認められないとして請求が棄却されるわけです。

示談の場と言っても、保険会社の対応としては後々にそれが裁判に移行したとして、問題なく同様の対応をする・・・といった趣旨でやっておりますので、これもやはり目安基準を準拠するわけです。

当然ながら、自賠責保険を管轄する自賠責損害調査事務所も、まったくもって同じ考え方になります。

②採用しないとどうなる?

さてここから先が問題になってくるわけです。

「そんなことは知ったことか!俺がこの料金と言ったらこの料金なんだ!!」
といったような趣旨で医療従事者が、目安基準を受け付けずに、自分のところの料金が正しいとしてそれを上回る金額で請求したとします。

請求する前に最初の電話で、任意一括請求の協定を結ぶ際に、目安基準のことは保険会社担当も当然ながらしてくるはずなんです。

その際に・・・


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