患者に「お待たせしました」と言うのは媚び?コミュニケーションと言い回しから考える
SNSを徘徊していますと目にした投稿
『患者に対してお待たせしましたなんて一度も言ったことない。予約なしの初診で、その日のうちにいきなり10年以上専門医やってる奴に診てもらえる国なんか他にないからそんなことで患者に媚び売らないよ。嫌なら他に行け』
ほうほうほう・・・なるほど、この投稿は30万件以上の表示になっており、医療者・非医療者が入り乱れての燃え上がりになっていました。
正直なところ、Xではありますがブルーバッジの方でいらっしゃいますので、燃え上がればも上がるほどこ方への収益となります(笑)
それはそれとして、患者さんに対しての「一言の声掛け」これに関して考えられることを、今回解説してみたいと思います。
①前提としての「お待たせしました」などのコミュニケーション
②医療従事者側と患者側の、イロイロな温度差を考える
③交通事故患者の場合における「お待たせしました」を考える
の3つで解説していきます。
①前提としての「お待たせしました」などのコミュニケーション
ツイ主は医師です。専門医でもあり、世界の実情から考えても専門家の診察を受けれるのは日本ぐらいなので、そこまで医療はしてやってるんだから、なんでわざわざこっちが諂う(へつらう)必要があるんだ?という点でこびないという風に表現されているのだと思います。
これは確かに事実であって、カナダに住んでいる親戚などに聞いても、専門医の診察などに至る場合は、1ヶ月近くはザラ・・・そして日本のような国民皆保険制度でもないので、莫大な費用がかかるのに、少しの負担で受診できる・・・なのに待たされたぐらいでグダグダ言ってんじゃねぇよっていうのが、趣旨かもしれません。
同じ医師からの投稿からも、同調する場合もあったり、たしなめたりするような内容も見ることができます。
これを見た多くの人は、本来出るべき結論はもう頭の中でわかっていると思います・・・
そう、あくまで人間関係を円滑にするコミュニケーションの一つでしかないのです。
それを炎上するためが目的なのか?仕事中にむかつくことがあったのか?
・・・真実は存じ上げませんが、ホンネの部分の吐露であるならばいざ知らず、本気でそのようなことを考えているのであるならば、どうぞ実名で宣言されるべきだと私は思います。
ここまでは、皆さんもすぐに思う事ですよね。
さて、投稿の中で一番のポイントは「媚び」。
「お待たせしました」が媚びというのであれば、逆に非常に楽なんですよね・・・コミュニケーションとしては。
そもそも論ですが・・・挨拶ってなぜするか?
最近は会社内でも挨拶ができない新人がいるというZ世代の問題が、取りざたされていました。
挨拶はコミュニケーションの基本中の基本であり、その中に含まれているのは「私はあなたの敵ではありませんよ」という意思表示を双方に行うためのツールでもあるわけです。
医療従事者は専門家でもあって、一般人ができないことを相当の時間と費用を費やして出来るようになっているわけで・・・こっちがいないと国民生活が困るんだから・・・というのは重々わかります。
ですが根本から言えば、人間と人間のお付き合いですので、機械を相手にするのであるならば挨拶はいらないでしょう。
ちょっと気になって調べたんですよ・・・「媚び」って。
媚び:人に気に入られるために「なまめかしい」態度や行動を取ること
艶めかしい:1姿やしぐさが色っぽい。あだっぽい。 清新でみずみずしい。若々しい。 優雅で気品がある。
というか・・・「お待たせしました」に媚びの要素を入れるのって、通常の臨床現場では考えられないですね(笑)
昨今では予約をしたとしてもその時間に診察を受けれるとは限らない・・・予約システムそのものが、世間一般と医療では違うことは、だいぶ知れ渡っています。
そもそも医療の場合だと実情的に、定型的に事を済ませることができないのが前提ですから予約しても時間がズレることは仕方がないことです。
私自身も予約という形で診察を受けることがありますが・・・この時間に受けられると踏んで訪院しているわけではありません。
これ子供が病気になった時などでの経験でわかってくることですが・・・いつになるかわからない形で早めに行くよりも、予約の時間以降に診察・治療・施術を受けられることが分かっているのであれば、無駄に早く行く必要がないという恩恵があります。
ある投稿にも「その時間に診察を受けれる体制を取っておいて下さい」これも理解できることです。
ですが世の中にはその一般とは違う前提を理解できないモンスターもおられるわけで・・そういった方々のクレームなどが大変になって、通常の業務に支障をきたす・・・というのも理解できます。
ですが、サービス業の経験のある私からすれば、医療従事者の場合はある程度のイニシアティブが取れるわけであって、サービス業に比べれば処理しやすいんですよね医療従事者のクレーム対応。
ですがそういった事へのノウハウの構築が非常に弱いという印象です。
医療従事者は、医療だけやってればいい・・・というわけではないことの典型でもあるわけです。
今回の「お待たせしました」は・・・媚びという領域ではなくて、本気で考えなくてもいいから「ただの儀式」でもいいので、一言発しておけば、業務の支障につながる予期せぬトラブルを回避することができるだけです。
そもそも日本人の感覚として、医療従事者と患者側には非、いろんな事で常に大きな温度差があるわけで・・・(それは②でも書きます)ある程度そこの部分を「壁」とし、それを取っ払った方が正確な治療・施術に至ることは間違いありません。
よく「患者が情報を隠していたために正しく診察ができなかった」という愚痴を見ることはありますけれども・・・
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