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弁護士特約にも動きが出てきた?知られていない事を含めて考えてみる

事あるごとに出てくる弁護士特約でありますが・・・知られていそうで、なかなか知られてないこともある特約であります。

自動車保険に付帯されるようになったのは、意外に歴史は浅く、資料を読んでいくと概ね2000年代に入って販売が開始されました。

私が保険屋さんになったのが2002年ですので、ほぼほぼ同期とも言えますが・・・当時は保険を募集する保険屋さんの中でも、そこまで重要視されていなかった・・・という印象です。

そもそもの開発背景は、日弁連との協定にあります。

大元をたどっていくと、開発された大元は弁護士法72条:非弁行為の禁止です。

今であるならば示談交渉は当たり前ですが、日本の法律的に、弁護士以外の他人が損害賠償の交渉を行うことは弁護士法的にできません。

しかしながらあまりにも交通事故件数が多くなったがゆえに、損害保険協会と日弁連の方で協定を結び、双方に過失がある・・・そういった事案であるならば、保険会社が代理として示談交渉サービスを行う・・・これが認められるようになりました。

しかし問題は、両方に過失が多少なりともあればいいんですが、被害者の過失が0の場合、自分の保険会社はこの協定の範囲を超えるために示談サービスを行うことができません。

それだと百戦錬磨の保険会社に、言いくるめられていいようにされてしまう・・・といったことを公平にするために、追加特約として弁護士特約が生まれました。

ざっくり言うと
1・弁護士費用として300万円まで
2・法律相談費用として10万円まで
となっており、会社によっては2は1の一部で合計300万円だったり、300万円+αだったりもします。

私は交通事故の実態をよく知っておりましたので、自分自身の保険のお客様に対しては「弁護士特約はぜひ付帯ください。

自動車保険はそもそもが未完成な状態を、特約をつけることで完成に近づける性質があります。

弁護士特約もその一つで「なにか事故をもらったとき私は当然ながら保険会社も対応できません。そのため弁護士の特約ですので。」とこれはお願いに近い形でつけてもらっていましたので、付帯率は私の顧客の場合100%です。

さてそんな弁護士特約も、最初はそこまで付帯率も高い商品ではありませんでした。

時期が経過して行くと、少しずつ分母は広がっていき、当然ながら使われる分子の方も増えていきます。

世間にも弁護士を使って代理人として交渉してもらうということがそこまでハードルが大きくならなくなった・・・という社会的な事情もあって、当然ながら私が当初より見当をつけていた事態に展開して行きます。


①保険会社も対応が厳しくなってきている弁護士特約
②弁護士にとっても優しくない?弁護士特約
③「弁護士特約を使って対応できます」・・・と言ってグレー使用をほのめかす○○○○にご注意を!

の3本で説明します。


①保険会社も対応が厳しくなってきている弁護士特約

正直申し上げればこの弁護士特約・・・2010年ごろまでは、支払いに関しても結構ザルな状態でした。

正直なところ事例がどんどん増えていけば増えていくほど、対応が細かくなっていったり、パターン学習をして行く・・・これが損害保険の実態でもあります。

請求する数が増えれば増えるほど、いろんな状況を把握し「これはよくよく考えたら約款的にも黒に近いグレーだよね・・・」そういった事例が頻回して行くのです。


1・明細があやふやで費用ばかりをとにかく上限値まで請求しようとしてくるパターン
2・弁護士特約の範囲かどうかグレーではあるが「俺もとりあえず使えるだろう」そしてこれも上限値まで請求しようとしてくるパターン


1:弁護士にも報酬の規定が昔はありました・・・日弁連基準というやつです。
ところが現在では弁護士の報酬は自由化されています。
その自由化でもって「請求の詳細を保険会社にとやかく言われる筋合いはない」という過激な思想を持っている弁護士も登場・・・正直この発言私目の前で聞いてるんですよね・・・
法曹だからといってなんでも許されるというような解釈が違うんじゃないのかな?
とその時、面前の弁護士に対して心の中で思いっきり軽蔑していました。

なのでなんだかんだ理由を付けて、請求総額を上げていく例が頻発したのです。

そうなってくると統計学をとっている保険会社としても、損害率というかたちで保険料に対して支払った保険金の金額で持って出す成績は、当然ながら悪くなってくるわけです。

2:法律相談費用においては司法書士や行政書士も使うことができます。

実は昔はここの垣根があいまいだったため(現在弁護士以外は法律相談費用しか請求することができません)行政書士においても示談に近い形で交渉を行ない・・・
要は交通事故なんですけれどもね・・・
私が聞いたところで、後遺障害の獲得までフォローして、かなりグレーな領域まで踏み込んでいき、請求された報酬額が140万円という、ツワモノの行政書士もいました。

こういったことが頻回に繰り返されていれば、当然ながら財布の紐を締めてくる保険会社ですので、どんどん締め付け理由も明確になっていきます。

保険会社は、打ち出の小づちでもなんでもないですからね。
あれ・・・?どっかで聞いた話ですね。
まるで「交通事故はボーナスだ」としてかきいれる、一部の方々にそっくりで・・・(以下自粛)

そんなこんなで、使える範囲は狭め、保険料を改訂することで保険会社もこの機能を維持することを考え始めました。

はたから見ると非常に賎しく見えるんですけれども・・・結局そういったことはしっぺ返しとなって、多くの人間が保険料という形で支払い、先に請求してウハウハになっていた人間の利益が・・・なんとも、儲けたモン勝ちって感じで私は嫌で仕方有りません。

ちなみにこの10月からの自動車保険改定もあり、弁護士特約も対象に入っている会社があります。
需要も大きくなっているということもありますが、支払う金額も増えているというのが実態のようです。


②弁護士にとっても優しくない?弁護士特約

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