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緊急無料開放投稿:福岡での行政書士と柔道整復師の逮捕事件は業界の潮目である

ほかの記事を作っていたんですけれども、私が以前より指摘していた事項を唱えていた行政書士が、柔道整復師と共に逮捕されたというニュースが飛び込んで参りました。

既に全国ニュースとなっておりますけれども、ニュースの記事内容からして気になる点と、解説をするべく今回の原稿を差し替えております。

※今回ばかりは事態と内容が深刻ですので、半年に一度あるかないかの「制限なし」投稿とさせていただきます点は、有料会員の皆様には大変恐縮ですがご容赦のほどお願い申し上げます。



報道機関によって多少の報道内容が変わっておりますので、できる限り今回の事件をまとめた上で、私の方で意見とタレコミでわかってきたことを申し上げます。

まずは「KBC」と「FBS」両方の記事からの内容をまとめます。

・福岡県鞍手町で2022年に起きた車同士の事故

・逮捕者は以下
行政書士:木村和生容疑者
柔道整復師:山崎達也容疑者とみどり容疑者の夫婦
木村と元同僚の会社役員:大津山雄司容疑者
大津山雄司容疑者の会社アルバイト:浜田悠輝容疑者とその義理の姉の6名に逮捕状。

・2022年5月福岡県鞍手郡鞍手町で、浜田悠輝・真有容疑者が乗った車が偶発的に起こした車同士の衝突事故を利用

・浜田両名は西日本新聞には「運転手とその所有者」との記載とあるが、それぞれどちらかは?不明

・実際に通院していない「やまざき整骨院」に約6カ月間通院したとする虚偽の書類を提出し、保険会社2社から合計約253万円の保険金をだまし取った疑い

・2023年9月、保険会社の関係機関が、同一人物なのに筆跡が異なっている書類を不審に思い、警察に相談したことで発覚

・容疑を認める:山崎夫婦、浜田両名
一部否認:木村
否認:大津山

・警察は余罪も視野に捜査

・それぞれの供述
大津山:「事故については聞いていたが、グルになって保険金を騙し取ったり、保険会社を騙そうという意志は一切ありません」

山崎達也:「絶対にばれない自信があった。楽に金を手に入れる事が出来るのでやりました」

山崎みどり:「おおむね間違いありませんが、2人は医師の診断書を持ってきたのでケガが無いという認識ではありませんでした」

木村一生「金をだまし取ろうとしたのは間違いないですが、請求は正当に行っている」

ここまでが報道で分かっていることです。

他にも地元の方からの情報ですが、休業損害請求の際に、会社からの「休業していた」との書類に院があったことから、大津山氏にも逮捕状があるそうですが・・・ここに関しては、浜田容疑者が勝手に捺印していれば、嫌疑不受分・・・


①木村行政書士が行っていた「柔道整復師向け自賠責セミナーの内容」

②罪に対しての意識が薄弱だというポイント

③請求制度の濫用および医師の診断書は、不正使用に対してまったくもって意味をなさないということ

④いい加減に、拝金主義で語られた医療従事者にとっての片方都合な考えである交通事故対応を改める時期とすべし!


この四点で展開したいと思います。


①木村行政書士が行っていた「柔道整復師向け自賠責セミナーの内容」


こういったことが明るみに出ると、どんどんタレコミが舞い込んでくるという立場にいるものですから、今回の木村行政書士に対しても個人的に遺憾の意があることを禁じえません。

というのも、過去に何回か柔道整復師に対して交通事故セミナーなるものをやっているわけなんですね。



その資料の方も通報者の方から提供していただき、内容を確認しましたら・・・やはりメインは「被害者請求」。

これは2015年あたりから一部の行政書士等が展開し始めて、セミナーを行っていた内容ではありますが

・自賠責保険には加害者請求と被害者請求があり、それは正当な請求方法である。

・自賠責の患者さんの事案に対して保険会社が通院期間や部位を認めないなどあったら、被害者請求として自賠責保険に直接すればよい

・認めたがらない保険会社担当を介さないで、自賠責に直接請求する方法ではあるが、請求にはちょっとした専門的な知識が必要なため、我々のような士業を頼りにして欲しい。

といった内容が基幹となっています。

私はこれが出始めた当初から、これに関してはリスクの方が高いことを警鐘として鳴らしています。



この自賠法16条被害者請求スキームは、確かにもともと自賠責保険の規定の中において、被害者が請求できるある意味権利を示したものではあります。

そもそもは、魔法の裏技でもなんでもなくて、相手方に賠償能力がない場合自分自身で請求しなくちゃいけない・・・そういった事象は多々とあるので、それを方法として明記しているだけです。

医療従事者にとっては、自賠責保険にまつわる実務のことを知る機会が少ないために、画期的な請求方法であって、自分達を否定する保険会社を介さなくて済む・・・といった錯覚に陥ってしまうことは少なからずあったようです。

「いいじゃないか!あの忌々しい保険会社を返さなくて自賠責に直接請求すれば、すべて請求したとうりに入金されるだろう!」

実際にそんなことはうまくいきません。
結局のところ、自賠責保険を管轄している損害保険料率算出機構の一部である、自賠責損害調査事務所が全て審査しています。


そもそもが損害賠償上の制度法律に則った時に「これでは支払要件に至らない」ということで治療費が否決されているわけです。

にもかかわらず、加害者請求から被害者請求に切り替えたくらいで、通らなかった申請が通る・・・そんなことは世の中うまくいくわけありません。

他にも患者さん自身が後々になって困ってしまうことも多々あり、それらは勉強会などできちんとお話しています。

本来であるならば患者さんにとって役に立たなくてはいけない医療従事者が、自分自身の請求方法や書類に問題があるにもかかわらず、自己への入金だけを見越したような都合でのスキームなど、愚の骨頂です。

私は思いっきり軽蔑しています。
多分、それだけ知ったかぶっており、怖さを知らないからできるのです。

木村行政書士のセミナーのレジュメを拝見しましたが、やはり被害者請求がメインであり、払わない保険会社を悪者としている・・・

それを打破するために自分が役に立つというアピールのセミナーではありますが・・・・私が頭にくるのは、そういったことを知らない柔道整復師に対して、これで楽に入金されますよという錯覚を与えての展開です。

本当に医療従事者は、自由診療で高単価・・・という自賠責保険のお金の部分だけを見るのではなくて、困った患者さんがどのように社会復帰するか?

その一端を担うことにより、どれだけ「医療を通して地域貢献する」という職種を全うできるか?それにはどうすべきか?を学ぶ時期に来ていると思います。

②罪に対しての意識が薄弱だというポイント

柔道整復師においては「バレないと思った」・・・何が根拠になってるのか本人に聞いてみたいです。

私の憶測ですけれども、妻の証言からも含めて考えると
・行政書士には被害者請求が正当な請求方法だと教わっている←それはこれだけ見れば確かに間違っていない

・どこでどうなっているのかわからないが「医師の診断書がある」ことで問題がないと思ったと妻の証言もあり、勝手な一人歩きをして、患者さんの症状を確かめるという業務を怠っていた

・記事には書いていないけれども、警察が余罪を追求しているように、過去にもこういった成功体験があったが故に「バレないと思った」

という思考に至ったかもしれません。

ここで皆さんに質問ですけれども、医師の診断書がある患者さんが来院してきた場合・・・症状の確認ってされてますよね?

「え?だって医療の中では頂点にいる医師が、診断権を用いて出した書類なんだからそんなことを覆すなんて恐れてできない・・・」

誰が医師の診断を否定しろと?

そうではなくて、多くの診断書であるならば診断名とその完治目安期間が記載されて終わりのケースがほとんどです。

症状の細かな状況ならびに、接骨院内でのリハビリの方法においては、別途「紹介状」や「指示箋」などと名称が変わってくるはずなんです。

それでもドクターの方からの情報があれば、自分自身で確認しますよね?
今回の診断書の確認作業で引っかかるのは・・・事故被害者と称する患者が、警察に人身事故として提出する診断書のコピーを持って来ただけ・・・かもしれません。

のちのちに保険会社や裁判所が確認する際は、警察に提出する診断書だけではもちろんだめで、自賠責保険様式の診断書並びに診療報酬明細書までもが揃って、損害賠償としての医師の診察が介入されている・・・と判断されることのほうが多い。

医師の診断の継続をすっ飛ばして、自己都合で高単価自由診療を請求し続けた接骨院が、保険会社を相手取り訴訟を起こした事案で、大阪高裁においてケチョンケチョンに否決している判例もしっかり存在します。


つまりこの柔道整復師の夫婦においては、知識不足と確認不足が幾重にも重なっています。
そしてそこから深掘りをして確認することをしていません・・・

これも金の魔力といってしまえばそれまでなのかもしれませんけれども・・・証言にもあるように「楽に金を手に入れるために」そんなことが世の中には多少はあるのかもしれませんけれど、日本世界を問わずに昔ばなしの中でもそんなことは続かない・・・しっかり書かれてますよね。

この証言も報道に出ているわけですから、社会復帰しようにもこのコメントはデジタルタトゥーとして残るわけで、元のような商売が行えるかといったら・・・


以前からもう私は申し上げてますが、保険会社は金に目がくらんだ医療従事者が思っているようなおバカさんではありません。

むしろきちっと横の情報交換も行い、統計データを残し、ときには第六感を発動させて怪しさを探知する・・・なめ過ぎてますよ。

きっちり「不正請求防止制度」も張られていて「怪しいと思わしき」という時点で、制度内登録できるようになっています。

これまでの、儲け一辺倒の交通事故セミナーばかりも責任があると思います。

私は保険会社や実際の訴訟も、垣間見れる立場でしたので、十年以上「保険会社は甘くない」「儲けよりも誠実に正攻法」「医療従事者としてやるべき事を!」を基本として勉強会を続けてきましたが・・・他にそういったレベルって耳にしたこと無いんですよね。

こういった新聞沙汰になることが繰り返されて当然と思われます。

自浄作用が働いていないわけですから・・・いい加減に、金勘定に関わることと、治療テクニックに関わること以外も学ぶ時期が来ているのだと思います。

③請求制度の濫用および医師の診断書は、不正使用に対してまったくもって意味をなさないということ

②の時点でも、医師の診断書に触れていますけれども・・・世の中には医師が出した診断書・診療報酬明細書であっても、中身によっては保険会社や司法判断によって治療費用が否決されているケースはあります。

医師の診断であればすべての請求が通るわけでもないのです。

勉強会や私の著書でも説明していますが、損害賠償というテーブルに乗ってる以上、法律や制度の根拠がなくてはなりません。

いつも出している「民法709条:不法行為による損害賠償」に付随している「相当因果の立証責任」・・・これは請求をするのであるならば根拠を示さなくてはいけない・・・何度もいろんなところでお伝えしていることではありますが・・・

実際の医学的根拠にのっとった診断・評価があって、そこから公序良俗にのっとった費用の中で生産される治療・施術が認められるわけです。


繰り返しますが、医師の診断でも、それに法律制度上の整合性がない場合は否決されるということを覚えておくべきです。

それが、不正と思わしき要素があるのであるならば、なおさら認められるわけはありません。


④いい加減に、拝金主義で語られた医療従事者にとっての片方都合な考えである交通事故対応を改める時期とすべし!

一言で言うならば今回も「金に目がくらんだ人たちの愚行」なわけです。

木村一生「金をだまし取ろうとしたのは間違いないですが、請求は正当に行っている」
これは初めて見た時に、あまりに支離滅裂すぎて意味がわかりませんでした。

騙し取る時点で不法行為です。それに対して請求は正当に行っているっていうな何を言いたいのかまったくもってわかりません。

被害者請求は、制度上どちらの側の人間が、請求を上げるか?を表現しただけです。

加害者サイドの人間が請求すれば加害者請求
被害者サイドの人間が請求すれば被害者請求

それを、聞きなれない言葉だからといって、ゲームの隠しコマンドでの「無限に出てくる無敵スター」のような制度と錯覚させるのは間違っています。

制度上明記されているだけであって、正当請求であるかないかというのは別問題。
不法行為であれば正当な請求であるわけがありません!!

私が一番腹立たしいのは、このような思考パターンである人間が、医療従事者の患者を狙い、実際問題のメリットデメリット全て出すわけではなく、非常にリスクがある方法使って、私腹を肥やしていたということです。

そしてこの際だから書きますけれども・・・いい加減にこのような拝金主義で、皆さんが培ってきた信頼を崩すような、金儲けの主体のセミナーから知識を得ることやめませんか?

私15年近く、交通事故の医療従事者のあるべき対応お伝えしていますけれども・・・そんな立場でいれば、ありとあらゆる汚れた情報が入ってきます。

一言で言えば「全部てめぇの金勘定都合かよ!」これに集積されてしまうのです。

稼ぐなとは言いません!生活をしそこで仕事をし、存在し続けることが患者さんという立場の人の人生の役に立つわけですから。

金稼ぎが目的である限り、金儲けに変わりかねないリスクを負います。
患者さんに役立つ仕事をして、結果的に稼げた・・・「働き者」と評価されます。

この数年間あまりにも逮捕者が続出しすぎです・・・子供たちの、次の世代にどうあるべきですか業界は?

今回の行政書士と柔道整復師の同時逮捕はある意味潮目が変わったと思っています。
拝金主義で固められた交通事故知識から卒業しましょう!!

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FBページから始まった「半ばブラックボックス化された交通事故対応方法」の医療従事者向け勉強会。 ・勉強会に足を運ぶことが、なかなか叶わない…

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