日本語検定とは?混同しやすい他検定との違いについて

 努力をして資格を取ったら、評価されたいですよね。取得したのが1級ともなればなおさら。実は筆者、日本語検定1級に認定されているのですが、この検定の知名度が高くないことを切々と感じております。「日本語検定?何それ?」と聞かれた数は片手では足りません。
 
 他の資格と勘違いされたこともあります。
「外国人が受ける検定だと思ってた」
「日本語学校で働くの?」
 どうやら、名前の似ている他の検定や試験と混同されることがあるようです。考えてみると、学校を卒業し国語の授業を受けなくなれば、日本語を勉強しようと思う機会は少ないかもしれません。ましてやわざわざ検定を受検するとなれば。
 
 この記事では「日本語検定」の内容および混同されやすい他検定との違いを説明します。


日本語検定とはどのような検定か

 はじめに、日本語検定とはどのような検定か紹介します。これから記載する情報は、特に断わりがない限り公式サイト(日本語検定-ビジネス,就活,学力アップ。日本語力を高める検定です。 (nihongokentei.jp))の2024年4月11日現在の情報に基づくものです。

日本語検定の主催者と目的

 日本語検定は、特定非営利活動法人日本語検定委員会主催の、日本語の総合的な能力を測る試験です。具体的にどういった目的で作られた検定なのか、公式サイトから引用します。

 日本語を使うすべての人のための検定です。
 普段私たちが何気なく使っている日本語ですが、思わぬ勘違いや思い違いも多く見られます。 日本語検定は、日本語を正しく使えるようになるための手立てとなります。(公式サイトより引用)

 「普段何気なく」といった文言から、外国語話者の語学力の証明というよりは、主に日本語を母語とする人を想定した検定と読み取れます。正しい日本語を使えるように、言葉を見つめ直す検定です。小学2年生レベルの7級から社会人上級レベルの1級まであります。
 

日本語検定の出題内容

 出題内容は、「漢字」「表記」「敬語」「言葉の意味」「語彙」「文法」の6領域および「総合問題」があります。読み間違いやすい漢字や覚え違いやすい送り仮名、勘違いしやすい敬語や慣用句など多岐に渡る問題が出ます。
 総合問題は、6領域の内容にとらわれない問題が出題されます。長文の読解問題や、グラフ、表などを含む問題が出題されることもあるようです。
 筆者が受けた回の総合問題は長文読解でした。国語の試験問題と言われて一般的にイメージするような内容だった記憶があります。
 公式サイトに、級ごとの練習問題に挑戦できるページがあります。興味が湧いたらちょっとのぞいてみてください。

日本語検定の認定基準と合格率

 日本語検定では級ごとに総合得点率が定められています。1級であれば80%以上、2級であれば75%以上……といった具合です。
 そして、日本語検定で6級以上に認定されるには、「漢字」「表記」「敬語」「言葉の意味」「語彙」「文法」の6領域全ての得点率が50%以上である必要があります。例えば、「敬語」の領域の得点率が20%であれば、他の領域全てが得点率100%だったとしても、級の認定がされないのです。
 つまり、合格するには全ての領域で得点率50%以上かつ、各級の総合得点率の基準を満たす必要があります。総合的な能力を測る試験というとおり、極端に苦手な分野があってはいけないようです。
 また、受検した級の総合得点率に満たなくても、それが10%以内の場合は、準〇級に認定されます。例えば、1級を受検して総合得点率が70%かつ各領域が50%以上であった場合は準1級となります。

 合格率(認定率)について、直近の第34回試験の統計データを確認します。1級~準3級の合格率はどうなっているでしょうか。
 
 令和5年度第2回(通算第34回)各級の認定率
 1級(社会人上級レベル)2.8%
    準1級  9.7%
    2級 (大学卒業レベル~社会人中堅レベル) 20.9%
    準2級  30.3%
    3級(高校卒業レベル~社会人基礎レベル) 52.5%
 準3級  19.1%
    
 3級までは半数以上が合格していますが、2級、1級になると合格者の総数が減るとともに、準認定者の割合の方が高くなります。全ての領域で50%以上かつ、総合得点率75%や80%というのはそれなりにハードルが高いようです。

日本語検定のよくある勘違い

 日本語検定ですが、他の名前が似た検定と混同されることもあります。筆者の経験から2パターン紹介します。

外国人が受ける検定?それは「J.TEST実用日本語検定」かも

 日本語検定は外国人が受ける検定ではありません。もちろん、「日本語を使うすべての人のための検定」なので外国籍の方も受検できますし、趣味で日本語検定を取得する外国の方もいらっしゃると聞いたことがあります。
 しかし、恐らくこの勘違いをしている人が思い浮かべているのは、日本語検定協会主催の「J.TEST実用日本語検定」(公式サイトJ.TEST実用日本語検定 | TEST OF PRACTICAL JAPANESE (j-test.jp))です。
 名前が似ていますが、こちらは、外国人の日本語能力を測定するための試験です。外国語を母語とする方が進学や就職の際に受検しているようです。
 他にも、国際交流基金と日本国際教育支援協会共催の「日本語能力試験」など日本語を母語としない人を対象とした検定は多数あります。日本語の検定と聞いてこちらがイメージされるのも無理ないかもしれません。

日本語教師の検定?それは「日本語教育能力検定試験」かも

 日本語検定は日本語教師のための検定ではありません。日本語教員を目指す人のための検定には、公益財団法人日本国際教育支援協会主催の「日本語教育能力検定試験」(公式サイトJEES 日本語教育能力検定試験ホーム)があります。

日本語検定1級の筆者が感じた受検・認定メリット

 日本語検定1級の勉強をして認定された筆者が感じたメリットを2点紹介します。勉強するメリット、認定されるメリット1点ずつです。どちらも筆者の主観、個人的な経験です。

・正しい日本語を見直す機会になった
 公式サイトでも言われているとおり、何気なく使っている言葉の中に思っていたより誤用が多いことを実感しました。もちろん、友人知人との砕けた会話ではそれほど気にする機会もないですし、相手の誤用を逐一チェックする必要もありません。しかし、TPOというものがあります。ビジネスシーンや、オフィシャルな場面で発信する時のために知っておくことができてよかったです。

・正しい日本語を使える証明になる 
 日本語検定を知っている人や企業には、正しい日本語についての知識があることの証明になります。就職活動でも役に立ちました。ただ、前述のように知名度は高くありません。
 また、日本語検定だけでなく、他にも資格を持っていたり実績があったりするうえでの上乗せという印象を受けました。それから、履歴書やエントリーシートに誤字誤用があると一気に信憑性がなくなるのでご注意を。

おわりに

 この記事では日本語検定および混同されやすい他の検定について紹介しました。日本語検定の知名度が今より上がって欲しいです。
 そして、正しい日本語を使えているかどうか、この記事とこれからのnoteでじっくり見られるんだろうなとちょっとドキドキしています。精進します。

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