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# 10「人事担当者との付き合い方」

産業保健もやもやハレハレ

この番組では、産業保健についてモヤモヤするけれど、身近に語れる人がいない!そんな孤独な産業保健職と一緒に、現場にありがちなモヤモヤを3人のパーソナリティと共に深掘りしてみます。

この記事では、音声では「人事」と表現している部分を「人事担当者」と置き換えています。

「人事担当者との付き合い方」のもやもや🌥️

よーた:今回のテーマは「人事担当者との付き合い方」ということです。産業保健活動をする上では避けることができない問題ですが、どうすれば上手い連携ができてより良い産業保健活動ができるのか、議論を深めていきたいと思います

いが:お願いしまーす!

よーた:うまくいかない時っていがさんどうなの?

いが:上手く行かない時ね〜 共通認識が違うというか、丸投げ面談というかそんな時は上手くいかないよね笑 お互いに役割分担とか情報が整理されてないと、うまくやりにくいですよね

よーた:そうそう、言っちゃえば、一体感がない感じだよね笑 「え、先生これやらないんですか?」「いや、面談必要ねーし」とか

いが:協働できていないとうまくいかないんですよねー

“共通認識“ができてない

みずえ:質問なんだけど、企業と契約する時点ではそういう役割分担とか情報共有のお話ってないの? 誰かから引き継いだりするのかしら

いが:それがねー、産業医の場合は契約が通り一辺倒になってる部分があるというか、綿密なすり合わせとかはあんまりしてないんだよね、、、 「労働安全衛生法に決まってるこの辺をやってください」みたいなゆるーい感じ笑 さっきの面談の丸投げの話も“お互いのすり合わせができてない“のが原因なんだけど“共通認識“ ができてないから、面談後のフィードバックもあっちが求めてることと乖離があることが多いんだよね

よーた:可能であればすり合わせも初っ端からやりたいんだけど、人事担当者もよくわかってないことも多いしねー。何かヤバい問題が起こった時には急にすり合わせ進んだりするけども笑

いが:あるね笑

よーた:あとは、人事担当者が変わった時にこっちとしては当然引き継がれてると思ったことがそうじゃなくて、共通認識が合わないこともあるし、こういうポイントは特に押さえとくといいかもね

いが:うんうん。 常に産業医は何者かを役割分担の時に丁寧に説明していくことで、“共通認識“ を作っていかないと、ズレていくからね笑 でもそのために、毎回丁寧にコミュニケーション取りながらやっていくしかないかなとは思いますけどねー

目線合わせ

よーた:産業医をやって見つけたんですが、人事担当者との付き合い方で成功するパターンってあると思うんですよ

いが:おお??

よーた:「安全衛生委員会の活用」だね!これは浜口先生が上手いのよ笑 安全衛生委員会は人事担当者、部長クラス、従業員代表もいるし、重要なメンツが集まってるじゃん? だからそこで10分でも産業保健の講義をすればいろんな役職の人との目線がどんどんあってくるのね。それを聴いてから産業保健のレクチャーをし始めたんだけど、目線が合ってきたんだよね!

いが:ほうほう

よーた:それでも1か月じゃなくて1年くらいかかるけど、いがちゃんも言ってたように目線を合わせるために時間をかけるのはいいことだったね

いが:1年間かける、というくらいの時間軸がいいんだよね

最初の目線合わせやコミュニケーションのすり合わせ

よーた:みずえさんは産業保健の立場から見てどう思う?

みずえ:そうだね、私は産業保健師の立場として、「産業医と人事担当者の関係を取り持つように動いてる」かな。産業保健師と人事担当者は関係うまくいってない事例は意外と少ないのよ

いが:そうなんだ、興味深い!

みずえ:それは契約するときに保健師の役割がある程度丁寧に決められているからだと思うけど笑 あとは法律で選任が決められているわけでもないのにわざわざ契約してくださってるからね。だから保健職はあんまりうまくいかないことはないかも

よーた:じゃあ人事担当者と上手くいってないところは、「最初の目線合わせやコミュニケーションのすり合わせができていない」ってことでいいのかな。 だから、こうしてくれるはずだっていうことでお互い思っていて、すれ違いが起こってると考えていいんですか、どういがちゃん?

三者面談などの“同席“を作りながら役割分担するべし

いが:三者面談とか同席する機会を作りながら役割分担するといいと思うのよ。同席することで、産業保健師と本人だけではなく、人事担当者や上司も同じテーブルで集まって話すことになるのよ。 そのことで、目線合わせやコミュニケーションのすり合わせができると思う

みずえ:確かにそれはありそう。

いが:あとは、「復職面談」みたいな場面では、役割を毎回丁寧にファシリテートしていくと、事例を重ねるごとにそれぞれの役割がお互いわかってくるんじゃないかと思う

みずえ:「あなたはどうですか」って聴くより、「人事担当者からするとどうですか」とか「いつも見ている上司からはどうですか」って何回も聞いていたらお互いの役割がわかってくるよね笑 自分はこの角度の意見が求められているんだなって

よーた:じゃあそのファシリテートは誰がやるの? 産業保健師とか人事担当者でもファシリティするの苦手な人もいるよね。どういう方向がいいのかな

いが:嘱託産業医だと僕がやることが多いかな。でも、産業看護職がいるなら僕は看護職に任せますよ

よーた:でも看護職でやりたくないって人多そうじゃない?みずえさんどう思うよ

ファシリテートとかコーディネートするのが私たちの役目

みずえ:やりたくないとか苦手でも、それをやるのが私たちのお仕事じゃない?ファシリテートとかコーディネートするのが私たちの役目だと思う。ずっとやるのは違うかもだけど、土台をまず私たちが勉強して作っていくのがいいんじゃないかな

よーた:看護職の人って、産業医や人事担当者がいると一歩下がって立てようとするじゃない?でも前にも出ていくことも大切だと思ってて、その辺のバランスはどうかな

みずえ:それ大切だよね。なんだろう、準備を私たちがすれば上手くいくのかな。台本を大まかに作って、会議の前に各役職に配って、その役職しか知らないこととか必要なものを各自埋めてもらって、本番の面談に挑む、みたいなのがうまくいくのかもしれないね

いが:人はいくつも役割に担えないから、太陽と北風みたいに、優しいこと言う人と、厳しいこと言う人が必要なんだと思う。アメとムチみたいな。ルールって厳しく聞こえるから人事担当者がファシリテートすると厳しくなりそうだがら、フェアな立場で産業保健職がお互いを立てながらするのも上手くいく方法なのかもね

よーた:でも究極の話、本人の納得感を醸成すれば目的達成じゃない? 

いが:確かに

よーた:だから本人の見解を優しく引き出す人は入れていいと思う 厳しいだけじゃ萎縮しちゃって本人の納得感は出てこないからね笑

自分のことを考えてくれる“身内”と思われるか“医者“と思われるかで違うのよ

いが:人事担当者との連携からは少し逸れるけど、産業医と産業看護職の役割も整理されるといいと思っているんだよね。産業医は適正配置とかの就業上の措置がメインで、産業看護職は従業員に寄り添うか、パーソナルな部分を知っている役割みたいな感じで分けている企業があるだよね。産業医って自分ではどう思っていても結局はお医者様だったりするしね。従業員からは、自分のことを考えてくれる人って思われるか、医者と思われるかでけっこう違うのよ

みずえ:確かに、特に大企業だとそれは多いかもね

いが:そうそう。なんだかんだ“医者“って言うと身内って思われにくい部分はあるから、従業員と距離感の違いで役割分担をするのもいいかもしれない

みずえ:なるほど。確かに面談の時に、相手のことを知ろうとする姿勢はよく見られている気はするね

人事の椅子にも一回座ってみれば?

いが:よーたさんに聞きたいんですが、人事担当者とのコミュニケーションで気をつけていることってありますか?僕は、「事例性」の概念はにぎっておいた方がいいなって思ってますが・・・

よーた:そうだね、あくまで理想なんだけど、人事担当者の課題に対して、専門家として目線を合わせておきたいなとは思うよね

いが:ほうほう

よーた:例えば、これからグローバル展開しますってときに海外赴任者の労働者のリスクについて、その赴任者は40-50歳代で健診結果も悪いときに、過労死含めてどういうリスクがあるのかを、企業や人事担当者の戦略の目線で助言できるというのが理想だと思う。

いが:人事担当者が観ている景色を想像する、みたいな?

よーた:できればね、でもそれは実際難しいと思っている。じゃあ人事担当者の人が何に困っているのか。それは人事担当者レベルでいいので、、、例えば健診の受診率があがらないって上司から詰められていたら、じゃあ健診の受診率を上げるために、ここのルールを緩和しませんかって、制度設計に関わりながら、専門家として人事担当者のために仕事ができるかっていうところだと思う。で、その後に個別対応があって、その中に「事例性」といった話も含まれるんだと思う。

いが:ふむふむ

よーた:松竹梅があって、理想は人事戦略を理解してその中で意見が言えること。その次は仕組みの中で効率性や質を高めるために人事担当者と一緒にできるかということ。最後に、人事担当者が困りやすい個別の事例対応があるんじゃないかと思う。ちょっとハイレベルかもしれないけどね。

いが:人事担当者の中にも、窓口的役割の人がいたり、部長や経営者に説明しなきゃいけない人もいて、そんな彼らの役割を理解して、その目線に合わせることが大切ってことかな?

みずえ:人事担当者の役割を理解して、目線を合わせるってことなんじゃない?

よーた:そうそう、担当者の目線と、経営的な目線も違うってことかな。さらに、組織をみるのか、仕組みをみるのか、個別的なものをみるのか、で3つに分かれるってことなんだよね。

みずえ:人事担当者って言葉でまとめているけど、担当者なのか、上の方がいらっしゃるのか、決済権限をもっているのか違うものね。会社によって出てくる方が違うしね。

よーた:そうそう。そして、それぞれ産業医、産業看護職に期待することが違うんだよね。だから、話をする人事担当者がどういう立場なのか、どういう目線なのかを分かってできるといいよね。

みずえ:うんうん

よーた:優秀だなって思う産業医、産業看護職って、たとえば今回は役職付きの人と話をするといった時に、どういうポイントで議論した方がいいですか?って質問きたりするんだよね。そうするとこの人できるなって思うわけ。立場が違えば求めることが違うことを理解している人だから。当たり前のように現場レベルで話をディスカッションしたとしても、あまり理解されないからモヤモヤしちゃうんだよね

みずえ:たしかにね

よーた:役職に応じて、話す相手に合わせて分けていく、っていうのがいいんじゃないかと思うけどね

いが:産業保健活動って自分たち産業保健職がなにかをしたいかではなく、従業員ニーズ、人事担当者ニーズ、経営者のニーズをどう拾い上げられるかってことだと思う。

みずえ:本当だよね。産業保健職が人事担当者とうまくいっていないって時はたいていは産業保健職の立場に立ったままで、人事担当者の椅子に座らないんだよね。だから人事の椅子にも一回座ってみなさいよって笑 そうするとリスペクトが生まれると思う。


「人事担当者との付き合い方」のはれはれ🌞

よーた:じゃあ最後にみんな一言ずつモヤモヤがハレる言葉を言っていきましょうか

人事担当者の椅子にリスペクトを持って座れ

みずえ:私は「人事担当者の椅子にリスペクトを持って座れ」にします

いが:やば、被っちゃったよ笑

よーた:では次、いがさん、被らないように一言お願いします笑

共通言語を持つ

いが:じゃあ「共通言語を持つ」にします。自分たちの愚痴や不満ばっかり言ってても何の解決にもならないのでマジでやめましょう(自戒を込めて)。相手がどう言った言葉を使うかを理解して、事例性とか共通概念を持つこと、同席してもらうこと、が僕はいいと思います!

人事担当者を愛しなさい

よーた:私は「人事担当者を愛しなさい」ってことだね。愛さないから問題になるのよ。愛していたら全部問題はクリアになるはず笑

みずえ:そうかもしれないね笑 

みずえ:では今回はこの辺りで締めましょうか 聞いてくださりありがとうございました〜!

音声ソース

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